安倍首相の最低賃金10円アップ発言に非難続出【争点:雇用】

安倍晋三首相は10日のテレビ朝日の番組において、最低賃金を10円以上引き上げることについて「十分可能だろう」との見解を示したが、厳しい意見が上がっている…
Close-up of a Japanese Coin
Close-up of a Japanese Coin
Getty

安倍晋三首相は10日のテレビ朝日の番組において、最低賃金を10円以上引き上げることについて「十分可能だろう」との見解を示した。

最低賃金は、厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」で、賃金の実態調査結果などを踏まえて決定される。現在の最低賃金は全国平均では749円だが、政府は8日、今年10月頃に最低賃金を引き上げる方針を固めている。

安倍政権は、デフレ脱却のためには賃金アップが必要と考えているが、賃金アップのためには経済界の協力が必要となる。安倍首相は今年2月12日、経団連、日本商工会議所、経済同友会のトップと会談し、賃金引き上げの協力を要求。主要企業は夏のボーナスの引き上げを行ったが、渋い顔をする企業もある。朝日新聞ではこの時の模様を下記のように報じている。

経済同友会の長谷川閑史代表幹事が社長を務める武田薬品工業。2012年4~12月期決算は、前年同期比43%減ながら1500億円の営業利益をあげた。だが、長谷川氏は「賃金を上積みできる状況にない」。

朝日新聞デジタル「首相、異例の賃上げ要請 経済3団体トップと会談」より。2013/02/13)

政府側は金融緩和を行うから、経済界も協力してほしいということだろうが、経営者側としては成長戦略に懐疑的な点もあり、おいそれと賃金アップする訳にはいかないというのが本心だろう。安倍政権は物価上昇2%を掲げている。749円の最低賃金も、2%上昇するとすれば、時給が約15円アップすることになる。

時事通信は、賃金アップのタイミングについて、同番組中の公明党山口那津男代表の発言を下記のように報じている。

公明党の山口那津男代表は参院選公約に掲げた賃上げに関する政府、経営者、労働組合の3者協議の開催時期に関し、「この年末から来春の(賃上げ交渉の)タイミングを計って準備するのが大事だ」と強調した。山口代表は「企業収益の配分ルールを決め、実行を促すべきだ」と述べ、収益改善が確実に賃金アップにつながる仕組みをつくるよう訴えた。

(時事通信『「10円以上は可能」=最低賃金上げ-安倍首相【13参院選】』より。 2013/07/10 23:17)

最低賃金が10円アップするかもーー。

このニュースに対し、インターネットでは厳しい声が上がっている。

なお、最低賃金の上昇に伴い、経営の圧迫になるという考え方や、パートやアルバイトを減らして正社員に残業させることになるかもしれないという見方もある。独立行政法人 経済産業研究所の鶴光太郎氏の記事によると、「10%の最低賃金の上昇は10代若年者の就業率(平均17%)を5ポイント程度低下させる」という研究成果も存在すると書かれており、「年齢階層に分けて異なる最低賃金を適用する(若年の最低賃金の水準をより低くする)ことも検討に値しよう」と述べられている。一方、東京大学公共政策大学院のレポートでは、最低賃金が上昇すると、低所得世帯数は減少するという推定結果の報告もある。

では、どのような賃上げが、景気を良くするのであろうか。あなたの意見をお聞かせ下さい。

関連記事

緊急治療室を作る(しかも自宅に)

お金持ちのクレイジーなお金の使い道

注目記事