小沢一郎・生活の党代表のお膝もと、岩手選挙区(改選数1)では、過去最多の6人が立候補している。被災地の復興のかじとりをどの候補者に託すのか、かつての「民主王国」は、民主公認、小沢氏の後継、民主党を離党した現職の3つに分裂し、自民党と議席を争う大混戦となっている。敵陣分裂という追い風もあって、自民党は21年ぶりの議席奪還を狙っている。
現職は民主党を離党して無所属で出馬した平野達男氏。地元・北上市出身で、菅政権では東日本大震災直後に内閣府特命担当大臣(防災担当)、後に復興大臣を務めた。小沢氏とたもとをわかち、党からも離れて組織を失ったが、民主県議の一部や地域政党いわての支援を得ている。政策では、「アベノミクス」路線と真っ向から対抗する「財政再建」と「持続できる社会保障制度の確立」を真っ先に掲げている。
民主党の公認候補は山形県出身の吉田晴美氏だ。女性、県外出身という点を強調し、女性の活用や子育て支援策の充実などを政策に掲げ、「岩手に新しい風を吹き込む」と訴える。時事通信によると連合岩手が支援する。ただ、地元県議の一部は平野氏の支援にまわっており、追走に懸命のようだ。
生活の党から立候補した関根敏伸氏は、崩壊した「小沢王国」の再建を託された。達増拓也知事が、小沢氏を支持する経済人の集まり「欅の会」の新会長に就任し、関根氏を全面支援している。政策面では、地方主導での復興の加速、TPPや消費増税への反対を公約に掲げる。
いっぽう、政権与党・自民党の田中真一氏は、政権への支持や民主分裂の追い風を受け、21年ぶりの議席獲得を目指す。公明の推薦も受け、公示後は安倍晋三首相をはじめ大物議員が続々と応援に入って知名度不足を補っている。政策では、国土強靱化や、「アベノミクスの岩手への波及」を訴えている。
共産の菊池幸夫氏は、反原発や憲法改正反対などを訴えている。朝日新聞デジタルの記事によると、どの候補も組織力に不安を抱え、業界団体も多くが自主投票となっているため、これまで以上に無党派層の動向に大きく左右されそうだという。
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