ネット公開討論会が中止に、司会者が原因との報道に賛否【ネット選挙】

ネット選挙が解禁となった参院選の投票日に向け、時事通信社が主催しインターネットで中継される予定だった公開討論会が、急遽全て中止された。中止の理由は「司会者」との報道もあるようだ…

ネット選挙が解禁となった参院選の投票日に向け、時事通信社が主催しインターネットで中継される予定だった公開討論会が、急遽全て中止された。時事通信社は、下記のようなお詫び文章を掲載している。

選挙討論会中止のお詫び

2013年7月11日時事通信社

ネット選挙解禁を受けて、参院選愛媛、滋賀、三重、岩手の4選挙区で実施する予定でした「候補者討論会」を直前になって中止しましたことは、関係者の皆さまに多大なるご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。

ネット上において候補者の討論会を動画によって中継することは、候補者の主張を比較する上で大変有意義なことだと考え、各党及びネット事業者のご協力とご理解を得ながら進めてまいりました。しかし、最終的に折り合うことができず、「討論会」の形式を満たすことができなくなりました。重ねてお詫び申し上げます。

討論会は、時事通信社が主催し、「Yahoo! みんなの政治」と「Ustream」、NPO法人「ドットジェイピー」が協力し、三重(11日)、愛媛(13日)、滋賀(14日)、岩手(15日)の4選挙区で開催が決まっていた。候補者による討論会は、これまで会場に足を運ぶ必要があったが、この討論会ではインターネット中継され、だれでも簡単に視聴できる予定だった。

中止になった理由について、朝日新聞デジタルは下記のように報じている。

出席予定だった民主党候補の陣営幹部は「忙しい中で調整し、準備してきたのに」と憤る。

自民党報道局は「時事通信社から準備不足と説明があった」という。だが、討論会が予定されていたある選挙区の自民党候補の陣営は「党本部の指示で参加を断った。司会者の人選に問題があったと聞いている」と明かす。

(朝日新聞デジタル「ネット討論会、急きょ中止 時事通信、自民辞退で?」より。 2013/07/11 23:59)

また、産経ニュースは次のように報じている。

開催予定だった選挙区の自民党陣営幹部は「党本部から企画自体に偏った点があるので不参加とするよう指示があった」。自民党広報本部は「準備不足のため中止にすると時事通信社から連絡があった」という。

(産経ニュース「ネット討論会、急きょ中止 時事通信、4選挙区で予定」より。 2013/07/12 14:00)

討論会の司会は、三重、愛媛、岩手ではジャーナリストの下村健一氏が、滋賀では元NHKアナウンサーの堀潤氏が務める予定だった。下村氏は、11日、まさに討論会場の三重に向かうべく自宅を出る直前に連絡を受けたとしている。

堀潤氏は、この中止について下記のようなツイートを行なっている。

討論会の中止を受けた下村氏と堀潤氏は、共同で声明を発表した。

◆「地域から日本を語る・参院選候補者討論会2013」中止について 司会者共同声明

下 村 健 一堀 潤

今回の「参院選候補者討論会」の、全会場での突然の開催中止決定は、各回の司会を手分けして担当する予定であった私たちにとっても、大変な驚きと落胆でありました。

主催者である時事通信社さんのご説明では、「登壇できない候補者が増えたため」とのことです。同社が、そのような状況での開催強行を断念せざるを得なかったのは、主催者として苦渋の判断であったと理解いたします。

ただ、報道関係者その他から私たちが耳にした限りでは、登壇を予定していらした4県の殆どの党の候補者の方々は、多忙な選挙スケジュールをなんとか調整して空けた貴重な時間に穴を開けられ、あるいは楽しみにしていた発信の機会を奪われ、憤慨していらっしゃる状態のようです。

私たち2人も、今回の一連の討論会を、ネット選挙解禁を象徴する歴史的な試みと捉え、司会者として全力を傾注するつもりでおりました。改正公職選挙法は、とかく《政党・候補者》がネットをどう使いこなすか、という観点から論じられがちですが、より重要なのは、私たち《有権者》がこれを活用できるかどうかです。ただ政見放送を受け身に聞く関係ではなく、インターネットでライブ視聴しながら有権者がリアルタイムに候補者に質問を発して熟議を交わす。そんな場にしようね、と開幕の日を迎えた今朝も2人で熱くメールを交わしたばかりでした。

インターネットという新しい道具を使えば、政治と国民はこんなに距離を近づけられるんだ。ただイメージ戦略の巧みな候補者を選ぶのでなく、考え方が本当に納得できる候補者を選ぶことができるんだ。お任せ民主主義を脱することができるんだ。日本社会がそんな新しい手応えを感じる“初めの一歩”を、全国でたった4県ではあっても踏み出すことが出来れば―――そんな思いで準備を進めてきた私たちを含む全てのスタッフにとって、そしてこの討論会の視聴を楽しみに待っておられたネットユーザーの皆さんにとって、この結末は残念無念です。

これにめげず、また次の機会には、各地でこのような試みが芽生えますように。私たちも、それぞれのやり方で、そんな取組の列にこれからも加わっていきたいと考えております。

2013年7月11日(木) 本来なら三重県で熟議が展開していた筈の時間に

これに対して、インターネットでは様々な発言が出ている。

公開討論には欠席者があっても、開催するべきなのではなかったかという意見もある。

時事通信社のは司会者に適切なかたを人選したといえるのか。また、司会者によって討論会への出席を拒否をすることは正当な理由だろうか。あなたの意見をお聞かせ下さい。

自由民主党 安倍晋三 総裁

2013年6月 ネット党首討論会

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