70~74歳の医療費窓口負担について、現在の1割から2割に戻す時期を来年4月を視野に入れて議論すると田村憲久厚労相が示しました。このニュースを紹介したところ、ハフポスト日本版では様々な反応が上がっています。
多い意見としては「裕福な高齢者にはもっと負担していただいて良いのではないか。」というもの。kgwdgkさんは年齢別に貯蓄率を示し、下記のように投稿されました。
男性は30歳未満が164万円と最も少なく,70歳以上が1992万円と最も多くなっている。また,女性も30歳未満が144万円と最も少なく,60歳台が1586万円と最も多く,次いで70歳以上が1378万円となっている
年齢階級別に負債現在高をみると,男性は40歳台が531万円と最も多く,次いで30歳台(305万円),50歳台(297万円)の順となっている。また,女性も40歳台が408万円と最も多く,次いで30歳台(248万円),50歳台(154万円)の順となっている。
(総務省の統計データより)
年寄りでもお金が本当になければ補助してもらえばいいだけのこと。
貯蓄などで保険料を変更するという考えについては、Yasushi Katayamaさんは「公平」という視点から下記のように述べています。
若い頃から老後を考え蓄えを行い、年金をきちんとおさめ、老後に不安の無いだけの生活を送れる人と、若い頃は決して貧困ではないのに好きに生き、場合によっては納められる年金も納めず、老後に困窮している人。後者に対して、公的な扶助が行われるのは仕方が無いのでしょうけれど。これは、公平なんでしょうか。
「裕福」という基準を「貯蓄」などの“ストック”に対して置くのか、「所得」などの“フロー”に対して置くのかというのが、一つのポイントのようです。その上で、aoharuさんは、社会保障は「セーフティネット」であるということを認識すべきとコメントします。
膨れ上がる莫大な社会保障費や国の借金を鑑みた場合、社会保障は「セーフティネット」という考え方のもとに、大きく方向転換する必要があると思います。
例えば、失業給付については、セーフティネットという観点で考えた場合、一定以上のストック(貯金や資産)がある方には不要でしょう。年金についても、収入がある方については、収入に応じた一定割合の減額を行ったり、貯金や資産に応じて減額や不支給とすべきだと思います。医療費についても、高額療養費制度は拡充する一方で、少額の医療費については基本的に5割ぐらいの負担割合で全く問題はないと思います。
その他、年金の基礎部分は税負担として、全ての世代が負担する形にすることなども組み合わせ、国の社会保障はセーフティネット、つまり「本当に困っている人」を対象に手厚く整備しなおすことで、現実的な収支のもとに国の財政が健全化するのだと考えます。
しかし、貯蓄などのストックを「正確に資産内容を把握することは極めて困難」という意見もあります。また、daibutsudaさんは、所得に応じた徴収のシステムを作ることにもコストがかかると指摘しています。
「きめ細やかな負担設定を」とか言っている人がいるのには閉口する。これ以上厚労省(役人)の干渉余地を増やしてどうすんの?役人オーバーヘッドがかさむだけでしょう。規制産業(あえて産業という)である医療分野で、皆保険制度が成功したのは一律の負担率だったから。これを収入に応じて変えるとか言い出したら、もっともっとオーバーヘッドが大きくなりますよ。2割負担と言わず全国民3割負担で構わないと私は思っています。
試算の把握には、マイナンバー制などの取り組みも考慮に入れても良いかもしれませんね。
また、一律での徴収に賛成とする意見にのなかには「自己負担率は一律にして所得に対する保険料支払いが多すぎる分に関しては還付する仕組みにするべき」との案もありました。
ただ取るだけの片手落ちでは無く、使わなかったら還元するようにしてくれても良いんじゃ無い
車等の任意保険みたいに使わないと利率が下がるとか考えて欲しいね
また、保険料の負担の方法だけではなく、そもそも、医療費の仕組みを見なおしてはどうかという意見もありました。Rukahiさんは、「不必要にもかからわず、高齢者が安易に近所の病院へ通い医師の診察を受け、理学療法的な簡単な治療を受け、多くの薬が処方されている光景が全国で日常化している」と指摘します。
また、これは、高齢者だけではなく、若者にも言えることだと、ohtasannさんは指摘しています。
すぐに医者に行きたがること、
とりあえず薬を出す医者、
この2点を改善すれば、医療費は減るように思うのですが。
これに関連して、yamagooさんは「治療内容によって負担率と上限支払額を変える。具体的には致命的な症状の患者は負担率・額を抑制し、致命的ではない治療の場合は自己負担率を上げる」という案を投稿されています。
また、keine borderさんは、病院で長く待たされる転を指摘され、「軽度の病人は、電話による問診で処方箋をもらえるようにするなど、医療制度の合理化も必要」という提案をコメントされています。
医療制度の合理化については、Bachelor1950さんが患者側の話だけではなく、医療業界全体に目を向けるべきと指摘しています。
今健康保険を利用した診療を受けると一定期間の診療内容を連絡する制度がある、送られてくる書類をよく見ると処方されていない薬代や受けていない検査名目の医療費が請求されていたりする。事業者によってはそうした行為を当然のようにしているとも聞く、だがそれは保険制度の悪用以外の何者でもない。
増大する医療費は患者だけの責任だろうか、リハビリ医療を阻害したりきちんとした医療行為が施されれば社会復帰可能な患者も期間で区切って医療施設から追い出す、結果もっと悪化して更に高額な医療費を必要とするといった矛盾は解決されていないと思う。
医は算術なりを厚労省や関連団体、健保組合等の保険機関すべてが算術金勘定を前提に医療を判断するから矛盾が生まれ生まれた矛盾は患者に転嫁する。そうした医療制度が破綻するのは当然であり迷惑するのは患者や医療現場で孤軍奮闘する医療従事者ではなかろうか。
単純に医療費は自己負担割合だけで解決するのではなく医療を事業として正当な生業として評価する為にも総合的な制度の見直しと保険制度の設計も見直す時期に来ているのではと提案したい。
医療制度の改革については、yamagooさんの「高齢者の疾病予防・健康増進施策を強化し、総額医療費を抑制に努める」点も巻き込んで見直しをするべきかもしれませんね。
Narderさんは、医療制度について根本から議論すべきとしています。
今の制度をどういじるか、ではなく、根本的にどう作り直すか、の議論がなければどうにもならないはずなのです。
消費税増税も、高齢者負担の2割への復元も、いずれも小手先の手段、破綻を先送りするだけの話です。
富裕層にも年金が必要なのか。
死をコントロールする権利としての安楽死を認めるべきではないのか。
死亡消費税のような税制改革が必要ではないか。
また、Yasushi Katayamaさんは、終末期医療についても下記のような疑問を投げかけています。
医療費の半分が最後の2ヶ月に使用されるとか、終末期医療に医療費の2割が使用されるという統計があります。命をお金に換算するのかという非難はあるのでしょうけれど、すべての世代を併せたパイが限られているという現実の中で、公的にどこまで、終末期医療にパイをさくべきでしょうか。「どこまでも」と答えるのが、一番楽なのは、分かりきっています。
財源だけでなく、人間の尊厳の点からも、議論の必要がありそうです。
アベノミクスの第4の矢とされる、財政健全化。今回の参院選ではなかなか取り上げられていませんが、政府は社会保障制度改革の方向性を示す骨子を8月21日までにまとめ、秋の臨時国会への提出を目指すとしています。
社会保障制度や医療費に関するアイディアを、引き続き募集します。あなたの意見をお聞かせ下さい。
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