スノーデン氏、亡命申請 ロシアに残された選択肢は?

米国の情報収集活動を暴露した元CIA職員エドワード・スノーデン氏は16日、ロシアに一時亡命の申請をした。ロシア連邦移民局により、3ヶ月以内に判断がくだされることになる。
Protesters hold placards outside government headquarters during a rally in support of Edward Snowden, the former National Security Agency contractor, in Hong Kong, China, on Saturday, June 15, 2013. Protesters marched to Hong Kongs government headquarters demanding their leaders protect Edward Snowden, who fled to the city after exposing a U.S. surveillance program. Photographer: Luke Casey/Bloomberg via Getty Images
Protesters hold placards outside government headquarters during a rally in support of Edward Snowden, the former National Security Agency contractor, in Hong Kong, China, on Saturday, June 15, 2013. Protesters marched to Hong Kongs government headquarters demanding their leaders protect Edward Snowden, who fled to the city after exposing a U.S. surveillance program. Photographer: Luke Casey/Bloomberg via Getty Images
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米国の情報収集活動を暴露した元CIA職員エドワード・スノーデン氏は16日、ロシアに一時亡命の申請をした。ロシア連邦移民局 (FMS)により、3ヶ月以内に判断がくだされることになる。

スノーデン氏は、米当局からスパイ活動防止法などに違反した罪を問われ、逃亡中だ。同氏は6月23日に、香港からロシアに移動後、米国政府にパスポートを無効化されたため移動ができず、ロシア・シェレメチェボ空港のトランジットゾーンに3週間滞在している。

米国はロシアに身柄引き渡しを求めているが、ロシアは応じていない。プーチン大統領は、米国の圧力が結果として、スノーデン氏の空港滞在を長引かせていると、ロシア側の立場を説明している。

スノーデン氏と面会した弁護士のアナトリー・クチェレナ氏は、スノーデン氏が亡命の申請をした理由について「もし、米国に戻るようなことになれば、拷問や死刑を言い渡されるのではと、命の危険を感じている」からだと話した。

スノーデン氏は、希望する南米への渡航ができるまで、ロシアに滞在を求めているようだ。

スノーデン氏が米ロ関係に与える影響を、海外各紙が報じている。

【ロシアの対応は?】

この申請により、これまでスノーデン氏と距離を置き、態度をはっきりさせなかったロシアの今後の対応が注目されると、ワシントン・ポスト紙は報じている。

同紙はまた、政府の対応は筋書き通りだ、という人権活動家の意見を取り上げた。最近になり、ロシアの政治家たちが政府へ亡命受け入れを求めているが、これも政府の予想したものだという。

プーチン露大統領は15日、亡命が認められたとしても、ロシアに長期滞在は望まないと話していた。一方ガーディアン紙は、ロシア政府の公式な声明とは逆に、ロシア政府はスノーデン氏を国内に留めるのでは、という見方が、ロシアで強くなっていると報じている。

【米国の反応】

米国政府は16日、オバマ米大統領が9月のプーチン大統領との首脳会談を延期するだろうと明らかにした。

オバマ大統領は、9月19〜20日にロシア・モスクワで開催されるG20会合に先立ち、2国間会談を行う予定だった。ロシア政府によるスノーデン氏の扱いが延期の原因か、という記者会見での質問に対し、カーニー米大統領報道官は、大統領は「G20に参加予定である」と述べるにとどめた。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、キニピアック大学が7月10日に発表した世論調査では、スノーデン氏に対して55%が内部告発者と考え、34%は国への裏切り者とみているという結果であった。

これに対しスノーデン氏は、繰り返し、米国民を害するいかなる情報も暴露はしないと発言しており、彼が持つ極秘情報を中国やロシアが手に入れる可能性を否定している。

ガーディアン紙は、米国とロシアは現在、この問題やシリア内戦への対応などをめぐって、関係が悪化し、冷戦後最も厳しい水準にあるとみている。

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