Google調査「ネット選挙は空振り」 ビッグデータ分析で参院選を総括

Googleが、参院選に関してどんなメディアを使って情報を得ているか、ビッグデータで分析しました。ネット選挙について「空振りだった」との解釈を示しています。
時事通信社

Googleは21日に投開票が行われた参議院議員選挙について、投票行動と接触メディアに関する調査結果を発表した。「政党ホームページの訪問率が1%未満」「政治情報を得る手段としてテレビ利用が9割超、ウェブが4割」となるなど、ネットの影響力が期待されたほどなかったことが明らかになった。

調査を取りまとめた慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科曽根泰教教授は、「ネット選挙は空振りだったのかな、という解釈も可能。最初のステップとして改善するとっかかりがつかめた、とも言える」と総括した。

Googleでは、調査結果について、次の4つのポイントにまとめている。

  • 9割超がテレビ番組で政治情報に触れる。ウェブは4割。若年層でもウェブ活用は低い
  • 政党公式サイトの訪問率は1%未満。
  • 自民・共産の投票者はウェブでの情報接触が多く、民主・みんなの投票者はテレビが多い。維新の会はどちらも高い
  • 政党のウェブ検索と投票政党の間には関連性がなく、検索したからといってその政党に投票しているわけではない。

■若年層はネットでも政治情報触れる機会少なく

まず、大きな傾向として9割の人がテレビで政治情報に触れるのに対し、ネットは4割にとどまった。

男女・年齢別に、どんなメディアを使って政治情報へ接触したかのデータだが、ネット選挙解禁の目玉となるウェブについては、「意外な結果」とGoogle マーケットインサイト リサーチマネージャー 巳野聡央氏は言う。

「ウェブメディアは若年層、特に男性が強く、年齢が上がるに連れて(接触回数が)下がっていく、というのが一般的な傾向だが、政治に関連する情報だと若年層が低く、年齢層が高いところが高かった。意外な結果だ」

■政党のウェブページはアクセスされず

政党のウェブページを訪れた人の割合も、自民党の1.18%が最高で、その他の党は1%を割り込んだ。「各政党が力を入れていたものの、ほとんど見られていない状況」。(Google巳野氏)

ネット選挙解禁でウェブとともに活用が注目されたTwitter、Facebookなどソーシャルメディアについても、大きな影響を与えていないとの見方は変わらない。

「FacebookやTwitterのアクセスの数字はほとんど浮かび上がってこなかった。たとえばTwitterで5万人、10万人のフォロワーというとすごく多いイメージがあるが、この規模でパネル型の調査をすると、そのくらいの数字では(傾向に)出てこない」。(Google巳野氏)

政党別に見ると、自民党、維新の会、共産党に投票した人はウェブ経由での政治情報の接触回数が多かった。とりわけ、共産党はニュース以外のサイトで接触回数が多い。

■検索行動と投票の相関はなし

検索行動については、そもそも検索数自体が少ないため、サンプルを全国規模に広げて調査したが、投票行動と検索した政党に強い相関は見られなかったという。

「自民党(41%)、公明党(44%)がやや関連がある、と言える程度」(Google巳野氏)。

■安定した情報源になっているテレビ

テレビもネットと同様、男女とも若年層から高年齢層になるにしたがって、接触回数が増加する。

政党別に見ると、テレビ経由で接触の多かった政党は、民主党、維新の会、みんなの党だった。民主党はニュース番組、維新の会はバラエティ、ワイドショーなどで多く接触されている。

今回の調査は、サンプル数はパソコンが17,000、テレビが3,000、モバイル端末が4,000。アンケート回答でなく、実際にデバイスに計測機器を取り付けているため、正確なデータが取れている点が特徴。分析はシングルソースパネルという手法を用いた。この手法は、メディア接触と投票行動のアンケート回答を結びつけて収集するため、より投票とメディア接触の関連がわかるという。

曽根教授は今後の展望について、「選挙による調査というと、まず世論調査がある。いろいろな方法があるうち、どう使っていくのか、というのが研究のテーマになる。(今回のようなビッグデータ分析を使った)メディア接触と世論調査の相互関係を利用することで、今までできなかったことができるだろう」と述べている。

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