フォーエバー21の「内部メモ」が漏洩 リストラ案にフェイスブックで批判殺到

フォーエバー 21から漏洩した通達メモによると、一部の正社員の勤務時間を削減しパートタイム従業員として区分し直す計画であることが判明した。

米ロサンゼルス発のファッションブランド「フォーエバー21」から内部メモが漏洩した。それによると、一部の正社員の勤務時間を削減し、パートタイム従業員として区分し直す計画を近く始めるという。

同社のカーラ・マシアス人事副部長は該当する社員に宛てたメモで以下のように通達した。

「このたびフォーエバー21は全社において経費の見直しを行い、その一環として、従業員レベルや必要人員そして人件費などを調査しました。その結果、非管理職の社員の数を削減することになりました」

30,000人ほどのフォーエバー21の社員のうちどれくらいがパートタイムに変わるのかは不明だが、同社はフェイスブックの中で削減の対象になるのは「アメリカ国内のすべての社員の1%に満たない」と発言している

メモによると、対象になる職種は、在庫管理担当、販売担当、店舗管理担当、アクセサリースペシャリスト、レジ担当などになる。

このメモを渡された社員は、勤務時間が最大で週29.5時間以内に制限される。これはオバマ大統領が署名した医療保険制度改革法が定める「50人以上の社員を持つ企業はその正社員に対し健康保険を提供する義務があり、違反すると罰金が課される」という規定に照らして、正社員の定義となる週30時間勤務をぎりぎり満たさない数字だ。

また、新たにパートタイムとして雇われた従業員も、医療、歯科、眼科などの費用やボランティア制度などの適用を8月31日以降削減され、有給休暇の制度はなくなる。

■消費者は怒り心頭。ボイコットの呼びかけも

怒った消費者たちはフォーエバー21のフェイスブックに殺到し、ボイコットを呼びかけたり、医療保険改革法のために社員を犠牲にすることを非難するコメントを投稿するなどしている。20日時点でコメント数は3300以上、シェアは22000件以上に達している。

「私の娘の勤務時間が奪われ、収入が減ってしまったわ」と投稿者のひとりは書いている。「会社の中の政策は社員を犠牲にしていいものではない」とも。

フォーエバー21は店を支えている地域の人々に正社員の職をもっと提供することで応えるという「会社としての義務」を果たしていないと酷評する人も。

「社員の福利厚生を犠牲にして私腹を肥やす抜け道をつくるのは間違っている」と怒り心頭の人もいる

「会社がまず優先すべきは、働いて会社に利益をもたらしてくれる人たちのはず。お偉方のポケットを太らせることではない。アメリカの市民に寄生する会社がまたひとつ。恥を知れ」との投稿もあった

フォーエバー21はこの決定は「オバマ・ケア」と関連しているのだろうという消費者やメディアの見方を否定する。「当社は他のすべての小売り販売企業と同様に、店舗の売上げに応じて従業員を配置しています。医療保険改革法とはまったく無関係です」と会社側はフェイスブックで反論している。

■企業の業績は順調

しかし、個人所有のこの企業の業績は極めて順調のようだ。

ドゥ・ワン・チャンCEOは昨年9月、CNNに対して2012年度の総売上が40億米ドルになるだろう、と語っている。バンク・オブ・アメリカのアナリストはクライアントへの文書の中で、フォーエバー21は「もっとも力のある小売コンセプト」だと賞賛している。

アナリストたちは、「『フォーエバー21』は他の専門店などが無視するにはあまりにも大きくなった」と分析する。「この規模の店舗が急速な成長をして、さらにシェアを拡大すると、その余波は少なからず他の小売販売企業を揺るがすだろう。」

■従業員にあてた通達メモの原文

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