「自閉症の子どもには安楽死か臓器提供しかない」 ある家族に送りつけられたあまりに残酷な「ヘイトレター」

「私は、ある問題に悩まされている近隣の者です・・・」という書き出しから始まる手紙が、一つの家族を恐怖に陥れた。

「私は、ある問題に悩まされている近隣の者です・・・」という書き出しから始まる手紙がカナダのある家族を恐怖に陥れている。

手紙は8月16日、重い自閉症を抱えるマックス君(13歳)がオンタリオ州ニューキャッスルの祖母の家にいる時に届いた。

差出人は匿名だが、文中の署名には「あるいらだつ母親より」とある。手紙の中で、マックス君のことを「邪魔者」とか「恐ろしい騒音公害」などといった差別的な言葉で表現している。

手紙を書いた人間はマックス君が外で遊ぶ様子をどこかで見ていたのか、

「お宅の息子さんが外で騒いでいる様子は恐ろしくて、我が家の『普通の』子どもたちがおびえてしまう。外で遊ばせたいのなら公園に行って騒げ!」

などと激しく攻撃している。

手紙の文面を撮影した写真は、YouTubeで人気の歌手「レノン&メイシー姉妹」によってツイートされ、21日午後(日本時間)までに10400回以上リツイートされるなど、カナダや隣国アメリカで大きな話題となっている。

この件を伝えたハフィントンポストUS版の記事「Family Of Boy With Autism Receives Shockingly Offensive Letter」には、フェイスブックユーザーの10万6千人以上が「おすすめ」クリックをし、シェアも32000に迫る勢い。寄せられたコメントは9000を超えた(21日午後時点)。

【送りつけられた手紙の写真】

■存在そのものを否定するような内容

手紙の内容は以下のようなものだ。

  • 「近所の家から聞こえる赤ちゃんの泣き声、音楽や犬の鳴き声なら我慢できるが、お宅の息子さんには我慢できない!」
  • 「誰が彼の面倒を見続けるの?どこの会社も彼を雇わないだろうし、女の子と付き合うこともできなければ結婚もできない」

そして、家族への攻撃は残酷さを増していく。

  • 「個人的な意見ですが、(マックス君の)病気でない体の部分を医学のために提供すべきでは?彼が社会のためにできることはそれ以外にない!」
  • 「この地域から引っ越すか、それとも彼を安楽死させるか決めた方がいい。いずれの選択も私たちに平穏な暮らしをもたらしてくれることになるでしょう」

■「誰がこんなことを」

カナダの地元テレビ局の取材に応じた母親のカーラ・ベグリーさんは手紙を読みながら涙を抑えることができなかった。

「状況はもっと悪くなるかもしれない。誰がこんなことを」。ベグリーさんはシティ・ニュースの取材にそう述べた。

イギリスの「デイリー・メール」はマックス君の写真とともに手紙の詳細を報じている。

■地域ぐるみでマックス君を保護、警察も捜査始める

身の危険を感じた一家は警察に通報、刑事告発も考えている。安全を確保できるまでは近隣住民が地域ぐるみでマックス君を守り、彼が安心して地域で暮らせるような対策を考えていくという。

19日、Yahoo! Canadaは警察がこの手紙について捜査を始めたことを伝えた。警察の広報担当ジョディ・マクリーン氏は「法的措置を取ることも考えている」と述べた。

この事件をリツイートしたツイッターでは「恥」「最悪だ」「非常に不愉快」などと手紙の内容を強く非難している。

■自閉症とは

「幼い子どもに発生する精神発達障害。ことばの遅れ、特定の物などへの固着、対人関係での孤立などを示す。脳の機能障害によると考えられる」

(岩波国語辞典 第七版より)

カナダや日本の状況は不明だが、アメリカ疾病管理センター (CDC) の報告によるとアメリカでは子ども88人に1人の割合で自閉症、またはそれに準ずる疾患が出ているという。

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