溶ける氷河、干上がる湖:ビフォーアフター写真集

2010年からNASAの画像ギャラリー「地球の変化」は、気候変動や都市化、自然災害などの様々な出来事による長期的および短期的な影響を示している。

2010年から開始されたNASAの画像ギャラリー「地球の変化」は、気候変動や都市化、自然災害などの様々な出来事による長期的および短期的な影響を示している。

以下では、氷河が数十年に渡って溶けていく様子や、数カ月にわたって燃え続ける山火事の様子、そして干上がっていく湖の姿を比較画像で紹介しよう。

氷河の後退

米国内務省地質調査所(USGS)のブルース・モルニアによると、アラスカ州のグレイシャー・ベイ国立公園にあるミューア氷河は、1941年から2004年の間に11キロメートル以上後退し、800メートル以上薄くなった。

以下の画像は、1941年8月13日に撮影された画像を、2004年8月31日に撮影された画像と合成させたものだ(緑色のマーカーを動かすと、新旧の比較がわかる)。

Before: Muir Glacier, Alaska on August 13, 1941

After: August 31, 2004

Photos: William O. Field, NSIDC / Bruce F. Molnia, USGS

前:1909年7月30日のアラスカ州のマッカーティ氷河

後:2004年8月11日の同氷河

NASAによると、ベアー氷河は、1809年からの140年間で約400メートル後退した。USGSによると、ベアー氷河は1950年代初めから1990年代にかけて、毎年約76センチずつ薄くなった

地表視点からのベアー氷河の後退の眺めはここで確認できる。

前:1989年の5月16日のベアー氷河

後:2010年の5月26日。

注:上の写真に映っている地域は、幅約40キロメートルだ。

「アラスカ州の氷河の近くに住む人は少ないが、溶けた水が海に流れ込むことで海面が上昇し、多くの人に影響を与える可能性がある」と、NASAとUSGSは述べている

山火事の激化

米国政府のデータによると、2012年までの30年間において、山火事の焼失面積でワースト5に該当する年は、2004年以降に集中している。また、複数の州で、過去最悪の山火事は2011年以降に起こっている。

華氏で1.8度温度(摂氏で約1度)が上昇するごとに、「米国西部の焼失面積は4倍になる恐れがある」と、独立系の気候調査機関Climate Central述べている

Climate Centralによれば、地球温暖化についての科学的研究のための政府間機構「IPCC」(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)は、米国西部では今後、気温が華氏で3.6度から9度(摂氏で2度から5度)上昇する可能性があるとしている。

2011年にテキサス州で過去最多の住宅を破壊したバストロップ郡の連続山火事では、137平方キロメートル以上が消失し、2人が死亡した。この山火事は2011年9月はじめに始まり、収束が宣言されたのは10月10日だった。この山火事は、下の山火事後の画像が撮影されたあとも、さらに1ヶ月間燃え続けた。

前:テキサス州中南部、2011年8月26日

後:2011年9月11日

コロラド州コロラドスプリングス近くのブラックフォレストの山火事は、2013年6月に10日間燃え続け、ようやく完全に封じ込められたと判断された。NASAによると、この山火事はコロラド州史上最大の破壊をもたらし、57平方キロメートル以上が消失し、2人が死亡した。

前:コロラド州ブラックフォレスト、2013年4月27日

後:2013年6月22日

湖の消失

テキサス州の「フライパンの柄」と呼ばれる地域にある人工湖で、周辺地域の水源となっているメレディス湖は、ここ数年間にわたって、ほぼ毎年のように縮小し続けてきた。干ばつが続いたために、近年水位が「かなり」低下したと、NASAは述べている

1973年に過去最高の約31メートルを記録した水位は、2011年には10メートル未満にまで低下した。利用できる水量が非常に少ないので、テキサス州当局は2011年、各地方自治体がメレディス湖の水を使用できる期間を、1年でわずか3ヶ月のみに制限した。最低水位の記録は、2012年2013年にも破られている。

前:テキサス州メレディス湖、1990年6月18日

後:2011年6月12日

米国中西部に広がる平原グレートプレーンズは2012年、干ばつに見舞われた。その被害は、1930年代半ばの砂嵐による被害を上回った

連邦政府は、米国史上最悪レベルの干ばつが起こった理由について、人間のもたらした気候変化は重要な要因ではないとする報告書を出した。

一部の科学者はすぐさま、干ばつの要因がひとつであることはあり得ないと指摘し、北極海における氷の消失や、それがジェット気流に及ぼす効果などの間接的要因の影響を強調した。

[(English) 日本語版:松田貴美子/ガリレオ]

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