ケリー国務長官が断定「化学兵器が使われた」シリア政府を非難

アメリカのケリー国務長官は8月26日、シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、国際社会は責任の所在を明らかにするため、立ち上がるべきとの見解を示した。

アメリカのケリー国務長官は8月26日、シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、国際社会は責任の所在を明らかにするため、立ち上がるべきとの見解を示した。ロイター通信が伝えた。

NHKによると、ケリー国務長官は26日、記者団を前に声明を読み上げ、「犠牲者の数や証拠などからシリア国内で化学兵器が実際に使われたのは明らかだ」と述べたうえで「化学兵器は、シリア政府が管理し使用する能力がある」と述べ、シリア政府側が化学兵器を使用したという見方を示した。

そのうえでケリー長官は「シリア政府は5日間にわたり国連の調査団の受け入れを拒んだうえ、現場を攻撃して証拠を破壊した」と述べ、アサド政権の対応を強く非難した。

そして「オバマ大統領は、世界で最も極悪な武器を使用した者が、その責任を負うべきだと考えている」と述べ、厳しい措置を取っていく考えを示した

ケリー長官はワシントンで記者団に対し、「いかなる基準からも許されないことだ」と述べ、1300人以上が死亡したと反体制派が主張する先週の攻撃についてアサド政権に責任があることに「疑いの余地はない」と指摘した

アメリカのヘーゲル国防長官も26日、アメリカは法的に正当化される範囲内において、国際社会と協調し対応する考えを示した。長官は訪問先のジャカルタでの会見で「シリア情勢に関して、アメリカはすべての選択肢を検討する。われわれは同盟国や国際社会と共に問題に取り組む」と述べた

ホワイトハウスのカーニー報道官は「われれわれの見解では、シリア政府に非があることにほぼ疑いはない」とし、オバマ大統領が適切な対応を検討していると述べた。ただ、最終的な決定には至っておらず、報道官は決定の時期について明らかにしなかった。

■ 国連調査団が現地で検証作業、調査団の車列に銃撃

シリアの首都ダマスカス郊外グータなどで数百人が死亡した化学兵器使用疑惑で、国連調査団は26日、現地に入って検証作業を開始した。ただ、調査団の車列が銃撃されるなど混乱が続いており、疑惑解明へ進展を得られるかは不透明だ。時事通信が伝えた。

国連の報道官によると、銃撃は車列が首都東部の東グータ地区に向かう途中、政権側と反体制派の「緩衝地帯」で発生した。調査団は引き返して被弾車両を交換し、南西部ムアッダミーヤの野戦病院に向かった

現地入りした医師のひとりはロイターの電話取材に対し「負傷者から聞き取り調査を行い、血液のサンプルを採取している」と語った。

調査をめぐっては、化学兵器が使用されたとされる21日以降もアサド政権側部隊が現場で空爆を継続したことから「証拠の多くが消されてしまった可能性がある」(ヘイグ英外相)との懸念も出ている

■ 反発強めるアサド大統領、ロシアも軍事介入に警告

一方、アサド大統領は26日付のロシア紙で、米欧諸国が検討する軍事介入について、「失敗に直面する」と牽制した

シリア国営通信は26日、アサド大統領がロシア紙イズベスチヤのインタビューに応じた内容を伝えた。それによると、アサド大統領は政府が化学兵器を使った疑いを持たれていることについて、「疑惑が出ている地区は政権軍と武装勢力が入り乱れる戦線。自軍が集結している場所で化学兵器や大量破壊兵器を使うわけがない」などと否定。「ロシアと連絡をとった後、調査団に事実に基づく事件の調査を要求した」と語った

また、ロシアのラブロフ外相も、国連が許可しない軍事行動は「重大な国際法違反だ」と警告した

ロシア外務省がウェブサイトに掲載した情報によると、同国のラブロフ外相はケリー米国務長官と25日に電話会談し、2年以上に及ぶシリアの衝突に関与する用意があるとアメリカが表明したことはロシアで「深刻な警鐘」を鳴らしたと伝えている

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