汚染水、安倍首相の「完全にブロックしている」発言が東電発表と食い違い

福島第一原発汚染水の問題について、安倍首相が9月8日のIOC総会で発言した内容が、東京電力の発表内容と食い違っているのではないかと話題になっている。安倍総理大臣は汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている」と答えていたが東電は「完全」とはいえないのではないかというような発言をしているのだ。
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福島第一原発汚染水の問題について、安倍首相が9月8日のIOC総会で発言した内容が、東京電力の発表内容と食い違っているのではないかと話題になっている。

安倍首相は2020年のオリンピックとパラリンピックの東京開催を決めたIOCの総会のプレゼンテーションで「状況はコントロールされている」と話し、また、IOC委員からの汚染水に関する質問に対しても「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている」と答えていたが「完全とはいえないのでは」という指摘が出ている。

9月9日に開かれた東京電力の記者会見でも、安倍首相のIOC総会での発言に関する質問が相次いだ。東電は、安倍首相の発言について、政府に問い合わせたという。

東電が述べたところによると、政府は宮城県沖、福島沖などで放射性物質の濃度をモニタリングした結果、放射線濃度の上昇傾向は認められないということを元に「汚染水による影響が完全にブロックされている」と発言したと回答したという。

福島第一原発には、汚染水が海側に流出するのを防ぐために海側遮水壁が建設されているほか、湾内に汚染が広がるのを防ぐために「シルトフェンス」という水中カーテンが設置されている。

東電は「汚染水が港湾内で留まっている」という点に関して、シルトフェンスの内と外での放射性物質の濃度は5倍程度の違いがあり、港湾の外での濃度は告示濃度を下回っているということから、「外洋への影響は少ない、あるいは無い」とした。しかし、海水をシルトフェンスで止めることは出来ず、トリチウムは水とともに移動するため、「海水の行き来がゼロになるとは思っていない」「シルトフェンスでもトリチウムを止める力はない」と話している。

菅義偉官房長官は9日午後の記者会見において「汚染水が漏れたとされる湾内にシルトフェンスと呼ばれる特殊なカーテン状のフェンスを設け、外に出さないようにしている。放射性物質の濃度は基準値以下で、湾の外では検出できないぐらいの値だ。これを『コントロールしている』と言うのは当然ではないか」と述べた

ところが、汚染濃度の差は5倍程度存在し、「完全に」ブロックしているというわけではない。東電もシルトフェンスについて「一定の効果はある」としながらも、質問には「海水で薄まって拡散している」という指摘もあり、海水ではなく、魚介類への放射線物質の蓄積を指摘する声もあった。

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