「未来国会2013」30年後の日本・国家予算プランニングコンテストに若者は何を詰め込む?

尖閣諸島を国有化した1年前、「海洋大国ニッポン」というビジョンを作った4人の若者が、「未来国会2012」という国家予算プランニングコンテストで優勝した。「未来国会2013」ではどんな斬新なアイディアが飛び出すのか。
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これから30年後の世界は、90億の人間であふれているが、現在新興国と言われる国々が先進国と呼ばれ、もはや日本は「経済大国」ではなくなるかもしれない。少子化が進み、中韓露に領域(領土・領海)を脅かされている現状から鑑みると、日本は単なる小さな島国へと没落する危険性もある。

日本が世界において存在し続けるには、新たなポジションが必要である。それは、世界第4位の広さと深さを持つ「海」に着目することで、解決できるのではないか。

日本の海は、まだ日本が活かしきれていないポテンシャルを持つ。単純計算すると約3京円分となるメタンハイドレートが日本領域内に眠っており、水産食料品も豊富だ。精水技術も持っている。これらの「海」に対して、国家政策として取り組むことで、「海洋大国ニッポン」を世界において突出させ、圧倒的なポジションを確立する。

また、領土・領海問題を解決するため、日本が主導して、中国に主権と国土を脅かされるインド-ASEAN周辺の海洋国家をまとめる国際海洋組織を設立。不当に海域を侵犯する国家への組織的な対抗を行うとともに、経済協力・連携を行う。

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この「海洋大国ニッポン」ビジョンを作ったのは、大阪に住む大学生らTeam Osakaのメンバー4人組だ。30年後の日本のあるべき姿を考え、それに向けて10年後の国家予算プランを作るコンテスト「未来国会」という企画の2012年大会で発表し、優勝を勝ち取った。

普段、政策を作る勉強をしているメンバーはいない。「60代・70代の政治家のかたが、熱く日本の未来を語っているのをみて、自分も考えてみたくなった」、「信長の野望をやって、どのような政策を作ったらうまくいくかをリアルな場面で考えることに興味を持った」そんな理由から、「未来国会」に参加したという。

■国家予算プランニングコンテスト「未来国会」とは?

未来国会」は、若年投票率の向上を目的に活動するNPO法人「ドットジェイピー」が2010年に始めた、日本初の若者のための“国家デザインコンテスト”である。「30年後の日本のあるべき国家像を、今から10年後の予算・政策という形で示しなさい。」という課題を設定。30歳以下の若者が4人一組となり「もし自分が総理大臣だとしたら、こういう日本を作りたい」というビジョンを作り、さらに国家予算と政策に落とし込む。

ただ1日で終るイベントではなく、プレゼンテーションまで約2ヶ月をかけて、合宿などを行いプランを練りあげる。その間、実際に国家予算を作っている官僚らがメンターとなって愛のツッコミ指導を行うため、政策の論理性や事実性を具体的に学ぶ機会を得ることができる。

政治家志望の若者ばかりが参加するのではないかと思われがちだが、2012年大会への参加者約100人を見ると、民間企業への就職を希望する人が最も多かったという。また、30才以下なら社会人も参加可能であるが、社会人参加者の勤め先は、金融、メーカー、通信など業種はバラバラだった。観覧者も、政策を立案する公務員(地方公務員含む)よりも、民間企業のコンサルタントの方が多いという。

■若者が見た日本の「課題」と「解決策」とは

「今、実際に自分が感じている問題点から、日本が30年後にどうなっているかを想像し、そして若者らしい斬新なビジョンを考えてほしい」

ドットジェイピー理事長の佐藤大吾氏は、未来国会の出場者に対する想いを語る。

冒頭に紹介したTeam Osakaのメンバーがこのプランを考えた2012年の夏は、中国で対日デモが盛んに行われた時期で、未来国会2012が開かれた2012年9月15日は、日本政府が尖閣諸島が国有化した9月11日のすぐ後だった。「中国人活動家が尖閣諸島に上陸したというニュースが有った。自警組織があれば、別の次元の話になるのではないかと考えた」と海洋国家ビジョンの中に、国際組織も含めたという。

2012年のコンテストに参加した他のチームも、「何度でも再チャレンジ可能な社会」や、「社会人留学支援」など、今の日本の問題点を解決するような案を発表した。発表に対しては、「知識に頼らず、実際に足を運んで人々の声を聞き、それを元に自分がどうしたいかを考えてほしい」「ニュースやメディアに頼らず、自分がリアルに感じた問題点を意識してほしい」という叱咤激励もあった。

■未来国会2013の特徴は?

第4回目となる2013年はどうか。ドットジェイピーの担当者は、今年の特徴を次のように話した。

「今年は地方からの参加者も増えていますが、都心で暮らす方たちとは異なる視点からユニークなプランを練っているチームが多数あります。」

なお、コンテスト当日は、国会議員や有識者の方がゲストとして参加し、プレゼンテーションの内容についての講評や、出演者とのパネルディスカッションを行う。観覧は無料で、申込みを行えば、誰でも閲覧でき、コンテストの後は、観覧者も交えて懇談会を行うという。

日本が終わってるなんて誰が決めた--。

“日本に挑戦する”若者が見た「今の日本の課題」と「解決策」はどんなものか。

若者らしい斬新かつ現実性を備えたアイディアに、期待が高まる。

【イベント詳細】

・開催日時:平成25年9月14日(土) 13:00より17:00

・開催場所:国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室(東京都渋谷区代々木神園町3番1号)

・参加者:政治や国家行政に興味・関心のある若者約90名、及び、観覧者約200名

・観覧申し込み方法ホームページよりお申込みください

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