東京電力福島第一原発2号機のタービン建屋海側にあるトレンチ(ケーブル用配管トンネル)に高濃度の放射能汚染水がたまっていた問題で、東電が抜き取り作業をした後、再び汚染水が流入していたことが12日分かった。東電が同日、原子力規制委員会の汚染水対策作業部会に報告した。時事ドットコムが伝えた。
東電は8月24日に、トレンチにたまっている210トンの高濃度汚染水を抜き取り、タービン建屋地下に移送する作業を完了したと発表していた。
ところが、その後トレンチ内の水位が1日8センチの割合で上昇。放射性物質濃度を調べたところ、8月31日時点でセシウムが同8億5000万ベクレル、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が同5億1000万ベクレル含まれていた。
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このトレンチは2号機タービン建屋とつながっている。東電は事故後にコンクリートなどを注入してふさいだと説明していたが、汚染水の再流入を受け「完全にはふさがれていなかった」との見方を示した。
■ 井戸のトリチウム濃度、23倍に 地下水の汚染さらに広がるか
東電は12日、漏えいがあったタンクから北に約20メートル離れた観測用井戸で、地下水1リットル当たり9万7千ベクレルのトリチウムが検出されたと発表した。法定基準(6万ベクレル)を超えており、この井戸のトリチウム濃度は8日以降、約23倍に上昇した。
東電によると、トリチウムの値は8日に同4200ベクレルだったが、9日に同2万9千ベクレル、10日に同6万4千ベクレルと上昇している。漏れた汚染水に含まれていたトリチウムが井戸に流れ込んでいる可能性がある。
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地下水の汚染が確認された場所の海側には、地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」計画用の井戸があり、汚染の恐れが出ている。
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