TPPで日本の米は壊滅するのか?「高級ブランドとして存続を」の意見も

TPP参加で、国産よりはるかに安い外国産の米が輸入されることを阻止するべきか、歓迎すべきか……。米の関税撤廃を認めた上で、価格競争をするのではなく高級ブランドとして売ることで対抗しようという声が相次いでいる。
Rice grows in a paddy field in Sakura, Chiba Prefecture, Japan, on Tuesday, Aug. 27, 2013. Japan is self-sufficient in rice as the government imposes high tariffs on imports. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
Rice grows in a paddy field in Sakura, Chiba Prefecture, Japan, on Tuesday, Aug. 27, 2013. Japan is self-sufficient in rice as the government imposes high tariffs on imports. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
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TPP参加で、国産よりはるかに安い外国産の米が輸入されることを阻止するべきか、歓迎すべきか……。米の関税撤廃を認めた上で、価格競争をするのではなく高級ブランドとして売ることで対抗しようという声が相次いでいる。

立正大学経済学部の森島賢(まさる)教授が、JAグループ向けの業界紙「農業協同組合新聞」に寄稿した「TPPで1俵2200円の米がやってくる」というコラムにネット上で反論が相次いでいることを、ハフポストが10月1日に報じたところ、2日間で25件を超えるコメントが集まった。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、太平洋を取り巻く12カ国が参加する自由貿易協定だ。10月8日の首脳会合での大筋合意に向けて、3日から6日の日程でTPP閣僚会合が開かれ、日本からは甘利経済再生担当大臣が出席している

物品の関税は、10年以内にほぼ100%撤廃するのが原則。NHKニュースによれば、農業団体は、米や麦など農産物の重要5項目について関税撤廃の例外を求めている。

森島氏は、ベトナムで生産された安価なジャポニカ米が輸出される可能性について触れ「もしも、TPPで米の関税をゼロにすれば、日本の米は壊滅するだろう」として、「米をはじめ農産5品目を死守しなければならない」と訴えたが、ネット上では外国産の安い米が入ってくることを「消費者としては大歓迎!」との反論が出ていた。

このことを報道したハフポストの記事でもやはり、米の関税撤廃を支持する声が多く上がっていた。以下、抜粋して紹介する。

【コメの関税撤廃を支持する声】

欧米におけるワインの価格を見ると、1本1~10.000ドル位にバラついている。従って、日本の米も1俵 1,000~1,000,000円 位にバラついて良い、というか、そうあるべきではないだろうか。高級ブランド米を作っている農家は、TPPでより収益を上げれられる様になる。
仮に今より数分の一の値段の外国米が入ってきたとしても、今と同じ値段で国産米を買う人がいなくなるとは思えませんし、逆に高価な国産米を求める海外の人は増えていると思いますので、輸出を伸ばせばいいと思います。
つまり、年収百万台の人も助かるってわけですね。選択肢が増えることは喜ばしいことですよね? アマゾンが農業ストアを開いたことで、プラットフォームを持たない中抜き業者は壊滅、JAは縮小化へと進むでしょう。
国の庇護のもと、一定の価格の維持し続けたツケが回ってきただけで、自ら生産性の向上や海外市場展開を視野に入れたマーケティングをおこなうことで、生き残ることができるのではないでしょうか。そもそも、米の年間消費量が減り続けているのを消費者の米離れのせいにしていること自体、米作に関わる方たちの認識が甘いのではないではないですか?
外国から安価な商品が入ると、其の産業が全滅すると常に言う人がいます。意見にさくらんぼが出ましたが、今でも山形のさくらんぼは信じられないほどの高値で売られています。カルフォルニアオレンジが自由化されるとき、愛媛のみかん農家は木を切り倒して抵抗しました。が、今では過去を上回るほどの生産量を上げていると言われます。
日本の農家は手厚く保護され続け、大規模集約化、効率化、そして組織化が遅れてしまいました。小規模農家は、専業では食べていけず、周辺企業へ職を求め、兼業農家化していきました。それでも、都市近郊等で、たとえ利益が上がらなくても、細々と農業を続ける世帯が多いのは、税制面の優遇が大きな理由です。

こうした意見の一方で、食の安全や生態系へ影響を疑問視する意見や、「主要な食料品を輸入に頼るのは国として危険」という声も寄せられた。

【コメの関税撤廃に懐疑的な声】

食品において一番重要視するべきは値段ではなく、安全です。未だに産地偽装も日本国内で存在しています。TPPの議論の中で食品の安全や品質にもう少し重点を置くべきです。安ければよい、というのは安易な考えです。
米を売ってくれているときはいいが、ある日突然売ってくれなくなったときの対策及び保険はどうするの?
単純にいって、主要な食料品を輸入に頼っていたら国として危ないでしょう。TPPも自由貿易も、そんなのいつ崩壊するかわからないのですから。
稲田の治水などは日本の生態系を支えていたりと派生的ですが大切な役割を持っているので、国内の米が壊滅するというは日本独自の自然環境が崩れるということでもあるわけです。そのような荒廃を防ぐためにTPPでは米に限らず、第一次生産物の関税を適正に引き上げ、国内品と国外品を公平な値段でのスタートラインにする為の会合にすべきではないでしょうか。

【※】このようにさまざまな意見が出ていますが、TPP加入で日本国内で流通する米の価格が大幅に下がる可能性や、食の安全性、日本の生態系への影響についてどのように考えますか? 改めてコメント欄にご意見をお寄せください。

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