TPP、重要5項目も撤廃か、政府・自民が方向転換

自民党の西川公也TPP対策委員長は10月6日、「聖域」として関税維持を求めてきたコメや牛肉・豚肉などの重要5品目について、関税撤廃を検討できるかどうか党内で検討することを明らかにした。

自民党の西川公也TPP対策委員長は10月6日、「聖域」として関税維持を求めてきたコメや牛肉・豚肉などの重要5品目について、関税撤廃を検討できるかどうか党内で検討することを明らかにした。朝日新聞デジタルなどが報じている。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をめぐり、自民党の西川公也TPP対策委員長は6日、コメや麦など農産品の重要5項目の関税交渉について「(重要品目から)抜けるか抜けないかの検討はしないといけない」と述べ、品目によっては関税撤廃を容認する可能性を示唆した。交渉にあわせ、訪問しているインドネシア・バリ島で記者団に語った。

(朝日新聞デジタル「自民TPP委員長「5項目議論も」 関税撤廃容認に含み」より。2013/10/06 19:09)

TPP交渉で関税撤廃を扱う「市場アクセス」の分野においては、日本は(1)コメ(2)麦(3)乳製品(4)牛肉・豚肉(5)砂糖やデンプンなどの甘味資源作物を「重要5項目」に位置づけ、関税交渉のテーブルに載せないとしてきた。この重要5項目は細かく分けると586品目にあたり、この全ての関税を維持するとなると、関税を無くす品目の割合を示す「自由化率」は93.5%となる。

日本はこれまで、自由化率80%程度の提案を行ってきたが、ニュージーランドやオーストラリア、シンガポール、チリの4カ国は自由化率100%の完全撤廃を求めている。7月に行われた会合では、各国は95%以上撤廃するとしており、日本に対して「撤廃項目が少ない」と指摘していた。日本は重要5項目全てを聖域にしたままでは、交渉の決着は難しい状況だ。

重要5項目は、一口にコメといっても、関税分類上では「玄米」や「もみ」など細かく分かれており、それぞれの品目ごとに関税率も異なる。自民党内では今後、各品目について関税撤廃が可能かを検討するという。

TPPの首脳会合などに合わせ、インドネシア入りした西川委員長は「重要5項目について、本当にすべてどんな小さな状況も勘案しない、という姿勢を取り続けられるか」と述べ、関税を撤廃できるものがあるかどうか自民党内で早急に検討に入る考えを示しました。

(テレ朝ニュース「TPP重要5項目の関税撤廃の可否検討 自民・西川氏」より。2013/10/07 00:54))

自民党は衆院選の政権公約において、「聖域なき撤廃」を前提にする限りTPP交渉参加に反対すると書いているため、反発が出ることも必至だ。

■年内妥結は難しいのではないかとする見方も

TPPでは全品目の関税撤廃が原則とされているが、チリの乳製品や砂糖などは、時間をかけて撤廃を進めるとされているなど、「例外」を認める例もある。この例外品目のリストについては、すべての国との交渉において共通のリストにしたいとするオーストラリアやシンガポールらに対し、FTA未締結国間で行う2国間交渉で個別に利用すれば良いとするアメリカらが対立。現在に至ってもルール形成の合意は得られていない。

TPP交渉では年内に合意を目指すとしているが、バリでおこなわれる首脳会合にオバマ米大統領が欠席することもあり、根本のルール作りで合意ができないとすれば、年内妥結は難しいとの見方もある。NHKニュースは8日の首脳会合で議論の土台となる内容を下記のように報じている。

工業製品や農産物などの関税撤廃を議論する「物品市場アクセス」については、「多くの進展が見られたが、各国にとって配慮が必要な項目に関する合意は未解決の問題として残っている」として、交渉が難航していることを認める内容となっています。このため、「閣僚は交渉を成功に導くため、引き続き協議を進展させることに積極的に関与していく」としています。

(「TPP 「首脳への報告」の全容判明」より。)

参加国は12月に再度、閣僚会合を開く方向で調整しているという。

TPP交渉での「重要5項目」撤廃について、あなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せください。

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