日経平均、年内に1万5500円超との予想多数【争点:アベノミクス】

米国の債務不履行(デフォルト)回避で、日本株の上昇期待が広がっている。企業業績の回復があらてめて評価されれば、日経平均
Reuters

米国の債務不履行(デフォルト)回避で、日本株の上昇期待が広がっている。企業業績の回復があらてめて評価されれば、日経平均

ただ、米国の財政協議の妥結ははあくまで暫定措置に過ぎず、先行きへの不安も残っている。11月には海外投資家からの益出しの売りや5月高値の信用期日到来もあり、需給悪化で軟化すれば、一時的に1万4000円を割り込む可能性を指摘する声もある。

17日の東京株式市場で日経平均は7日続伸、終値は119円高で節目の1万4500円を回復した。

市場関係者の見方は以下の通り。

<野村証券エクイティ・リサーチ部 チーフ・ストラテジスト 田村浩道氏>

日経平均の年末予想値:1万8000円

米財政問題の決着は日本株にとってポジティブだ。とりあえず年明けまで期限を先延ばしする暫定的な内容だが、これまで先送り期間は6週間程度との予想もあったので、目先的には市場センチメントの改善につながるだろう。今後は今月下旬から発表される国内企業の上期決算に視点がシフトする。リスクオンの地合いのなか、市場コンセンサスよりも良好な決算に期待感が強く、日経平均は1万5000円以上を目指す値動きとなりそうだ。バリュエーションでPER17倍まで上昇し、2015年3月期までの利益成長を織り込めば、年末に日経平均1万8000円もあり得る。

<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>

日経平均の年末予想値:1万6000円

米財政協議は市場想定通りの妥結となり、サプライズはないが、懸念材料が一つ払しょくされたことはプラス材料だ。ただ一気に株高に進むというよりは、国内企業決算を織り込みながら堅調に推移するイメージだ。日経平均の1株利益は1000円近くまで上方修正されることが期待され、PER15倍にあたる日経平均1万5000円程度は今月末にも達成しそう。11月の信用期日を過ぎれば年末1万6000円が視野に入る。チャート上では三角もち合いをきれいに形成しており、足元では煮詰まりつつある。5月高値から約5カ月も調整しただけに、もち合い上放れからの上昇波動は大きそうだ。

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部長 門司総一郎氏>

日経平均の年末予想値:1万6000円

米財政問題をめぐる議会の混乱は、暫定予算と債務上限引き上げの期限となる来年1―2月にまた繰り返される可能性もあるが、今回ほど大きな混乱にはならないだろう。米共和党の狙いはオバマケアの阻止にあったが、来年1月初めまでに医療保険をかけていない個人には罰金等がかかってくるため、オバマケアは既定のものとなる。来年に入って共和党がこれをひっくり返すのは難しい。株式市場は米国のデフォルト回避をきょうで織り込み、いったん調整入りの可能性もあるが、好調な日米の企業業績を確認し、米量的緩和(QE3)の縮小が視野に入れば、日経平均は年末に5月高値を抜け、1万6000円に達する可能性もあるとみている。

<東海東京証券 マーケットアナリスト 鈴木誠一氏>

日経平均の年末予想値:1万5500円

ヘッジファンドを中心に海外投資家の動きが鈍り、上値が重くなっている。日本株を売りとはみていないが、動きの良い欧州株や一部の新興国株に目が向かっているようだ。年前半にエネルギーを使い過ぎた面もある。日経平均は益出しやキャッシュ化などで11月下旬に1万3500円程度まで調整する可能性があるとみている。来年の株高を見越し年末には1万5500円程度まで上昇すると予想している。

<しんきんアセットマネジメント投信 運用部長 藤原直樹氏>

日経平均の年末予想値:1万5500円

前日までの6連騰で、米財政協議の妥結はほぼ織り込まれてしまっていた。不透明感が後退しており、もう少し上値があっていいと思うが、ドル/円が100円を超えてくるようでないと一段の上昇は難しいだろう。11月はヘッジファンドの決算や5月高値を付けたときの信用期日の到来など需給面でも厳しい。NISAへの期待が高まる年末までは上値の重い展開になるかもしれない。

<岡三証券 投資戦略部シニアストラテジスト 大場 敬史氏>

日経平均の年末予想値:1万4500円

予想通りの決着になったので、いったん材料出尽くしの動きになっている。米財政問題の不透明感も残るほか、米国の景気や企業業績もややさえない。中間決算で好業績の個別株は買われても日経平均など指数が上値を追うのは難しいだろう。米国の量的緩和策の維持期待が米株を支えても、ドル安・円高が進めば、日本株は好感しにくい。

[東京 17日 ロイター]

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