B-1グランプリが目指す「食のまちおこし」 地方の6次産業化を促す

2013年で8回目となる「ご当地グルメでまちおこしの祭典!! B-1グランプリin豊川」が11月9日〜8日、愛知県豊川市で開催される。来場客が出展団体の料理を食べ比べ、投票することでグランプリを決定するこのイベントに、2012年は過去最多の61万人が来場。毎年恒例となった人気の祭典に、多くの人が足を運んでいる。
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2013年で8回目となる「ご当地グルメでまちおこしの祭典!! B-1グランプリin豊川」が11月9〜8日、愛知県豊川市で開催される。来場客が出展団体の料理を食べ比べ、投票することでグランプリを決定するこのイベントに、2012年は過去最多の61万人が来場。毎年恒例となった人気の祭典に、多くの人が足を運んでいる。

今回は、B-1グランプリがより楽しめるように、イベントが持つ本来の意義や、過去のグランプリ団体を振り返りながら、地域活性化の歩みを紹介する。

■B-1グランプリの目的は「まちおこし」

B-1グランプリは「日本最大のB級グルメのイベント」と評されることが多いが、本来の目的は「食のまちおこしを通じて、地域を元気にする」こと。つまり、親しみやすいB級グルメによる「まちおこしイベント」なのだ。2006年に青森県八戸市で開催された第1回B-1グランプリのときからコンセプトは変わっていないという。

B-1グランプリでは、日本全国の自慢の料理が提供されます。しかし料理を売ること自体を目的としているのではく、料理を通じて「地域をPRする」ことで、一人でも多くのお客さんに現地に足を運んでもらおうという、地域活性化を目的とした「まちおこしイベント」なのです。

(ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ公式サイト「B-1グランプリとは」より)

■料理ではなく団体を表彰

B-1グランプリでは、出展団体のチームによる食の提供やサービス、ユーモアのある地域PRもパフォーマンスの一環だという。出展者も、優勝を競い合う場ではなく、「まちおこし」お披露目の場としてこのイベントに参加している。来場者は、美味しいご当地グルメの味だけでなく、おもてなしの対応なども含めて総合的に投票する団体を決めるのだという。

グランプリの称号は「まちおこし団体」に対して贈られるものであり、「料理」に与えられるものではありません。料理の味の日本一を決めるイベントではなく、料理=ご当地グルメの味を含めたまちおこし活動の日本一を競うイベントなのです。

(ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ公式サイト「B-1グランプリとは」より)

なお出展者は、主催団体である(社)愛Bリーグに加盟する「まちおこし団体」のみで、飲食店や企業など営利目的の出展はない。

■「食」による6次産業化

食を通じた「まちおこし」は、農林水産省や自治体が取り組む、6次産業化につながる。6次産業化とは、地域資源を生かした一次産業の振興や、地域活性化を図る方策として進められている以下の取り組みだ。

第一次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第二次産業や第三次産業にまで踏み込むこと。

(kotobank「六次産業化 とは」より)

6次産業化が唱えられはじめた背景には、加工食品や外食の普及により一般の消費者が食料品に支払う金額は増えたが、加工や調理などの付加価値分が販売価格に上乗せされただけで、農林水産物の市場規模がほとんど変わらなかったことがある。食品製造業や流通業、外食産業の多くが都市部に位置し、地方の農山漁村が衰退していった。

この状況をうけて、農家や地方などが生産だけでなく、加工や販売・サービスまで行って農林水産物の付加価値を高め、所得の向上や雇用の創出を目指す、6次産業化が推進されるようになったのだ。

B-1グランプリの出展者は、地方の人たちが集まってご当地グルメを開発し、イベントの来場者に、郷土料理や地域をPRする。それが後に、地元への観光客を増やすことにつながる。出展者がB-1グランプリに出展するまでの歩みは、6次産業化に向けた活動の一環といっていいだろう。

■過去の優勝団体が生んだ経済効果

そして実際に、過去にゴールドグランプリとなった団体は、一気に知名度が上がり、団体の地域に多大な経済効果をもたらしている。

第1回と第2回でゴールドグランプリに輝いた「富士宮やきそば学会」(静岡県富士宮市)の富士宮やきそば(写真)。今やB級グルメを代表する1品となった。その経済波及効果は、2001〜2009年までの9年間で、439億円に及ぶと類推されている。麺や食材の製造・流通・販売のほか、メディアなどによる波及効果や、観光客の増加などが含まれている

B-1グランプリ発祥の地でもある青森県八戸市。2012年にゴールドグランプリを受賞し、数年に渡り上位にランクインしている「八戸せんべい汁研究所」の八戸せんべい汁がもたらした経済波及効果は、563億円に上るという(総務省「緑の分権推進会議」調べ)。

■B-1グランプリは、「まちおこし」への挑戦

今週末に開催される「ご当地グルメでまちおこしの祭典!! B-1グランプリin豊川」。おいしいB級グルメで来場者をもてなし、今年グランプリに輝き「金の箸」を手にする団体は、どこだろうか。全国各地から地方の団体が集うこのイベントを「まちおこし」の視点で楽しむといいだろう。

※今週末に、B-1グランプリが開催されます。行ってみたいと思いますか? またB-1グランプリの目指す「まちおこし」について、どう思いますか? ご意見をお聞かせください。

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