振り込め詐欺過去最悪、捜査に通信傍受導入も「捕まえてもキリない」実態

振り込め詐欺の被害額が今年、400億円規模に達する見通しとなり、警察庁は通信の傍受を使った捜査ができるよう動き出しました。
Ziga Lisjak via Getty Images

振り込め詐欺の被害額が今年、400億円規模に達する見通しとなった。MSN産経ニュースが報じた。

さまざまな手口が横行し、今年は全国で過去最悪を記録した昨年の約364億円を上回り、400億円を超える可能性が出てきたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。「捜査は現状では手詰まり状態」(警察庁幹部)といい、打開策として捜査現場からは犯行グループの解明のため現行法では認められていない詐欺事件での通信傍受を求める声も高まっている。

(MSN産経ニュース「「振り込め」詐欺、捜査手詰まりカギは通信傍受 被害最悪400億円超へ」より 2013/11/20 10:30)

振り込め詐欺は、指示を出す犯行グループの上層部とアルバイトとして雇われた実働部隊とが分かれており、末端のメンバーを検挙しても根本的な解決につながらないことが多い。

振り込み詐欺をめぐっては、犯行グループが使う銀行口座を凍結するなどの対策を盛り込んだ、振り込め詐欺救済法が2008年に施行されると被害金額が一時的に減ったが、口座を使用せず、直接現金を手渡す形に変わり、再び被害額が増える傾向にある。実際に逮捕されるのは、アルバイト感覚で現金の受け取り役を担う学生などが多い。

愛知県警によると、男子生徒は受け取りグループのリーダーで無職西巻優吾容疑者(21)=同容疑で逮捕=が在籍していた葛飾区の中学の後輩。捜査本部は、西巻容疑者らが同じ中学を卒業した少年らを勧誘、現金の受け取り役として使っていたとみて詳しく調べている。捜査本部は26日、西巻容疑者らを送検した。

(スポニチ「逮捕の高校生 振り込め詐欺の現金受け取りは「夏休みのバイト」」より 2012/10/26)

警察庁は、通信傍受による捜査も視野に入れているという。現行の通信傍受法では、薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4種類の事件において傍受が認められているが、これに詐欺を加えるべく、法制審議会で審議を進めている。

振り込め詐欺事件などでの通信傍受の適用については、法制審議会(法相の諮問機関)の特別部会で議論が進められている。電話での通信傍受だけでなく、犯行拠点での会話を傍受する捜査手法についてもテーマとなっている。

(MSN産経ニュース「「振り込め」詐欺、捜査手詰まりカギは通信傍受 被害最悪400億円超へ」より 2013/11/20 10:30)

なお、警視庁は高齢者を狙った振り込め詐欺の防止のため、通話録音機を無料で貸し出している。

警視庁では、振り込め詐欺対策の新兵器として、都内の高齢者宅に対し、通話内容を自動的に録音する「自動通話録音(警告)機」を無料で貸し出しています。

この装置を取り付けると、呼び出し音の前に「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます。」との警告メッセージが流れ、通話内容を録音します。

(警視庁「「母さん助けて詐欺」を見破れ! 広報けいしちょう第59号web版」より 2013/05/19)

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