一票の格差判決 2012年衆院選は「違憲状態」でも、「選挙無効」にならなかった理由とは?

一票の格差が最大2.43倍だった2012年12月の衆院選は「違憲状態」だったとの判決が下された。どのような理由でこの判決となったのだろうか。
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一票の格差が最大2.43倍だった2012年12月の衆院選は「違憲状態」だった--。

昨年12月の衆議院選挙で、選挙区ごとの一票の格差が最大2.43倍の格差もあったことについて、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は11月20日、小選挙区の区割りを「違憲状態」とする判決を下した。選挙権の平等を保障した憲法に違反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効(やり直し)を求めていたものだ。

最高裁は、最大格差が2.30倍だった2009年の衆院選をめぐる判断と、同様の判決を下した形になる。今回の判決についてNHKニュースは次のように報じている。

20日の判決で最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は、「選挙区割りは、憲法が求める1票の価値の平等に反する状態だった」と指摘して、憲法違反の状態だとする判断を示しました。一方で「合理的な期間のうちに格差是正が行われなかったとは言えない」として憲法違反とまでは判断せず選挙の無効を求める訴えは退けました。

そのうえで「国会は、今後も1票の価値の平等を実現する努力を続ける必要がある」とも述べています。

(NHKニュース「最高裁 去年衆院選は違憲状態」より 2013/11/20 15:17)

今回の最高裁判決では、2009年の衆院選を違憲とした2011年の判決から、2012年の衆院選までに行われた格差是正の取り組みが、どのように評価されるかがポイントだった。

最高裁は2011年の判決において、各都道府県にあらかじめ1議席を配分する「1人別枠方式」の廃止と区割りの見直しを要求。2012年11月に衆議院選挙の小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が成立したが、区割り作業が間に合わなかったため、2012年の選挙では2009年と同じ区割りのままで実施された。最大格差は千葉4区と高知3区の2.43倍に広がっていた。

一方で、今年3月には、衆議院議員選挙区画定審議会(区割審)が、新たな区割り案を策定し、最大格差が2倍未満まで縮小した。この取り組みがあったことで、選挙の無効の判決とまではならなかったとみられる。

なお、一票の格差については、今年7月に実施された参議院選挙に対しても、全国で訴えが起こされている。これらの裁判は、2013年12月に、各地の高等裁判所や高裁支部で判決が言い渡される予定だ。

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