愛犬のクローン、無料プレゼント コンテスト主催は韓国で物議のあの人

優勝者には愛犬のクローンを無料でプレゼント。愛するペットを失った飼い主が悲しみに沈む「ペットロス」が話題になるなか、韓国の研究所がイギリスで開催しているコンテストが議論を呼んでいます。

優勝者には愛犬のクローンを無料でプレゼント――。愛するペットを失った飼い主が悲しみに沈む「ペットロス」が話題になるなか、韓国の研究所がイギリスで開催しているコンテストが議論を呼んでいる。

韓国の「スアム生命工学研究院」がホームページで告知している。

犬を複製したいとお考えの方に最も大きなハードルとなるのは10万ドル(約1千万円)という値段です。1匹のクローン犬をつくるため、多くの研究者が何カ月も努力を費やすため、巨額のお金が必要になるのです。

(中略)

このコンテストの優勝者には、愛犬を複製するチャンスを無料で提供します。

(SOOAM BRF「The 1st Dog Cloning Competition U.K.」より)

研究院によると、愛犬をクローンにしたい、最も特別で感動的な理由のある1人が勝者となる。犬の種類や性別、年齢などに制限はないが、応募資格はイギリス在住者に限られる。11月25日までに電子メールか郵便で応募するよう求めている。愛犬から生体細胞を切り取る作業が必要になるが、犬を傷つけることはないとしている。

イギリスの公共放送「チャンネル4」も11月10日、プレスリリースを出した。スアム生命工学研究院のスタッフを追跡取材するドキュメンタリーを制作するという。

韓国人のチームは、愛犬を亡くすことなど考えられないような超愛犬家たちと会います。飼い主たちは、愛する4本脚の家族が天寿を全うしたとき、なぜ替わりの犬を用意する必要があるのかを証明しようとします。

映像は、スアム生命工学研究院のスタッフと愛犬家たちの最初の出会いから始まり、韓国でのクローン化のプロセスを経て、クローンの子犬と愛犬家の感動の対面までを追跡します。

(Channel 4「Channel 4 follows competition to give a dog a clone」より 2013/11/10)

責任研究員として研究所を率いる黄禹錫(ファン・ウソク)氏はソウル大学教授だった2005年5月、人クローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)作製に世界で初めて成功したと米科学誌サイエンスに発表した。しかし、研究成果に疑惑が相次いで提起され、ソウル大学の調査委員会は2006年1月、「ES細胞は存在せず、データは捏造された」と調査報告を出し、黄氏はソウル大学を罷免された。

黄氏は2006年に責任研究員となり、研究実績では臓器移植用に免疫を除去したブタや麻薬探知犬、日本からの依頼で胆管ガンを患ったシベリアンハスキーの複製に成功したとしている。また、下記のような実績も強調している。

2005年、世界初のクローン犬が生まれたとき、妊娠率は2%以下でした。それが過去5年間、スアムの研究者の絶え間ない努力によって、クローン犬の平均妊娠率は30%近くに達しました。この間、スアムは200匹以上のクローン犬を生み出すことに成功しました。

(SOOAM BRF「Achievement」より)

朝日新聞デジタルは、以下のように解説している。

クローン犬は、愛犬の皮膚組織などの体細胞から核を取り出し、別の犬から提供された卵子に移植、それを「代理母」となる犬の子宮に移植してつくられる。

(中略)

帯広畜産大の鈴木宏志教授(家畜生命科学)によると、遺伝子の配列が全く同じでも毛の模様などは違ってくるという。「設計図は同じでも、大工や材料が異なれば建つ家の外観も異なる。クローンでも育った環境により、性質も変わってくる」と話す。

朝日新聞デジタル「賞品は愛犬の「クローン」 英国のコンテストに物議」より 2013/10/29 11:44)

動物実験に反対する愛護団体の関係者は、以下のように疑問を投げかけた。

1匹の犬のクローンを誕生させようとしたら、多くの雌犬が卵子の提供をし、代理母として使われる。また、成功率という形では公表されないだろうから、本当にどのくらいの卵子が何頭の犬から取り出され、何頭の犬が代理母となり、どのくらいの犬が正常な分娩をし、どのくらいの犬が流産や死産になり、障害などを持って生まれてきた犬はいないのか、まったくわからない。

ここで登場する犬たちは実験動物のように、注目され、議論の俎上に乗ることができるのだろうか?

(動物実験廃止・全国ネットワーク(AVA-net)「こんな動物実験が必要ですか?」より)

【※】愛するペットのクローン、あなたは欲しいと思いますか?皆さんのご意見をコメント欄にお寄せください。

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