世界遺産に「軍艦島」ふさわしい?韓国で反対続く 「負の遺産に意義」との声も

日本政府がユネスコの世界文化遺産に推薦した「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、韓国内での反発が続いている。長崎の端島炭坑(軍艦島)など、戦時中に朝鮮人が徴用された「負の遺産」との意見からだ。
Taichiro Yoshino

日本政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦した「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、韓国内での反発が続いている。

この遺産群は九州・山口を中心に岩手から鹿児島まで8県にある、幕末から明治までの重工業の発展に貢献した28施設。現在は島全体が廃墟になっている長崎県の端島炭坑(通称・軍艦島)や、八幡製鉄所(北九州市)など現役の施設などを、産業遺産群として登録をめざす。2015年の世界遺産委員会で登録の可否が審査される見通しだ。

Ruins of Hashima

軍艦島の写真集

■「朝鮮人強制動員の労役の場」

一方で韓国政府は、日本政府に繰り返し「朝鮮半島の人々が強制的に徴用され、働かされたつらい歴史が刻まれている」として、世界遺産推薦に反対の立場を伝えている

韓国の大韓都市・国土計画学会は11月22日にソウルで開いたセミナーで、以下のように主張した。

対象地域の九州・山口は845カ所の朝鮮人強制動員(徴用)の労役の場があった日本最大の徴用地帯であり、登録を推進している26カ所中17カ所は徴用の現場であり、第2次世界大戦で軍需産業施設や、戦争のための燃料供給地でした。にもかかかわらず、日本政府は徴用に関する事実を明らかにせず、技術レベルの機能的な妥当性だけを主張しています。

(「日韓国際セミナー 世界文化遺産登録候補地の真実について問題提起」より 2013/11/26)

■「悪いとされたものにも価値はある」

9月18日のハフポスト日本版の記事「韓国、日本の世界遺産推薦に反対 『強制徴用の場』」に寄せられたコメントには、負の遺産を観光資源化して歴史の教訓として学んでもらう「ダークツーリズム」の観点から登録は意義があるとして、韓国側の反応に疑問を呈する意見が多かった。

歴史的価値を語る場合、善いとされたものだけでは悪いとされたものにも価値はあると思う。

歴史には反面教師的側面もあるからだ。

だからこそアウシュビッツ収容所が世界遺産に登録されたのではないだろうか。

韓国の主張が正しいとすれば、(日本も韓国も当事者であるためどちらの主張も信じられない)、それらの事実確認をした上で明示することで反面教師とするのがよいのではないだろうか。

韓国は日本による世界遺産登録を支援した上で、登録された後に韓国からボランティアのガイドスタッフを大量に送り込めばいい。韓国からの観光客、中国からの観光客、英語圏の観光客などに、韓国人のスタッフが「韓国人の怨念の歴史」をレクチャーすればいい。

「正しい歴史認識を」と主張する国が、その「正しい歴史認識」に必要な遺物を「世界遺産に登録する」事に反対するのは矛盾してませんか?

韓国は、これらを「さっさと破壊すべき遺産だ。」と考えているのでしょうか?

韓国の主張では、「アウシュビッツ収容所」は世界遺産の理念に反しているので、登録抹消すべきなのでしょうか?

韓国政府の言い分によれば、強制徴用の場が含まれているとのこと。しかし、だから反対ということは、保護するに値しないという主張であろうか?

韓国政府が世界遺産の理念を理解しているとは到底思えない。日本の富士山が登録されたことに対抗心を丸出しにして、韓国政府はキムチを登録するんだという話も聞きますし。世界遺産はランキングではありません。

一方で「負の歴史」の側面に日本側が言及していないという韓国側の主張に同意する意見も見られた。

韓国外交通商部から、事前に反対の意思表示を通知されながら、何の調節もせず、登録申請を出しても、無理なことぐらい、誰でも理解できそうなものだと思うが。

長崎の方は、原爆遺産なので、反対されず、登録されたかもしれないのに、なぜ、明日のことさえ分からないのか、不思議な気がする。

これらの遺産は確かに近代日本の工業基盤になったものである。従って以下のような説明のもとで申請を出し直したらいかがだろうか。

八幡製鉄所や長崎の軍艦島は近代日本の工業基盤を支えました。そこでは数多くの低賃金の労働者が酷使され、社会保障もない、あの戦前の不十分な工場法さえ登場していなかったころ、多くの人々が過酷な人生を余儀なくされました。

(中略)

その中には朝鮮から強制連行された人々、中国から強制連行された人々が含まれ、彼らは自分の祖国を植民地にした国、あるいは侵略真っ最中の国のために、日本人をはるかに下回る条件・環境で労働に就かされたのです。

韓国紙・朝鮮日報によると、韓国は11月19日にパリで開かれた第19回世界遺産保護協約当事国総会で、世界遺産の決定権を握る委員国(12カ国)に当選した。「最近、日本が世界遺産委員会に推薦した植民地時代の徴用労働現場である端島などについて、2015年に決定すると予想されており、韓国はこれについて意見を述べることができるとみられる」と報じている。

【※】負の歴史を併せ持つ遺産は世界遺産にふさわしいと思いますか?候補となる施設が持つ負の側面も明示すべきと思いますか? あなたのご意見をコメント欄にお寄せください。

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