無料プレゼントも:感謝祭セールの新しい伝統は「銃」

アメリカでは、11月の第4木曜日に感謝祭を祝う。その翌日のブラック・フライデーには、全米でバーゲンが開催され、買い物客たちは、お目当ての薄型テレビやビデオゲーム、アグのブーツや最新のおもちゃなどをめぐってバトルを繰り広げる。

アメリカでは、11月の第4木曜日に感謝祭を祝う。その翌日のブラック・フライデーには、全米でバーゲンが開催され、買い物客たちは、お目当ての薄型テレビやビデオゲーム、アグのブーツや最新のおもちゃなどをめぐってバトルを繰り広げる。

ところが、別の種類のバーゲン品を狙う客たちもいる。銃器だ。感謝祭の後に銃を購入するのが、アメリカの新しい習慣になりつつある模様なのだ。

銃器購入の際には犯罪歴等の確認が必要だが、米連邦捜査局(FBI)の報告によると、ブラック・フライデーの買い物の際に提出される犯罪歴の確認件数が、過去2年にわたって史上最多を記録しているという。

2012年のブラック・フライデーには15万4873件という確認申請がなだれ込み、同年の1日平均数のおよそ3倍に達した。その影響で、即時犯歴照会システムのコールセンターの中には、一時的にサービスを停止せざるを得ない所もあったほどだ。

FBIは、銃器購入者数自体の統計調査は行っていない。複数の銃器を同時購入する客もいるので、ブラック・フライデー当日の銃器販売総数は、犯罪歴確認数よりも多いことも考えられる。FBIの発表では、今年10月31日までの犯罪歴確認件数は1723万8102件となっている。

昨年、銃器に対する需要が高まったのは、オバマ大統領の再選により、銃規制が強化されるのではないかとの懸念が広がったことも原因とされている。また、今年に入っても引き続き銃に対する需要が落ちない要因としては、コネティカット州ニュータウンで2012年12月に起こったサンディフック小学校銃乱射事件がある。児童20名、大人6名が犠牲となったこの事件の後は、銃が規制される可能性がさらに高まったからだ。

アウトドア用品のチェーン店バス・プロ・ショップスは、Bushmaster M4カービンなどの半自動小銃を、拳銃およびショットガンとセットにして売り出した

スポーツ用品チェーンのディックス・スポーティング・グッズは、感謝祭当日から土曜日まで、すべての銃器を割引価格で販売すると大々的に宣伝した。

アウトドア関連用品を販売するカベラスにいたっては、ブラック・フライデー・イベントとして銃器の無料プレゼントを行った。金曜日の来店者先着600名に無料の福袋が用意され、ブローニング社製X-Bolt Medallionライフルなどがもらえたのだ。

ウォルマートは全米最大の銃器販売業者でもあるが、ブラック・フライデーには「店長のスペシャルセール」と銘打ち、銃器取扱店舗で一部のロング・ライフルおよびショットガンを20%の割引価格で販売した。

もっとも、シカゴ大学の米世論調査センター「National Opinion Research Center」(NORC)の調査によると、銃を所有するアメリカの世帯数は過去40年で減少しているという。ただし、その減少が銃器売り上げに反映されているわけではない。

銃規制を支持する団体「Moms Demand Action for Gun Sense in America」の創設者シャノン・ワッツ氏はこう説明する。「銃の所有者数が減っている反面で、1人当たりの所有数は増えているというのが現状です。銃器メーカーは(所有者に対して)もっと買うよう宣伝しなければならないのです」

[Kim Bhasin(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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