2013年の経済・ビジネス 重大ニュースは

自民党政権に変わった2013年、ビジネス・経済界ではどのようなことが起こったのかを振り返る。
時事通信社, Getty, Reuters

「2013年・年末の株価は1万2000円ぐらいになる」

2012年12月末にロイターが専門家を対象に行なった調査では、2013年12月末の日経平均株価を1万1000円〜1万2000円ぐらいと予想する人が多かった。あれから1年。2013年12月27日の日経平均終値は、1万6178円94銭となっている。自民党政権に変わった2013年、ビジネス・経済界ではどのようなことが起こったのかを振り返る。

■日銀が「白から黒へ」アベノミクス・リフレ派への反対は何だった?

日本経済再生の最初のカギに金融政策を掲げた安倍首相は、わざと物価を引き上げインフレを作り出す「リフレ」政策を行うことでデフレを脱却しようとする。これが「日銀が市場にお金を回しても、借りる人がいない」「給料は下がっているのに物価が上がっては経済が苦しくなる」などの反論を招く大論争となった。

安倍首相は白川方明氏から黒田東彦氏へ日銀総裁を変え「異次元緩和」を実行。もともとリフレに反対していた日銀の審議委員らも「白から黒へ」態度を豹変。4月には「異次元緩和」が行われた。

■TPP交渉参加決定に

安倍首相は3月、TPP交渉への参加を表明。日本は「重要5項目は聖域」として交渉を開始したが、「高い自由化率を目指す」とするTPPの理念に対し、開放割合が少ないと批判されている。

そのため、日本がどのような条件で譲歩するかが焦点となっているが、「異常な秘密主義」のために、どのような交渉が行われているか分からない状態でもある。結果、交渉は難航。年内妥結は見送られ、2014年に持ち越されることになった。

■消費増税の決定で、いろいろ値上げも…

消費税率を「毎年1%づつ、なだらかに上げるべき」という反論も出たが、結局2014年4月に8%にすることが決まった

これにあわせて電車運賃ATM手数料タバコ郵便料金などの値上げ案も出ている。

一方、円安の影響などを受け、電気料金、大豆や小麦、弁当旅行のツアー料金などが、消費増税を待たずに値上げになっている。

■「軽自動車税」や「高額飲食税」、増税は消費税だけじゃない?

アベノミクスの「第4の矢」ともいわれるのが「財政再建」だ。政府の借金が1兆円を突破し、高齢化社会で増え続ける社会保障費をどのようにまかなうかが課題となっている。消費増税で景気の腰折れを防ぐため、「軽減税率」や「児童手当の拡充」などの新たな経済政策を打ち出す一方、「軽自動車税」や1万円以上の飲食に課税する「高額飲食税」、「年収1200万円超え増税」、「休眠口座の活用」、死亡時に税金を課す「死亡消費税」なども検討されている。

■「賃金アップ」や「五輪開催」で「人材不足」の懸念も

復興法人税前倒し廃止を決めたこともあり、「今度は賃上げを」と経済界に依頼をしてきた安倍首相。「賃金を上げないと恥ずかしい企業だという環境」が作られることも検討されている。ローソンがいち早く対応したほか、のボーナスも上がり、2014年の春闘ではベアも検討されるなど、明るい兆しも見える。

一方、賃金回復よりも株主への配当復活(復配)を優先させる企業があったり、平均給与が下がり続けるなどの指摘もある。

また、景気回復を受けてアルバイトの不足や、より賃金の良い業種に就く人が多く保育士のなり手が少ない状況、五輪決定などによって建設人材や復興人材が足りないという懸念も生まれてきた。

■「解雇特区ではないですから」硬い岩盤規制と規制緩和

2014年に一番力を入れたいのは国家戦略特区で構造改革をすすめること」と安倍首相は断言。竹中平蔵慶応大教授や楽天の三木谷浩史社長らが「公設民営学校」や「薬のインターネット販売解禁」などの規制緩和を進めようとしたが、思うようには進んでいない。

雇用の流動化を促す特区については「解雇特区」と大批判を浴び、議論を行うことすらが先送りされた状態だ。

■クールジャパンと原発売り込み

アベノミクスで日本の産業を輸出することを掲げる安倍首相は、トップセールスマンとして世界を駆け回った。和食コンテンツなどを売り込むイベントを積極的に開催しようと注力している。

また、プラントも日本が海外に売り込みたい産業の一つで、ベトナムへの原発建設に続き、トルコへのに原発輸出も決めた。その他、UAEやサウジアラビアインドイランなどとも原子力の安全利用について交渉している。

安倍首相は2014年1月にはアフリカに訪問予定。これまで地道に続けてきた援助が「今花開くとき」と位置づけている。

■個人投資家を襲った「ガンホーショック」

株価上昇を受けて、個人投資家が市場に戻ってきた。2020年の東京オリンピック開催が決まったことで、関連株も上がった。

一方、思ったよりも業績が悪く、投資家を震え上がらせた銘柄もあった。その一つが人気スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を展開していたガンホー。7月にはパズドラ1700万ダウンロードを達成したが、四半期ベースでの減収減益に失望売りが殺到して下落。「ガンホー・ショック」と呼ばれた。

■ドコモのiPhone参入 ソフトバンクの海外進出

9月にはNTTドコモがiPhone参入を発表。国内大手3社が出揃うことになった。しかし、NTTドコモは主力のiPhone 5sが品不足であったため、9月だけで13万件の顧客を失うはめに。逆にKDDIが顧客を伸ばした。

しかし、ソフトバンクの孫正義社長は「国内はすでに飽和している」と海外に目を向けていた。7月にはアメリカ第3位の携帯会社、スプリント・ネクステルの買収を完了。世界第3位の携帯電話グループとなった。12月にはソフトバンクがアメリカ4位のT-Mobileを買収する可能性も報じられており、達成すると世界2位の規模にまで拡大することになる。川にとどまるヤマメと海に出るサクラマス。2014年も目が離せない。

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