細川氏当選ならアベノミクスに陰が差す可能性も【都知事選】

2月の東京都知事選で細川氏が当選すれば、安倍晋三政権は首都の首長選で敗北するばかりでなく、原発再稼働を視野に経済再生を図るという経済運営に支障をきたし、アベノミクスの推進にも大きな陰が差しかねないとする見方があるようだ。
時事通信社

細川護熙元首相が「脱原発」を訴えて東京都知事選挙に立候補すると表明し、小泉純一郎元首相が支援すると明言、選挙の構図は大きく変わった。

仮に細川氏が当選すれば、安倍晋三政権は首都の首長選で敗北するばかりでなく、原発再稼働を視野に経済再生を図るという経済運営に支障をきたし、アベノミクスの推進にも大きな陰が差しかねない。また、経営再建が焦眉の急となっている東京電力

<細川氏勝利なら、エネルギー政策への影響必至>

23日告示、2月9日投開票となる東京都知事選には、舛添要一元厚生労働相、日弁連前会長の宇都宮健児氏、元航空幕寮長の田母神俊雄氏、発明家のドクター・中松氏(中松義郎氏)らが出馬を表明している。

当初は、自民党東京都連が支援を決定した舛添氏が優位に戦いを進めるとみられていたが、脱原発を掲げる細川氏が小泉純一郎元首相と連携、出馬を表明したことで、様相は一変。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの顔を選ぶ選挙から、原発の是非も争点に、現政権の政策を問う「準国政選挙」に変質しつつある。

細川氏は14日、知事選への支援を求めて、小泉氏と会談。その後、知事選への出馬を表明した。小泉氏は「原発がなくても日本は発展できる。細川さんを支持する最大の理由はその点にある。最大の支援を注ぐ価値がある」と発言、支援する姿勢を明確にした。

都知事選は、これまでも青島幸男氏などタレント色の濃い候補が当選してきた歴史がある。政治評論家の屋山太郎氏は小泉純一郎元首相の支援もあり、細川氏が選ばれる可能性があると指摘。安倍政権にも一定の影響が及ぶとみる。

政治アナリストの伊藤惇夫氏は、細川氏が勝った場合、国のエネルギー政策に影響がでると指摘。「原発再稼働が遅れることで貿易収支の赤字が続き、国内の景気や経済に影響が出る可能性がある。その場合は、アベノミクスへの期待が吹き飛ぶ可能性もある」とみる。

実際、14日の東京市場では、日経平均

また、東京都は東京電力の株主でもある。すでに実質国有化されているため、限定的ながら、東京電力の経営への影響も出てくる。原発再稼働が遅れれば、経営計画そのものの見直しを迫られる可能性も出てくる。

<警戒する政府、けん制発言相次ぐ>

政府にとって、小泉氏がここまではっきりと細川氏の支援に回る事態は、想定を超えていたもようだ。自民党都連が推す舛添氏については「国際政治学者だが、単なる学者ではなく、厚生労働行政にも貢献された方」(菅義偉官房長官)と前向きに評価してきたが、細川氏の立候補にはけん制発言が相次いだ。

甘利明経済再生担当相は14日の会見で「何をお考えになっているかよくわからない」とし、「エネルギー政策はオールジャパンで考えないといけない。日本全土をみられる主体が責任を持って進めていく」と指摘。都知事選と原発問題は別だとの認識を示した。

菅官房長官も14日午後の会見で「原発は国全体で取り組むべき問題であり、東京都だけで決める政策課題ではない」と言及。「(細川氏は)引退というより総理を辞めざるを得ない状況で辞められた。猪瀬都知事はお金の問題で辞職したが、細川さんも20年前、佐川急便から(借り入れたとされる)猪瀬さんの倍のお金の問題で辞任した。そうしたことを都民がどう受け止めるかだ」と発言している。

実際、メディア受けする細川、小泉氏のタッグは脅威でもある。菅官房長官も会見で「(小泉氏の支援が選挙戦に与える)影響がないといえばうそになる」と認める。

「都知事選は空中戦。いかにメディアを使うかがポイント」(伊藤惇夫氏)とされるが、その行方は今後の日本経済を左右するインパクトを持ちかねない。

(石田仁志 編集:田巻一彦)

[東京 14日 ロイター]

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