安重根記念館がハルビンに完成 外務省は「けしからん話だ」と中韓に抗議

初代総理大臣で初代韓国統監の伊藤博文を暗殺した、韓国の独立運動家・安重根(アン・ジュングン)の記念館が1月19日に完成した。記念館が建てられたのは、暗殺の舞台となった中国黒竜江省のハルビン駅。かねてから安重根の記念碑建立を望んでいた韓国の朴槿恵大統領に、中国政府が応える形となった。外務省は中国と韓国の双方に抗議。
時事通信社

初代総理大臣で初代韓国統監も務めた伊藤博文を暗殺した、韓国の独立運動家・安重根(アン・ジュングン)の記念館が1月19日に完成した。記念館が建てられたのは、暗殺の舞台となった中国黒竜江省のハルビン駅。かねてから安重根の記念碑建立を望んでいた韓国の朴槿恵大統領に、中国政府が応える形となった。

■暗殺の舞台、ハルビン駅に

朝鮮独立を求めて活動していた安重根は、1909年にハルビン駅のホームで伊藤博文を暗殺し、のちに日本に引き渡され死刑となった人物。現在も「反日のシンボル」として韓国で人気を集めており、2013年にソウルで開催されたサッカー東アジア杯の日韓戦では、安重根の肖像が描かれた巨大な垂れ幕が掲げられた経緯もある。

今回開館された記念館は、暗殺の舞台となったハルビン駅の貴賓待合室を改造して作られた。館内には安重根の胸像が飾られ、パネルや写真で彼の生涯を紹介している。

マイナス20度を超える極寒の中、人々が行き交う駅広場前の目立つ場所に造られた「安重根義士記念館」は、1899年に開業したハルビン駅舎の面影を再現。玄関には赤いじゅうたんが敷かれ、100平方メートル以上の同館入り口付近には安重根の胸像が飾られた。


「愛国運動に身を投じた」「抗日を指導した」など経歴を写真とパネルで紹介。大きな窓からは暗殺の舞台となった駅一番ホームを臨め、ホーム屋根から「安重根の伊藤博文銃殺事件発生地」と記されたプレートが吊るされた。これまではホーム床に、安重根が撃った場所と伊藤が倒れた地点に印が付けられただけだったが、より目立つ形にした。


(時事通信社「安重根、異例の「VIP」待遇=記念館開設、韓国人ら続々-中国ハルビン」より 2014年01月20日 15時09分)

■朴槿恵大統領、かねてからの要請

朝日新聞デジタルによると、韓国の朴槿恵大統領は、2013年6月に訪中した際に「韓中両国民が尊敬する歴史的な人物だけに、(暗殺現場の)ハルビン駅に記念碑を設置してほしい」と、安重根の記念碑建立を習近平国家主席に直接要請していた。これに対して習氏は「関係機関に検討を指示する」と答えるに止めたと報じられている。

しかし、2013年末の安倍首相の靖国参拝を受けて、中国側は態度を一変。記念館を開館し、朴槿恵大統領の要請からさらに格上げする形で希望に応えることで、中韓の連携を強める狙いだと考えられる。記念館完成にあたり、韓国外交省も「開館を歓迎し高く評価する」という談話を発表した。

■「安重根はテロリスト」日本側は抗議

これに対して、菅義偉官房長官は1月20日の記者会見で「安重根はテロリストだと認識している」などと発言し、中国による記念館開館を批判した。

菅官房長官は20日午前の記者会見で、「これまで韓国・中国両国に対して、わが国の立場と懸念を累次にわたって伝達してきたなか、このような結果となったことは、極めて残念であり、遺憾だ」と述べ、直ちに両国に外交ルートで抗議したことを明らかにしました。


そのうえで菅官房長官は、「アン・ジュングンは、わが国初代の内閣総理大臣を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだと認識している。日本と韓国の立場は異なっているが、一方的な評価に基づいて韓国・中国が連携し、国際的に展開するような動きは地域の平和と協力の関係構築に資するものではないと言わざるをえない」と批判しました。


(NHKニュース「アン・ジュングン記念館完成で抗議」より 1月20日 12時27分)

さらに、外務省の伊原純一アジア大洋州局長は中国、韓国の駐日公使に電話抗議を行い、遺憾の意を露にした。

伊原氏は「日本の立場と相いれず大変遺憾だ」と伝えた。外務省幹部は「日本では安重根は犯罪者だという歴史上の評価がある。けしからん話だ」と中韓両国の対応を批判した。


(MSN産経ニュース「『けしからん話だ』外務省、中韓両国に抗議」より 2014年1月20日 11時42分)

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