性同一性障害で女性から男性になった夫の子も「嫡出子」に 法務省が通達

性同一性障害で性別を男性に変更した人が女性と結婚し、第三者から精子の提供を受けて子どもをもうけた事例について、法務省は27日、子の戸籍の父親欄に性別を変更した男性の氏名を記載するよう全国の法務局に通達した。2013年12月に同様の事例で血縁がなくても父子関係を認めた最高裁決定を踏まえたものだ。
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性同一性障害で性別を男性に変更した人が女性と結婚し、第三者から精子の提供を受けて子どもをもうけた事例について、法務省は1月27日、子の戸籍の父親欄に性別を変更した男性の氏名を記載するよう全国の法務局に通達した。2013年12月に同様の事例で血縁がなくても父子関係を認めた最高裁決定を踏まえたものだ。朝日新聞デジタルなどが報じた。

従来、法務省は「夫に男性としての生殖能力がなく、子との血縁関係がないのは明らか」として、性別変更した男性と子を法律上の親子とは認めていなかった。このため、戸籍の父親欄を空欄とする運用が続いていた。

法務省によると、今月20日現在で、父親欄が空白になっている同様の家族は全国で45組。各法務局がそれぞれの家族に連絡し、方針変更を説明するという。

(朝日新聞デジタル「性別変更の父親名、戸籍に記載 精子提供出産で国通達」2014/01/27 12:18)

最高裁決定がなされたのは、女性から男性に性別を変更した兵庫県在住の夫と妻が起こした裁判。2013年12月11日最高裁で、第三者の精子提供を受けて出産した子が「嫡出子」であると認められた。従来は性別を変更した人が、非配偶者間の人工授精で子どもをもうけても、「血縁関係がないのは明らか」として認めてこなかったが、生まれながらの男女の夫婦が非配偶者間の人口受精による不妊治療で子どもをもうけた時は嫡出子として受理される実態があり、その差が問題となっていた

NHKニュースによると、最高裁で「嫡出子」と認められたケースではすでに戸籍が訂正されている。

法務省の今回の通達では、今後同じようなケースで生まれた子どもの出生届が提出された場合は、これを受理し、「嫡出子」として戸籍に記載するとしているという。

法務省は27日、今後の戸籍の取り扱いについて各法務局に通達を出しました。それによりますと、今後、同じようなケースで産まれた子どもの出生届が提出された場合は、これを受理し、「嫡出子」として戸籍に記載するとしています。また、すでに出生届が出され「婚外子」として戸籍に記載されている場合には子どもの戸籍で空欄になっている父親の欄に、夫の名前を記載するよう訂正するとしています。さらに、子どもが養子となっている場合も、同じように戸籍を訂正し、養子縁組の項目を取り消すとしています。

(NHKニュース「性別変更の夫婦の子「嫡出子」とする通達」2014/01/27 11:50)

また、47NEWSによると、戸籍だけでなく、子の出生届を提出する際も、嫡出子として記載することになる。夫婦からの申し出がある場合には、訂正された履歴の記載を消すこともできるという。

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