「東京都知事選 候補者ネット討論」全文書き起こし(4/8) 少子高齢化に伴う社会保障の充実

東京都知事選(1月23日告示、2月9日投開票)に立候補をしている宇都宮健児氏、田母神俊雄氏、舛添要一氏、細川護熙氏(届け出順)の4候補者が登壇する「東京都知事選挙 候補者ネット討論」が2014年2月1日夜、都内でおこなわれた。
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東京都知事選(1月23日告示、2月9日投開票)に立候補をしている宇都宮健児氏、田母神俊雄氏、舛添要一氏、細川護熙氏(届け出順)の4候補者が登壇する「東京都知事選挙 候補者ネット討論」が2014年2月1日夜、都内でおこなわれた。

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・[ニコニコニュース](3/8) 原発活用の是非を含めたエネルギー政策

討論では、各候補者からの「オープニングメッセージ」に始まり、「2020年、東京オリンピック・パラリンピックへの対応」「原発活用の是非を含めたエネルギー政策」「少子高齢化に伴う社会保障の充実」「首都直下地震に備えた防災対策」の4テーマが採り上げられ、討論の後半ではニコニコ生放送の視聴者によるアンケートによって「東京都尖閣諸島寄付金」「景気と雇用」の2テーマが決定された。今回の都知事選において、4候補者が一堂に会した討論の生放送は初めて。

なお、この討論は、グリー株式会社、株式会社サイバーエージェント、Twitter Japan株式会社、株式会社ドワンゴ、ヤフー株式会社、Ustream Asia株式会社、LINE株式会社(50音順)のネット事業者7社が取り組んでいるネット選挙応援企画 「わっしょい!ネット選挙」が協力。各社が展開するサービス(AmebaBLOGOSGREEniconicoTwitterUstreamYahoo!みんなの政治)において、生放送配信、ニュース記事配信、ユーザーへの告知、討論テーマの募集等がおこなわれた。

このニュースでは、討論の内容のうち、「少子高齢化に伴う社会保障の充実」を全文書き起こして紹介する。

■少子高齢化に伴う社会保障の充実

司会・角谷浩一(以下、角谷):では次のテーマにいきます。「少子高齢化に伴う社会保障の充実」の問題です。東京は、ことに急速に高齢化社会が訪れるといわれている大都市の一つです。この問題についてみなさんのお考えを。これも同じように、宇都宮さんからお願いします。

宇都宮健児氏(以下、宇都宮):はい。高齢化の問題は日本全国の問題ですけれども、東京も例外ではありません。

ところがその、冒頭でお話しましたけれども、石原都政、猪瀬都政では、やっぱり高齢者に対する福祉の問題をかなり軽視ししてきたところがあります。先ほどお話しましたように、特別養護老人ホームに入りたくても入れない人が4万3000人を超えているわけです。そういう対策をきちっととっていくべきだと思います。

また在宅で介護をしなきゃいけない、それを望む高齢者に対しても、私は、ヘルパーさんとか看護士さんが、巡回で24時間、巡回介護、巡回看護をする在宅型のケアシステムを作るべきだと考えております。

それから、高齢者に対する様々な制度。美濃部都政のときは、たとえばシルバーパスというのは無料で交通公機関は利用できた。老人医療の助成制度があった。それをもう一回復活させたいと思います。

少子化の問題。若いお父さんお母さんが結婚して、子どもを育てる環境になっていないですね。収入が非常に低い、それから住まいがちゃんと整っていない。こういう問題について、相当、行政のほうが応援して、保育園を増やす。

それから保育園だけじゃなくて、児童館とか、学童を寿実させる。こういうことで女性が社会進出しやすいような環境を作るということがない限り、私たちがいろいろ話を聞くともう2人目は諦めたと、そもそも最初子どもを産むことがしんどい、というような状況があります。

そうすると、働いている人の収入を相当上げる。それから保育環境を作っていく。それから、住まいをちゃんと、人間らしい住まいにしていく。こういう環境づくりをやらないと、少子化の問題は解決できないと考えています。

角谷:では、田母神さんお願いします。

田母神俊雄氏(以下、田母神):子どもが大変うまれにくいという状況が東京にありますので、子育て支援策を強化していなければいけないと思います。私はですね、女性の社会進出が進んで、働きたいという女性がいっぱいいます。こういった女性が子どもを預けて働くことができるように、保育所とか託児所とか、必要数を作らなきゃ行けないと思っております。

また一方では、家庭にあって子育てに専念して、次の世代の子どもを育てるという女性もいます。こういった女性もやっぱり支援を受けられるような体制を作らなければいけないと思います。具体的には、たとえばアパートの家賃を、子どもがひとりいれば3万円安くします、補助します、とか。2人いればさらに安くしますとか。そういったことで、子育てをしやすいような環境を作ってやることが必要ではないかと思います。

高齢化についてはですね、今東京はひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんが大変多いと。どんどん増えるということでですね、孤独感とかひとりぼっちを味わうことが多いわけです。そして、亡くなっても、誰も1週間も2週間も気付かないという状況もありうるんです。ありうるというか、いっぱいあるんです。

こういったことでは「やさしい街東京」とは言えない、ということでですね、私は先ほど言ったように、「3世代型の住宅」ですね。そして、お年寄りに絶えず配慮が配られているというような街にしたいな、というふうに思います。

お年寄りが子どもたちと接触することもできるし、そうすればお年寄りが孤独感を味わうこともないということで、町内会とかですね、それから子ども会とか、あるいは自治会とかPTAとか、そういった会がゆるやかに機能しているという状態を作ってですね。

で、首都直下型の地震もきますので、災害のときの対処訓練も必要だと思いますから。そういったことを積極的にやることによってですね、周辺の人が顔見知りであると。困ったときは助けてくれる、というような街を作っていくことが大事かなというふうに思っています。

角谷:はい、ありがとうございます。では、舛添さん。

舛添要一氏(以下、舛添):社会保障っていうのは、「ゆりかごから墓場まで」と言われているように、人の生涯を見ないといけない。厚生労働大臣やりましたから、ずっとその政策をずっとやってきました。

たとえば、妊婦さんが産科をたらい回しにされて病院に行けないと。何とかこれを解決しようと思って、相当、産科の問題は解決しました。ただ、産婦人科のお医者さん、数、全国的には増えているんですけど、ちょっとまだ東京はそこまでいってない。これも改善したいと思います。

それで、子ども生まれて子育てしたいということきに、保育所、これが足りません。今、待機児童が8千人。私は、細かい主張はのちほどお話しますけれども、この待機児童8千人を4年間でゼロにすると。これはもう都民のみなさんにしっかりお約束したいと思います。

じゃあそれから、学校を出て就職したいといったときに、なかなかこの不景気が続きましたから、職がない。今ちょっと景気が上がってきていますけれども、職業訓練とか、いろんな手当をしないといけない。私が厚労大臣やっていたときは、ハローワーク含めて、雇用保険のファンドを作って、相当がんばって職業訓練をしました。その国のレベルに上乗せした形で、東京都としても様々な援助の手段がありますから。とにかく「若者に雇用を」というふうに思っています。もちろん中高年の雇用もそうです。

それから医療介護について。これはもう、もっともっと拡充しなければならない。先ほど待機児童って申しましたけれど、特養(特別養護老人ホーム)に入れない待機老人が、万単位でいるわけです。これもやはり、特養をどうすれば建設できるのか。こういうことを含めて、きちんとやりたいと思います。

最大のポイントはですね、土地が高いからなんです。東京都には、都が保有する土地がいっぱい余っています。これを安い地代で有効に活用することによって、特養も、老険も、保育所もやる。知恵を働かせれば、さほどお金を使わないでも、かなりの前進ができると思っております。

角谷:はい、ありがとうございます。では細川さんお願いします。

細川護熙氏(以下、細川):都の資産なども活用してですね、これは両方の、高齢者の場合にも、待機児童の問題についても言えることと思いますが、そうしたスペースの確保というのは、もちろん、考えていく余地があると思います。

高齢者の問題について言えば、やはり孤独死がやはりよく報じられるというような状況ですから。何か、隣組的なネットワークというものを行政も支援して、お年寄りがそうしたものに頼ることができるような仕組みというのを、何か考えられないものか。それが、ただ「控除」ということではなくて、「共助」ですね。共に助け合う。そういう精神に乗っ取って進めていくということがひとつ、ポイントではないかと思います。

それから待機児童のことについては、実数は今報じられている8千人かなんかということよりも、はるかに多いと思いますし。やっぱりこれは、女性が社会に出て活躍をする、仕事に就くということは、日本社会の活性化に一番繋がっていく話ですから。そういう点をやはり考慮して、念頭において、そこをとにかくどういう風に広げていくか。いろいろ、有資格者の支援をしていくとか、あるいはもちろん、手当のことも考えていかなきゃならんと思いますけれども。

一番手っ取り早いのは、都の担当の職員の人たち。今、女性半分くらいいるんですけれども、そこもっと女性を増やす。そうすると、彼女たちは一番、実際に体験として、身近なこととして考えられるわけですから。その職員を、今3分の2くらいに増やせるのではないか、増やしたらいいのではないかと思います。

角谷:はい。ということで、この問題ですけれども。はい、じゃあ田母神さんからいきましょう。

田母神:今、横浜市で子育て中の若い女性の相談に応じる、「子育てコンシェルジェ」というシステムがあるんだそうです。子どもを預けたい、いつどんな時間帯に預けたいだとか、いろんな要望を聞いて、それを行政にきめ細かく反映をしたり、預かってくれる人を紹介したりと、いろんなことをやっているそうですが、これが横浜市で大変評判がいいんだそうです。ですから私は、東京で、この「子育てコンシェルジェ」というシステムを導入してもいいしですね。各地区に、子育てを終えた45歳から60歳くらいの女性を配置して女性の相談に乗る、ということだそうです。

そういった意味では、高齢者コンシェルジェとか障害者コンシェルジェもあってもいいと思いますし、そういったもので、こういった、いわゆる弱者ですね。青少年も含めて、そういった人たちが直接相談できるコンシェルジェのようなシステムを、東京ももっと強化していったらいいのかなという風に思います。

角谷:はい、じゃあ舛添さん。

舛添:首長さん、知事や市町村長から見ると、国のいろんな指示っていうのは、「何だこれは」っていうのがあって、相当、不満がありました。私が厚生労働大臣のとき。それまで、厚生労働大臣と知事さんたちの話し合い、そういう一堂に会する会がまったくなかったから、私作ったんです。その後、民主党政権になって、どうなったかわかりませんけれども、もうちょっとそういう対話を続けるべきで。

知事になれば、立場は逆になります。厚労大臣になれば、「一般的なこの基準でやってください」ということをいわざるを得ないんです。だけど、大都会と地方と、違うんです、立場が。そうすると、東京都知事の立場だと、「厚労大臣、ちょっとここは緩和してください」。保育所でも、「この程度でいいじゃないですか」、それは十分ありうる。

だからきちんと厚生労働大臣と協議をしながら、許される範囲での規制緩和をやることによって、切羽詰まっている待機児童、切羽詰まっている待機老人、きちんと解決できると思いますから、この対話やりたいと思っております。

角谷:はい、細川さん。

細川:待機児童の問題でですね、何年間でゼロにするというような、いろいろな、それぞれに公約を出しているわけですけれども。でも、最低基準は一畳の畳にひとり、ということになっていますね。そこにただスペースの問題でですね、スペースを広げるだけで、3人4人も一畳のたたみに子どもが入るということになれば、これは本当にちょっと大きな問題だと思うんですね。だからやっぱり質の問題を考えないと、ただゼロになっただけでは、私はやっぱり問題は解決しないと。そう思います。

舛添:まさに、だからどういう手法でやるんですか、っていうのを私が問うているわけですよ。

切羽詰まっているんですよ。共稼ぎしたい、仕事と家庭を両立したい、そうしたときに、100%しか保育士が揃ってなければ入れちゃいけませんよっていう立場と。そりゃですね、10人必要なのに、1人しかいない。それはもう論外ですよ。だけど、8人まで揃っているんですから、それでどうですか、っていったときに、私は、切羽詰まっているお母さんの立場になれば、「それでも入れて下さい」ということがあるんではないでしょうか、ということを申し上げているんで。

おっしゃるように、基本的な最低限守らなければいけない基準はあると思います。それはいい加減にダメにしちゃいけませんけれども、やっぱり女性、都民のみなさんの極めて切羽詰まったニーズにどう対応するかっていうのは、もうひとつ重要な視点だと思っております。

宇都宮:保育園を増設するためには、保育士を育成する必要があります。それから優秀な保育士さんが集まるように、保育士さんの労働条件を改善する必要があると思います。

それから少子化の問題、建物の問題が重要で、住まいの問題。新しい都営住宅の建設を開始すべきだと思っております。それから都内に75万戸、空家がありますから、それを借り上げて、公共住宅として提供をする。あるいは高齢者ばかりの公共住宅に若者が入れるようにする。こういう工夫が必要だと思います。

それから、労働条件の改善で、最低賃金の引き上げ、ブラック企業を規制する、長時間労働をなくす。こういうことをやらないと、子育てができないです。

それから、公契約条例を、私は必要だと思っております。都が発注する企業で働いている企業の賃金は、一定以上にする。男女平等にしていく。そういうことが必要だと思います。そのために、私は女性の地位向上のために、私は女性の副知事をひとり作りたいと思っております

角谷:よろしいですか?これが最後になります。

田母神:東京の大田区の例だとですね、一人あたりの子どもを預かるのに65万円くらいかかるんだそうです。ですから、それを考えると、もっと違ったやり方がひょっとしたらあるかもしれないと。お隣どうしで頼めるとかですね。そういうシステムをやるために、先ほどの、子育てコンシェルジェのようなシステムがあってもいいしですね。

あと今、介護の問題はですね、介護の、働くのが大変辛くて、辞める人が大変多いという問題があるわけですね。介護士の給料とかという面で、もっときちんと考えていかなければいけないのかな、と思います。

今みなさんが女性の地位の話をされましたけれども、そういった子育てとか、障害者対策、お年寄り対策とかいうときに、女性の副知事のほうがいいかもしれないなということで、私もそれ今考えて、既に当たっているんです。

角谷:はい。この問題は今のお話、それぞれのみなさんのお話からも、規制緩和の問題、それから予算の問題、それから雇用の問題。さまざまなテーマがすべて包括されているテーマでもあると思います。この問題はすべて、いずれにしろ着手しなければならないテーマと。4候補がどんな結果になってもですね、この問題は逃げて、避けられないテーマであるということは、有権者のみなさんもよくわかったんではないかというふうに思います。

・[ニコニコニュース](5/8) 首都直下地震に備えた防災対策

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