小泉純一郎氏のTwitter「なりすまし?」騒動 ネット選挙で問われる「本人確認」 選対事務所がすべきこととは?

1月23日に告示、2月9日に投開票を迎える都知事選。昨年7月の参院選から解禁されたネット選挙で、各候補がどのように利用するかが注目されたが、あらわになったのは「なりすまし」「本人確認」という、前から懸念されていた問題だった――

1月23日に告示、2月9日に投開票を迎える都知事選。昨年7月の参院選から解禁されたネット選挙で、各候補がどのように利用するかが注目されたが、今回の都知事選であらわになったのは「なりすまし」「本人確認」という、前から懸念されていた問題だった。

細川護煕氏のホームページと、小泉純一郎氏のTwitterアカウントの2つの事例を振り返りたい。

■「殿、出番です!」

1月15日、東京・殿様・ドットコム(tokyo-tonosama.com)というアドレスの細川護煕氏のウェブページが現れた。コミカルなURLと、「殿、出番です!」とだけ書かれており、一切連絡先などがなかったため、真偽を巡ってTwitterなどで議論が分かれた。

<15日に現れた、細川氏の公式サイト(15日午後時点のデザイン)>

同日夕方、ハフポスト日本版編集部が神奈川県の細川護煕事務所に連絡。事務所のスタッフはサイトの存在を知らず、電話で伝えてサイトを確認してもらうと、「これは明らかに違いますね、偽物です」と否定。その旨を記事にしたところ、数時間後、選挙対策事務所のスタッフを名乗る男性から、「本物です」と連絡があった。

しかし編集部側ではすでに細川護煕事務所に否定されている。本物とする「選挙対策事務所のスタッフ」の真偽が掴めなかったため、選挙対策事務所責任者の照会を求め、責任者(※取材当時)である元衆院議員の馬渡龍治氏への取材と、細川護煕事務所の確認をもって、サイトが本物であると記事に追記した。

その後、サイトには次々と情報が追加され、名実ともに公式サイトであることが示された。

■小泉純一郎公式アカウントが消えた!

「脱原発」を唱える細川護煕氏の支援を表明した、小泉純一郎元首相のTwitterアカウントは、1月19日に作成され、一気にフォロワーを集めた。Twitter社が本人を確認した証となる、「認証バッチ」が付いていたこと、細川氏の公式Twitterからも祝福のツイートが寄せられたこともあり、本物であることは間違いないと思われた。

しかし、翌20日、時事ドットコムが、小泉氏の事務所がTwitterアカウントの存在を否定したと報じ、一気に真偽問題が浮かび上がった。

小泉純一郎元首相の事務所は20日、短文投稿サイト「ツイッター」に小泉純一郎名のサイトが開設されたことについて「本人はツイッターをやっていない。間違いだ」と全面否定するコメントを発表した。事務所は、ツイッター社に対し経緯を問い合わせ、登録を取り消すよう求めている。

(時事ドットコム「「ツイッター開始」を否定=なりすましの可能性-小泉事務所」より 2014/01/20 15:56)

編集部が小泉氏の横須賀事務所に連絡したが、電話は誰も出ず連絡が取れない状態。認証バッチを与えたTwitter社に話を聞くと、「今回の件も通常通りの手続きで認証を行っております」と本物であることを強調していた。

21日には、7万人のフォロワーを抱えたまま、小泉氏のアカウントが削除されるも、27日には、「やっぱり、やることにしました」とアカウントが復活。その後は通常通り、小泉氏の公式アカウントとして投稿が続けられている。

事務所側はこの件について何も明らかにしていないが、同じアカウントで再度始めたことから、事務所側のミスである可能性が限りなく高い。

■問われる事務所の対応

この2つの事例に共通しているのは、事務所側のネット戦略のずさんさだ。選挙事務所の現場と、メディアの問い合わせ窓口。この両者間の情報が共有されていないことによって、本来、本物であるものを「偽物です」と回答してしまい、問題が大きくなっている。

真偽問題を起こさないためにはどうすればよいか。

まず一つ目は、問い合わせ先をサイトやプロフィール欄に明記しておくことだろう。細川氏、小泉氏いずれのケースも、実際にネット対策を行っている選挙対策事務所のメールアドレスや電話番号があれば、ここまで情報が錯綜することはなかった。

2つ目は、認証アカウントと公式サイトを連動させることだ。

Twitterの認証バッチは、Twitter社が連絡・確認した上で付けるもので、これまで海外で誤認証が1件、事例として挙げられているだけで、本人確認の精度は高い。この認証アカウントで、公式サイトが紹介されれば、そのサイトが本物であることを実質的に認めることができる。

なおFacebookについては、日本では本人認証済みアカウントが導入されておらず、安倍晋三首相でさえ認証なしで運用されているのが現状だ。Facebookにはいち早く導入を望みたい。FacebookとTwitter双方が認証済みアカウントで、さらに公式ページを表示するとなれば、公式サイトの「本人性」もより強固なものとなるだろう。しかし、たとえそうなったとしても、「私企業であるTwitter社やFacebook社が認証手続きを行った」ということをのみを担保にしており、公的な証明にはならない脆弱さについては変わりはない。

■日常的にネットから発信を

そこで重要なのは、選挙の時だけネットを使うのではなく、選挙のない日常においても、公式サイト、ソーシャルメディアを通じて、活動や考えを発信していくことだろう。継続的に発信し、ネットユーザーに届けることこそが、なによりの「本人確認」であり、「ネットを使った支持者集め」につながるのではないだろうか。

※ネット選挙における「本人確認」の問題、あなたはどう思いますか。ご意見をお聞かせください。

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