拉致された子ども「帰ってきてほしい」 横田めぐみさん両親訴える 北朝鮮「人道に対する罪」との報告書

北朝鮮の人権状況を調べてきた国連の特別委員会は最終報告書を発表し、北朝鮮による日本人などの拉致を、国際法上の「人道に対する罪」に当たると断定した。拉致被害者横田めぐみさんの母、早紀江さんは「子どもたち、そしてみんなが帰ってきてほしい」と述べた。
中野渉

北朝鮮の人権状況を調べてきた国連の特別委員会は2月17日、最終報告書を発表し、北朝鮮による日本人などの拉致を、国際法上の「人道に対する罪」に当たると断定し、北朝鮮に対する国際的な司法手続きを進めるべきだと勧告したこれを受けて国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの東京事務所は2月18日、東京・永田町の参院議員会館で記者会見を開き、拉致被害者横田めぐみさんの両親、滋さんと早紀江さんも出席。早紀江さんは「子どもたち、そしてみんなが帰ってきてほしい」と述べ、日本政府や関係者らに一層の協力を求めた。

滋さんは「北朝鮮が拉致問題を解決して、国際社会からも人道援助を受けるようになることで(北朝鮮)国民も幸せになってほしい。そのためには日本政府の力に加えて、ヒューマン・ライツ・ウォッチのような団体が政府と行動することで効果が出る」と期待を示した。

早紀江さんは「(国際刑事裁判所への付託には)安全保障理事会が真剣に動いてくれることが大事。ここまで来るのに長い時間を要した。それに、まだ向こう(北朝鮮)では苦しみが続いている。今回は、本当に大きな動きが見えてきた。よい方向にいくことだけを願っている」と述べた。さらに、「複雑な問題だが、(拉致被害者を)みんなで救出したい」と訴えた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗さんは「今回の最終報告書がこれまで国連がつくってきた調査委員と際だって違うのは、被害者の声を世界に知らせたことで被害者の声が長きにわたって引用されている。ここまで被害者に光を当てた調査報告は初めて」と話した。

一方、古屋拉致問題相担と菅官房長官は2月18日、最終報告書について好意的に受け止める発言をした。

古屋拉致問題担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「拉致問題を含む人権侵害を人道に対する罪に該当すると断定し、北朝鮮を名指しで批判するなど厳しい内容になっている。国連が特定の国に対し、ここまで踏み込んだ報告書を出したのは、極めてまれだ」と述べ、評価しました。

(中略)

また、菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「わが国として、今回の報告書を歓迎したい。今後、関係国や国連と連携しながら具体的な役割をしっかり果たしていきたい」と述べました。

(NHKニュース「国連の人権報告書公表を評価 古屋拉致問題担当相」より 2014/02/18 12:29)

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