【ウクライナ問題】プーチン大統領「ロシアに対する全ての脅しは逆効果」

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのクリミアで現時点で武力を行使する必要はないとの立場を示した。
Reuters

ウクライナでの武力行使、現時点で不要、解決に向け協力の用意=プーチン露大統領

ロシアのプーチン大統領は4日、ウクライナのクリミアで現時点で武力を行使する必要はないとの立場を示した。

同大統領はモスクワ郊外の大統領公邸で記者会見し、「武力行使の可能性は存在するが、その必要性は現時点ではない」とし、「武力行使は完全に最後の手段となる」と述べた。

ただ、欧米が検討しているロシアに対する制裁措置の導入は非生産的との考えを示した。

プーチン大統領はこの日、同国中部と西部で軍事演習を実施した部隊に、演習終了後の基地への撤収を指示している。

前日の金融市場ではウクライナ情勢の緊迫化を受けロシアの主要株価指数が10%を超えて下落するなど、ロシアの金融市場はトリプル安となったが、この日の取引では主要株価指数は一時約4%上昇した。

ウクライナで起きたことは「違法なクーデター」とし、政変で大統領を解任されたビクトル・ヤヌコビッチ氏が実際の権限はないものの合法的な指導者だとの見解を示した。

また、クリミア半島で政府庁舎を封鎖した武装集団は「地元の自衛団」と語り、ロシア軍の同地域での権力掌握を否定。そのうえで、クリミアでの分離主義的動きを挑発するつもりないと強調した。

ただ、ウクライナ東部に「無法状態」が広がった場合、ロシアの介入を求めるヤヌコビッチ氏の要請を受け入れたため、ロシアは介入する権利を有すると表明。介入は「合法的に国際法の枠組みの中で」実施されると述べた。

ロシア金融市場の混乱については、投資家による「戦術的で一時的な」行動だと評した。

プーチン大統領はロシアに対して制裁を検討している西側諸国に触れ、制裁を発動した場合に自国が被る損害をまず考えるべきだとした。

「ロシアに対する全ての脅しは逆効果で有害」だと強調。ロシアは主要8カ国(G8)会合を主催する用意があるとし、参加したくない西側諸国は「する必要がない」と述べた。

ただ、ウクライナをめぐる問題の解決に向け、西側諸国と協力する用意があることも表明。

「西側諸国は不法なクーデターと武力による権力掌握を支援した」としながらも、「こうした状況下でも、ロシアは協力する用意がある。西側諸国との関係を断ち切りたくない」と述べた。

[ノボ・オガリョボ(ロシア) 4日 ロイター]

米国、ウクライナ向け経済支援策を発表 10億ドルの融資保証も視野

3月4日、米国のケリー国務長官はウクライナに対する経済支援策を発表した。写真は同日、キエフでウクライナ新政権トップと握手する同国務長官(2014年 ロイター/Andrew Kravchenko)

米国のケリー国務長官は4日、ウクライナの首都キエフに到着し、同国に対する経済支援策を発表した。米政府高官によると、米政府はウクライナに対し10億ドルの融資保証を提供することで今後議会と交渉する。

政府高官はまた、米国が数日以内にロシアに対する制裁措置を導入する用意があることを明らかにした。

高官によると、米国はウクライナに専門家を派遣し、経済の諸課題への対応と汚職撲滅の取り組みで中央銀行と財務省に助言する。また、5月25日に予定されるウクライナの選挙が国際的な基準に沿って行われるように、米国が選挙監視人の訓練を行う。高官は、国際通貨基金(IMF)による金融支援と同時に、同盟国との協力に沿った二国間支援を通じてウクライナを支える意向を示した。

キエフで高官は、ロシアのプーチン大統領がこれまでの方針を変更してロシア軍をウクライナ南部クリミア半島から撤収するような兆しはまだないとした。「ロシアが緊張の緩和に動かず、撤収を選ばない場合は、われわれはさらに強固な措置を講じるというのが米政権からのメッセージだ」と警告した。

高官は、ロシアがクリミア半島以外にも軍事介入を拡大させることを米国は懸念しているとした。

[キエフ 4日 ロイター]

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