甘利明氏が「賃上げなし」企業を牽制 各社のベアはいくらに? 集中回答日に注目

利益が出ているのに賃上げしない企業は、政府が何かしらの対応を取る――。甘利明経済再生担当相がベアに応じない企業を牽制した。

利益が出ているのに賃上げしない企業は、政府が何らかの対応を取る――。

甘利明経済再生担当相は3月11日、閣議後の記者会見において、企業側が賃上げを行うよう釘を差した。この発言を受けて、主要業界の春闘・集中回答日となる12日に、各社がベースアップ(ベア)などでどれぐらいの賃上げを回答するかに注目が集まる。MSN産経ニュースなどが報じている。

甘利明経済再生担当相は11日の閣議後会見で、今年の春闘での賃上げについて、「政府は、復興特別法人税の減税を前倒しして、原資を渡している。利益があがっているのに何もしないのであれば、経済の好循環に非協力ということで、経済産業省から何らかの対応がある」と述べた。

(MSN産経ニュース「賃上げ非協力企業には「経産省が何らかの対応」と甘利担当相」より 2014/03/11 11:36)

2014年春闘の焦点は、賃上げの方法として「ベア」が行われるかどうかという点だ。

賃上げの一つの方法としては、年齢や勤続年数に応じて賃金が増えていく「定期昇給(定昇)」がある。定昇では、勤続年数や職能などに応じて「賃金表」に基づき賃金が決められるが、この賃金表自体を書き換えて給与水準をあげるのが「ベア」。いわゆる「基本給」の引き上げだ。例えば、30歳で30万円の基本給について1%のベアがあるとすると、同じ30歳でも30万3000円の基本給となる。

「アベノミクス」の効果で景気が上向いてきてはいるが、4月には消費増税も控えている。景気の腰折れを防ぎデフレ脱却を進めるには賃上げが必須だとして、安倍首相は経済界に対し繰り返し賃上げを要請してきた。賃上げが実現すれば、「企業利益が増える→賃金を上げる→個人の消費が増える→モノやサービスが売れる→さらに企業利益が増える」という経済の好循環が生まれるためだ。

これまで基本給を上げるベアは、企業側から見ると人件費のアップに直結するため避けられ、ボーナスのアップなどで対応が行われてきた。ところが、ボーナスは一時的な支給であり、景気が悪くなったら下げられるという性質を持つ。ボーナスが増えても貯蓄などに回され、消費には使われにくいと言われている。

そのため、甘利氏は2013年11月10日、企業の賃上げについて「将来を拘束するような、全体的にレベルアップする賃上げを」と述べ、ベアへの協力を明言。一度上げると下げにくい基本給のアップによって、消費につながる賃上げを求めていた。

これを受けて2014年の春闘では、多くの企業の労組がベアを要求。トヨタでは組合員平均で月2700円(6年ぶり)、ローソンは平均3000円(12年ぶり)など、各社がベアに応じる予定とされている。

一方、スズキやダイハツのように、ベアには応じないとする企業もある。軽自動車が中心の両者にとっては、軽自動車税が増税された後の販売が見通せないためだ。

軽自動車は国内販売が好調で、昨年は国内の新車販売の4割近くを占めた。ただ、スズキは消費税や軽自動車税の増税後に販売が落ち込むおそれがあり、インドなど新興国市場の先行きも不安を抱えていると判断した。労組側も一定の理解を示しているという。

(朝日新聞デジタル『スズキ、増税にらみベア見送りへ ダイハツも「困難」』より 2014/03/11 12:27)

なお、NTTのようにベアを実施する方針は固まっているが、具体的金額などは労使交渉でさらに詰めるとしている企業もある。各社どのような回答を行うのか。集中回答日の12日に注目が集まる。

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