中国、PM2.5など引き起こす環境汚染に「宣戦布告」

北京で開かれていた全国人民代表大会(全人代)が3月13日に閉幕し、閉幕にあたり発表された政府活動報告の中で、中国の李克強首相は、「(環境)汚染問題に宣戦布告する」と述べ、強い姿勢で取り組む方針を明らかにした。一方で、経済成長率は昨年と同じ7.5%程度を目標とする方針も明らかにし、両立は困難ではないかという見方が強まっている。
BEIJING, CHINA - MARCH 13: Chinese Premier Li Keqiang speaks during a news conference after the closing session of the National People's Congress (NPC) at the Great Hall of the People on March 13, 2014 in Beijing, China. Chinese Premier Li Keqiang say in the new year to manage the environment and the eradication of corruption as a government priority. (Photo by Lintao Zhang/Getty Images)
BEIJING, CHINA - MARCH 13: Chinese Premier Li Keqiang speaks during a news conference after the closing session of the National People's Congress (NPC) at the Great Hall of the People on March 13, 2014 in Beijing, China. Chinese Premier Li Keqiang say in the new year to manage the environment and the eradication of corruption as a government priority. (Photo by Lintao Zhang/Getty Images)
Lintao Zhang via Getty Images

中国の李克強首相は3月13日、「(環境)汚染問題に宣戦布告する」と述べ、PM2.5などの大気汚染物質の影響で深刻化している環境汚染問題に、強い姿勢で取り組む方針を明らかにした。MSN産経ニュースなどが報じた。

李克強首相は全人代での政府活動報告の中で、「貧困に宣戦を布告したように、汚染問題との戦いを断固として宣言する」とぶち上げた。そして今年の具体的な対策として、小型石炭ボイラー5万台の淘汰(とうた)、石炭火力発電所の脱硫改造1500万キロワット相当、脱硝改造1億3000万キロワット相当、集塵(しゅうじん)改造1億8000万キロワット相当、排ガス基準を満たさない車や旧式車600万台の淘汰、などを列挙した。


MSN産経ニュース「中国環境保護相『大気汚染はかなり好転した』発言に不満の声続出」より 2014年3月12日 11時08分)

中国の大気汚染の原因とされているPM2.5は、世界保健機関(WHO)の専門組織によって、最高レベルの発がんリスクがあると評価されており、早急な対策が求められてきた。日本でも、中国からの黄砂の飛来が多い日には、救急搬送の件数が多くなる傾向が確認されるなど、汚染の影響が懸念されている。

そのため中国は、環境破壊行為を行った企業などに対して、損害賠償や、操業停止など責任を追及する制度を導入し、対策を強化する。李克強首相は、「汚染物質の違法な排出などを政府は容赦しない」と述べ、厳しく取り締まる姿勢を強調した。

中国は環境汚染行為をめぐる責任を追及し、損害賠償を求める制度を確立するため環境保護関連法を改正する。開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で9日、張徳江・全人代常務委員長が活動報告を明らかにした。


同報告によると、改正法には「損害賠償制度、責任追及制度」が盛り込まれる見通し。環境破壊行為を行った事業者に対する操業停止・閉鎖命令といった罰則強化が見込まれる。


(ロイター「中国、環境汚染で『責任追及制度』導入へ=全人代常務委報告」より 2014年 03月10日08時44分)

■一方、経済成長率は去年の水準を維持

環境汚染を厳しく取り締まる姿勢を示した一方で、同時に経済成長の手を緩める意向はない。2014年度の経済成長率は、2013年度と同じ7.5%程度を目標とし、あくまでも経済と環境の両立を狙う。成長率を下げれば、雇用に影響し、社会不安を招きかねない、という懸念があるからだ。

環境汚染問題との戦いと経済成長の維持は、両立可能なのか。拓殖大学国際学部の藤村幸義教授は、次のような考えを示した。

汚染問題との戦いを宣言しておきながら、一方では相変わらず高度成長志向の考えから脱却できずにいる。汚染問題を解決するには、投資中心の高度成長路線そのものを改める必要があろう。これでは二兎を追うもの一兎をも得ず、ということになりかねない。


(MSN産経ニュース「中国環境保護相『大気汚染はかなり好転した』発言に不満の声続出」より 2014年3月12日 11時08分)

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