安倍首相、河野談話見直しは「考えていない」 検証作業は継続

安倍晋三首相は3月14日の参院予算委員会で、1993年に慰安婦問題で日本軍の関与を認めた「河野談話」について、「安倍内閣で見直すことは考えていない」と明言した。
時事通信社

安倍晋三首相は3月14日の参院予算委員会で、1993年に慰安婦問題で日本軍の関与を認めた「河野談話」について、「安倍内閣で見直すことは考えていない」と明言した。

有村治子氏(自民)の質問に対する答弁で語った。

歴史認識については、戦後50周年の機会には村山談話、60周年の機会には小泉談話が出されている。安倍内閣としてはこれらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。慰安婦問題については筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。この点についての思いは私も歴代総理と変わりはない。

この問題についてはいわゆる河野談話がある。この談話は官房長官の談話ではあるが、安倍内閣でそれを見直すことは考えていない。歴史に対して我々は謙虚でなければならないと考えている。歴史問題は政治・外交問題化されるべきものではない。歴史の研究は有識者や専門家の手に委ねるべきだと考えている。

(朝日新聞デジタル「河野談話をめぐる安倍首相・菅官房長官の発言詳細」より 2014/03/14 12:29)

一方で菅義偉官房長官は「河野談話作成過程において、その実態を把握することが必要だ」と、検証作業の必要性を改めて強調した。

河野談話の検証については2月20日の衆院予算委員会で、当時の官房副長官だった石原信雄氏が参考人として出席した際、山田宏氏(維新)の質問に答えた内容が発端になっている。

石原氏は当時、元慰安婦に実施した聞き取り調査について、以下のように発言した。

石原氏は聞き取り調査について「その後、証言の事実関係を確認するための裏付け調査は、行われていない」とも答弁。理由について「当時の状況としては、裏付けを取ることをできる雰囲気ではなかった。こちらが要求する雰囲気ではなかった」と説明した。

(朝日新聞デジタル「元慰安婦証言、裏づけなし 河野談話の経緯説明 衆院委」より 2014/02/21 05:40)

これを受けて日本維新の会は、国会に調査機関を置くよう提案。菅官房長官は2月28日、河野談話の作成経緯を検証する非公開の検討チームを政府内に置く方針を表明していた。

これに対し韓国の朴槿恵大統領が3月1日「政治的な利害だけのために認めようとしなければ、孤立を招くだけだ」と批判し、首脳の歴史問題を巡って対立が深まる日韓関係の新たな火種になっていた。

これに対しアメリカは、慰安婦問題で日韓関係が悪化しないよう日本を牽制していた。3月10日には河野談話を引き継ぐとした菅官房長官の発言に対し、国務省のサキ報道官が以下のように表明していた。

サキ氏は、菅義偉官房長官が安倍政権の「河野談話を支持する立場」を明らかにしたとの認識を表明。慰安婦問題で日本への反発を強める韓国を念頭に、近隣諸国との関係改善に向けた「前向きな一歩だ」と強調した。

サキ氏は、日本の過去の植民地支配と侵略を認めた95年の村山談話と河野談話が「日本が近隣諸国との関係を改善する上で重要な節目となった」と指摘した。

(47NEWS『米、河野談話継承を評価 日韓関係に「前向きな一歩」』より 2014/03/11 09:12)

47NEWSは、安倍政権が、韓国側に配慮を求めるアメリカと、より保守的な方向性を求める党内外勢力の板挟みになっていると分析している。

「韓国は基本的価値を共有する最も重要な隣国だ。未来志向の日韓関係構築に向け、引き続き努力したい」。首相は12日の参院予算委員会で、この日ソウルで行われた日韓外務次官級協議を通じて冷え込んだ両国関係を修復したいとの認識を強調した。

自らの靖国神社参拝で変調をきたした日米関係を元の軌道に戻し、4月下旬に予定するオバマ米大統領来日を成功させる。そのためには、日韓関係改善を求める米政府の意向へ配慮を示す必要がある―。首相の答弁からは、こうした判断がにじむ。

(47NEWS「【安倍政権と河野談話】 米韓と保守層の板挟み 首相、かじ取り難しく」より 2014/03/13 08:18)

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