山中伸弥教授が国会で答弁 不正防止に「ノートの記録が大切」 理研への影響は?

iPS細胞でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授(51)は4月4日、国会で答弁し、研究不正の防止策として「ノートの記録が大切」との考えを示した。山中教授の発言は、STAP細胞論文を発表した小保方晴子さんらが所属する理化学研究所(理研)が目指している「
時事通信社

iPS細胞でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授(51)は4月4日、国会で答弁し、研究不正の防止策として「ノートの記録が大切」との考えを示した。山中教授の発言は、STAP細胞論文を発表した小保方晴子さんらが所属する理化学研究所(理研)が目指している「特定国立研究開発法人(仮称)」の指定にも、大きな影響を与えるとみられる。

■山中教授、研究の不正防止策として「ノートの記録」を紹介

山中教授はこの日、政府が設立する「日本医療研究開発機構(仮称)」について議論する衆院内閣委員会に参考人として招かれた。日本医療研究開発機構は、日本の医療の司令塔として研究開発予算を研究機関に配分したり、研究に不正はないかをチェックしたりする機関となる。

委員会で研究の不正防止策について尋ねられた山中教授は、「日ごろのノートの記録が非常に大切」と述べ、自身の所属する研究所でも、学生を含めた研究者全員にノートの書き方を指導していると紹介した。

「例えばルーズリーフはダメだとか、鉛筆はダメだとか、消す場合はホワイトで消してはダメでペケで消して、何が書いてあったかわかるようにしなさいとか、日付は年まで含めて書きなさいとか、そして一番大切なのは定期的に第三者がチェックして、第三者のサインをもらいなさいと、これをずっと続けてきました」

(衆議院TV「衆議院・内閣委員会」より 2014/04/04)

ノートの書き方についての指導は、もともとは、最初に発明をした者に特許権を与えるとするアメリカの「先発明主義」に対抗するための方法であったが、研究の不正防止に効果があると気づいたという。

山中教授は、「ノートを出さない人は、不正をしているとみなすと話している。書いていても、ちょっとしか書いていない人や、汚いという人は、指導している」と述べ、ノートの重要性を強調した。

■特定国立研究開発法人を目指す理研、ガバナンス体制の問題で指定延期に

一方、理研は特定国立研究開発法人の対象法人候補となったことが3月12日、発表された。研究開発法人となれば、優秀な研究者を確保するため成果に応じた高額報酬の支払いなどが認められる。

しかし、小保方さんらが論文執筆で不正を行ったとされることから、山本一太科学技術担当相は4月1日、4月中の指定は困難との見解を述べた。

山本担当相は委員会で、理研について「実績について高く評価する」としながらも、組織としてのガバナンス体制や、危機管理マネジメントについても「一流であることを示して欲しい」として、今後の対応を検討するとしている。

山中教授は危機管理マネジメントについて、自身のiPS細胞の研究を例に上げ、「若手研究者の自由な発想がイノベーションには必要」としながらも、「わたしもそうでありましたが、30代の研究者というのは、実験の方法は上手だが、それ以外の点についてはまだまだ未熟な人間であります」と指摘。先端研究の現場には、シニア研究者が若手研究者を教育できるシステムなどの、管理人材の必要性を強調した。

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