小保方晴子さんも理研も批判せず 笹井芳樹さんの会見はマスコミの追及を巧みに回避【STAP細胞】

小保方晴子さんの上司である理化学研究所(理研)の笹井芳樹さんは4月16日の会見で「大変多くの混乱を招いたことを心からお詫びします」と、小保方晴子さんらとともに手がけたSTAP細胞の問題を謝罪した。
Yuiko Abe

小保方晴子さんの上司である理化学研究所(理研)の笹井芳樹さんが4月16日の会見を開いたが、どんな内容だったのか。この記事ではポイントを絞って解説したい。

笹井さんは予定をオーバーして3時間以上に及んだ会見の中でマスコミの記者の厳しい追及を言葉巧みにかわし、慎重に言葉を選んだ。感情を露わにする場面は一度もなかった。

ES細胞の権威にして、36歳の若さで京大教授に就任。今は日本有数の研究組織「理研」で、発生・再生科学総合研究センターの副センター長という要職についているだけはあると、感じさせるものだった。笹井さんの主な主張をまとめてみた。

■STAP細胞をめぐる一連の騒動について

「今回の混乱の多くを招いたことの責任を、副センター長として感じております。広報の発信の仕方にしても、私達がいただいてる納税者からのアカウンタビリティ(説明責任)を発揮したいと思ってました。小保方晴子ユニットリーダーのメディアへの露出も最初の会見が終わって以降は、配慮したつもりでしたが、そうしたことを超えた形でマスコミ報道が過熱してしまった」

■STAP細胞はあるのか?ないのか?

「STAP現象については、もしも存在しないと思っていたら共著者には加わらなかった。しかし、それは論文の材料がきちんと組み上がっていたときに確信を持つのであって、今はその組み上げ細工にヒビが入ってしまった。有望ではあるが、仮説に戻して検証しなおす必要があると思ってます。これを、信じる信じないということで論じるべきでないという科学者としての立場です」

■小保方さんによる論文でのミスは故意によるものか?

「一番の原因はこの論文に不備・過誤があったことであり、その責任を痛感しました。彼女の発言自体は普段、私が聞いた内容と差がなかったので(4月9日の会見で)率直に話したのでしょう。不服申し立てをした件ですが、故意かどうかは私には分かることではないので、委員会の再調査を待たなければいけないと思っております。事実の取り違えをしたという点では同じ。それをどう捉えるかについてコメントすべきではないと思っています」

■小保方さんの科学者の資質をどう思うか?

「非常に豊かな発想力があると感じています。それは採用時の人事委員会の皆の一致するところであります。ただ、トレーニングが足りなかったところ。未熟という言葉を使いたくないのですが、科学者として身につけるべきだったのに身についてなかった部分は、今回の発表後に明らかになりました。データ管理における取り違えを生み出したりするなど、ある種のずさんさがあったと思います。その両極端が一人の人間の中にあるのかなと。シニアの研究者として私が後悔するのは、Natureの論文を2回も出すということはなかなかできることではない。しかし彼女の弱い部分を、もっとしっかりと認識して、背伸びをするだけでなく足下をきちんと固めることができなかったことを、非常につらく思っております」

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