FBIが制作した「学生スパイ」警告動画

アメリカ連邦捜査局(FBI)は、中国に留学するアメリカ人学生を対象に、中国のスパイとして雇われることの危険性を警告する動画を公開した。

アメリカ連邦捜査局(FBI)は、中国に留学するアメリカ人学生を対象に、中国のスパイとして雇われることの危険性を警告する動画を公開した。

この動画は、実在の人物がスパイ行為を行って逮捕され、懲役4年の刑を言い渡された事例がモデルとなっている。

FBIによると、中国に留学するアメリカ人学生が、アメリカ政府の情報を提供する仕事に就かないかと誘われ、数千ドル単位の報酬が支払われるケースが増えているという。FBIは留学生たちに、「外国の諜報活動の脅威に気付いてほしい」と呼びかけている

FBIのウェブサイトでは、国外の大学に通う28万人以上の学生たちに向けてこう述べている。「このような学生たちは、スパイを雇いたがっている外国の諜報員にとって魅力的な格好の標的だ。諜報員たちの長期的な目標は、アメリカ合衆国の機密情報や国防機密にアクセスする手段を手に入れることにある」

公開された動画のタイトルは、「Game of Pawns(ゲーム・オブ・ポーン)」(アメリカで人気のある、TVドラマになったファンタジー小説『Game of Thrones』のもじり。ポーンはチェスで一番価値の低い駒で、人の手先として操られる者の意味がある)。

動画は、2011年1月に懲役4年の有罪判決を言い渡された、グレン・ダフィ・シュライバー被告(判決当時28歳)の事例を、ドラマ仕立てで紹介する。FBIはシュライバー被告について、「祖国を売り渡し、中華人民共和国に対して国防機密を提供するために、何度もアメリカのインテリジェンス・コミュニティーに職を得ようと試みた」と説明している

シュライバー被告は、短期留学プログラムで上海に滞在したことがあり、学校を卒業した後、職を探そうとして再びこの街を訪れた。政治系新聞の記事を書く仕事の求人広告に応募したシュライバー被告は、アメリカ政府の仕事に応募すれば報酬を支払う、という3人の人物と関わり合いになる。そして、その後何年かにわたって、その者たちから7万ドルを受け取ったが、2010年にFBIに逮捕された。

FBIは、ウェブサイトでこう述べている。「大学を出たばかりの者にとって、7万ドルは大金に思えた。そして、もっと支払ってもいいと約束されて、シュライバーは断れなかった。だが、彼は自分の行為が長期的にどんな代償を伴うかを考えていなかった。あるFBI捜査官が語ったように、『自ら中国のスパイになることを選んだ時点で、彼は自分の教育、キャリア、そして将来を投げ捨てた』のだ」

FBIは、学生たちが「標的になったり勧誘されたりした場合にそれと気付くように」、いくつかのアドバイスを提供している。

外国の諜報員たちは、どのように学生に接触してくるのか

-諜報員は、学生と関係を築こうとするとき、自分が諜報機関で働いているとは言わず、別の職業に就いているように装うことが普通だ。

-諜報員は、最初は職やインターンシップ、報酬を伴うレポート作成の仕事、語学交流、異文化体験プログラムといった無害に思える口実を使って、学生との関係を築こうとする。

-ある程度親しくなると、学生は、現金やその他の報酬と引き換えに、情報を提供する仕事をしてほしいと頼まれる。最初は必ずしも機密情報や軍事機密とは限らないが、そうした要求はだんだんエスカレートしてくる。

-諜報員は、学生が学校を卒業するとすぐに、アメリカ合衆国政府の仕事(特に国の安全保障に関わる機関)に応募してはどうかと勧めてくる。

[Lucy Sherriff(English) 日本語版:水書健司/ガリレオ]

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