ソニー、最終赤字は1300億円に VAIO撤退で費用追加

ソニーは1日、2014年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)について、従来予想の1100億円の赤字が1300億円の赤字になると発表した。
Reuters

[東京 1日 ロイター] - ソニー

前年同期は430億円の黒字。平井一夫社長にとって2年目の決算は、2月6日の下方修正に続き、追加費用の発生によって最終赤字額が膨らむ。

撤退するパソコン事業の構造改革費用を追加するとともに、DVDなどディスクメディア製造事業の不振で減損処理費用を計上。関連費用を550億円積み増すことで、営業利益予想を前年比88.7%減の260億円(従来予想800億円)に下方修正した。

<PC撤退費用を追加、ディスクは減損>

同社は今年2月6日、PC「VAIO」事業について、2―3月に発売の春モデルを最後に撤退すると発表。これによって、パソコン販売が想定より落ち込んだ結果、余剰部品の評価減や発注済み部品の補償費用が発生。PC撤退の関連費用として、300億円を追加計上した。

さらに、パッケージメディアの市場縮小を受けて、DVDやCDなどディスク事業で250億円の減損処理費用を計上する。同社のディスクメディア製造は世界11カ国で展開しているが、この中で、欧州地域の需要が想定以上に悪化した。

ソニーが2月6日に公表した14年3月期の構造改革費用は700億円。PC事業とディスク事業の費用追加で、これが膨らむ見通しだ。

14年3月期の売上高の予想は、同14.3%増の7兆7700億円(従来予想は7兆7000億円)と微調整した。1―3月期の為替レートは、ドル102.8円(従来想定104円)、ユーロ140.9円(同140円)だった。

<3度目の下方修正>

2012年4月に就任した平井社長にとって2年目の決算の14年3月期は、期初、売上高7兆9000億円、営業利益2300億円、当期純利益が500億円を予想していた。だが、第2・四半期、第3・四半期決算に続き、3度目の下方修正。

平井社長は就任以来、エレクトロニクス事業の黒字化を公約としてきたが、すでに第3・四半期の時点で達成できないことを表明し、14年3月期で3年連続で赤字となる。さらに、14年3月期に目指していた液晶テレビ事業の黒字化も断念しており、10年連続で赤字になる。

社長就任1年目の決算だった13年3月期は、期中の下方修正を繰り返しながらも、ニューヨーク本社ビルやソニーシティ大崎ビルなど不動産や株式の売却で2000億円を超える資産売却益を計上して下支えし、5年ぶりに最終黒字を確保した。

これに続く14年3月期は、2年ぶりの最終赤字。いくつかの資産や事業を売却したが、最終黒字を続けることはできなかった上、構造改革費用の追加計上で当期純損失を拡大させることになった。

(村井令二 編集:内田慎一 吉瀬邦彦)

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