ソフトバンクがドコモ超えて売上首位 孫正義社長、ボーダフォン買収時を振り返る「当時はSB役員すら笑っていた」

ソフトバンクが売上、営業利益、最終利益のいずれも過去最高で、NTTドコモを抜いて国内携帯電話会社で首位となった。孫正義社長はボーダフォン買収時に「10年以内にドコモを抜く」と宣言したことを振り返り、当時はソフトバンクの役員でさえ夢物語として笑っていたと話した。
USTREAM / SoftBank

ソフトバンクは5月7日、2014年3月期の連結決算を発表した。売上、営業利益、最終利益のいずれも過去最高で、NTTドコモを抜いて国内携帯電話会社で首位となった。

決算発表会の冒頭、孫社長が「ワクワクして毎日が楽しい」と話し、「インターネットの会社として世界一になる」という今後の意気込みを語った。

■国内最短で営業利益1兆円超えを達成 日本で3番目

孫正義社長は会見で、NTTの118年、トヨタの65年と並べて、ソフトバンクの33年という、創業から1兆円をこえる営業利益を達成するまでに各企業が要した年数を提示。日本では、1兆円を超える営業利益を達成した企業はこれまでにこの3社しかなく、その中でも創業からの達成は、ソフトバンクが最短だったと胸を張った。

ソフトバンクの発表によると、同社の2015年3月期の売上高は前年同期比で108.2%増え、6兆6666億5100万円。本業のもうけを示す営業利益は1兆853億6200万円(同35.8%増)となった。iPhoneの販売拡大や、アメリカ携帯電話3位のスプリント・ネクステルの採算改善が業績アップに寄与した。

しかし、孫社長はこの数字に決して満足しているわけではないと話す。

「あくまでも通過点。あんな時代もあったなと。可愛いことをいってたなと言える存在になりたい。また、そういう自信もある」

■ドコモ超え日本一に ボーダフォン買収時は「ソフトバンクの役員でさえ笑っていた」

孫社長は今回の決算で、ドコモを超え日本一になったことについては素直に「嬉しい」と話した。

孫社長は2006年にボーダフォンを買収した際、ソフトバンク・モバイルの代理店の店長らを集めたイベントで「10年以内に必ずドコモを超える、超えることができなかったら経営者として腹を切る」と話したエピソードを披露。当時は、どうやって解約の数を止めるのかという「目先の問題」の改善に焦点があたっており、「夢物語だとして、代理店さんたちもソフトバンクの幹部や役員でさえ笑っていた」と述べ、虚しかったとする胸の内を明かした。

買収合意で記者会見し握手するソフトバンクの孫正義社長(中央)とボーダフォン日本法人のモロー社長(左)。右はヤフーの井上雅博社長(2006年03月17日、東京都内のホテル)

しかし、当初から孫社長は、本気でドコモを超えると決意していたという。「思いを強く持ってやってきたからこそ、10年を経ずして結果で現れた」と振り返った。

最近つくづく思うんですけれども、人生って素晴らしいなと。本当に素晴らしいですよね。

人生って難しいことがたくさんあります。山あり、谷あり。でも、一生懸命に、前向きに生きようと、目標を掲げ、夢を掲げてやっていこうと思うと、だいたいできるものですよね。不思議と。

その思いが非常に強く、熱く思ってさえいれば、どんなに難しい難題があっても、それを乗り越える知恵がわいてきます。勇気がわいてきます。また、それを乗り越える仲間たちが集まってくると、結構、できるもんですよね。

(USTREAM「2014年3月期 決算説明会」より 2014/05/07)

■「インターネットを制するもの、中国を制するものが世界を制する」

孫社長は7日にアメリカでIPO手続きを開始したアリババにも言及した。

孫社長はソフトバンクが2000年からアリババに出資を始めたことについて、その時中国で会った20人ぐらいの起業家のなかで、即決で投資を決めたのはアリババ創始者のジャック・マー氏だけだったと紹介。Yahooアメリカの社員がまだ5人だった時に、ソフトバンクが投資を決めたのと同様、マー氏の「目つき」や「におい」で、投資を決め、マー氏が1億円と申し出たところを、20億円出させてほしいと孫社長の方から乞うたという。

Sun Zhengyi (Masayashison), founder of Softbank Corp. (L), Jack Ma Yun, founder and CEO of Alibaba (R) (Photo by Liang Zhen/WireImage) - November 3, 2003

孫社長は「ソフトバンクは、ジャック・マーに巡りあったという幸運に恵まれた」と話し、IPOによって世界的な企業に成長したことを喜んだ。孫社長自らが取締役を務めるのは、1300ほどのグループ企業の中でもソフトバンクの他にヤフージャパンと、アリババだけだと述べ、特別な存在であることを強調。IPO後も株式は売却せず、「銭・カネぬき」の関係を続けると明言した。

ブルームバーグによると孫社長は、アリババへの投資が今までのなかで「ナンバーワン」であり、「インターネットを制するもの、中国を制するものが世界を制する」とコメントしたという。アリババは純利益及び取扱高で、アメリカのAmazonとebayの合計額を抜いた。

孫社長は2012年にも、アメリカ中心・PC中心の第一次IT革命の時代から、アジア中心・モバイル中心の第二次IT革命の時代になるとして、「モバイルを制するものがインターネットを制する、アジアを制するものが世界を制する」と述べている。

孫社長は300年後の世界を描く。これまでの30年は第1チャプターが創業の時代。そしてこれからの30年という第2チャプターでは、「モバイルインターネットNo.1、そしてアジアインターネットNo.1」という中期目標を掲げる。

今、私は燃えております。さらなる次の目標夢ができ、何としてもそれを達成するんだという思いが、胸の中にしっかりとできておりますので、それを実現させるんだと様々な知恵も出てきます。

もちろんそれらの知恵というものは簡単にはできるものではないとしても、紆余曲折あったとしても、別の知恵がわいてくる。人生って素晴らしいもんだな、夢って描いてみるもんだなと。

(USTREAM「2014年3月期 決算説明会」より 2014/05/07)

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