トヨタ、6年ぶり過去最高益 北米が好調、増税前駆け込みも

トヨタ自動車は、2015年3月期の連結営業利益が前期比0.3%増の2兆3000億円となる見通しを発表した。円安効果が一巡することに加え、研究開発費など先行投資がかさみ、前期並みにとどまる。
Akio Toyoda, president of Toyota Motor Corp., gestures as he speaks in front of a screen displaying an image of the company's Camry sedan during a news conference in Tokyo, Japan, on Thursday, May 8, 2014. Toyota, the world's largest carmaker, forecast profit will fall from last year's record as demand slumps in Japan, competition intensifies in the U.S. and the yen is no longer the boon it used to be. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
Akio Toyoda, president of Toyota Motor Corp., gestures as he speaks in front of a screen displaying an image of the company's Camry sedan during a news conference in Tokyo, Japan, on Thursday, May 8, 2014. Toyota, the world's largest carmaker, forecast profit will fall from last year's record as demand slumps in Japan, competition intensifies in the U.S. and the yen is no longer the boon it used to be. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images
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[東京 8日 ロイター] - トヨタ自動車

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト26人の予測平均値は2兆6320億円で、会社予想はこれを下回る。

今期の売上高予想も前期比横ばいの25兆7000億円。消費税率引き上げの影響などにより国内販売が落ち込む。純利益は同2.4%減の1兆7800億円を見込む。

同日会見した豊田章男社長は、15年3月期の業績見通しについて「今期は意思を持った踊り場」と説明。「持続的成長がわれわれの一番の目的」と強調した上で、「急成長後に急降下した4年前はステークホルダー(利害関係者)の方々にご心配とご迷惑をおかけした。その学びからこうした計画にした」と述べた。

<競争力強化に向けて積極投資>

2015年3月期の研究開発費は9600億円(前期は9105億円)、設備投資は1兆0200億円(同1兆0007億円)とそれぞれ前期から上積みする計画だ。次世代環境技術や安全技術、需要変動に対応できる生産ライン構築やIT(情報技術)分野、人材育成のための投資などがかさむ。豊田社長は「持続的成長のためにはより競争力を強くし、将来に花開くためのいろいろな積極的投資を順次行っていきたい」と話した。

前提為替レートは1ドル=100円(同100円)、1ユーロ=140円(同134円)に設定した。円安効果で前期は営業利益を9000億円押し上げたが、今期は新興国通貨安などの影響で950億円の減益要因となる見込み。

ダイハツや日野自動車を含む今期のグループ世界販売計画は910万台(同911万6000台)。消費増税が響く国内で221万台(同236万5000台)と15万5000台減少する。一方、北米は262万台(同252万9000台)、アジアは163万台(同160万9000台)などと増える。

ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、今期の会社予想について、「第一印象としては弱めだ。販売計画では伸長を見込んだ北米市場に自信が表れているが、競合との兼ね合いが厳しい市場であることには変わりない」と指摘、「いずれにせよトヨタ株を新たに買うほどのインパクトは乏しい」と述べている。

<前期は6年ぶりに最高益更新>

同日発表した14年3月期連結決算(米国会計基準)によると、営業利益は前の期に比べ73.5%増の2兆2921億円となった。日米での販売好調、コスト削減効果や円安の追い風もあり、リーマンショック以前の実績である08年3月期の2兆2703億円を上回り、6年ぶりに過去最高を更新した。

ただ、米国での大規模リコール問題で米司法省に支払う和解金12億ドル(約1200億円)やオーストラリアでの生産撤退に伴う費用などがかさみ、2月に公表した予想の2兆4000億円は下回った。

前期の売上高は同16.4%増の25兆6919億円、純利益は同89.5%増の1兆8231億円だった。国内での消費増税前の駆け込み需要が寄与したほか、北米での販売も好調だった。

豊田社長は、09年6月に社長に就任して以来、強化してきた収益改善活動などにより「経営体質は確実に強くなった」と評価。09年3月期分から納めていなかった法人税を14年3月期分から支払えるようになったことなどにも触れ、「文字通り、持続的成長のスタートラインから一歩踏み出すことができる」と語った。

(白木真紀 取材協力:杉山容俊 編集:吉瀬邦彦 田巻一彦)

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