ウクライナ東部の親ロシア派、住民投票の延期を拒否

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派勢力は、同州の自治拡大の是非を問う住民投票を予定通り11日に実施すると表明した。
Reuters

[ドネツク(ウクライナ) 8日 ロイター] - ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派勢力は、同州の自治拡大の是非を問う住民投票を予定通り11日に実施すると表明した。

ウクライナ東部ルガンスクの親ロシア派勢力もまた、自治権拡大に関する住民投票を予定通り実施すると明らかにした。

ロシアのプーチン大統領は住民投票の延期を呼びかけたが、これを拒否する形。

デニス・プシリン「ドネツク人民共和国」代表は記者団に対し、「人民評議会」が全会一致で住民投票を予定通り実施する決定をしたと説明。「内戦は既に始まっており、住民投票によってこれを終わらせ、政治的プロセスを始めることが可能になる」と述べた。

政治アナリストは、この提案に親ロシア派が応じないことをプーチン氏自身が見込んでいた可能性を指摘した。親ロシア派がプーチン氏の指示の下で行動していないと国際社会に示すことが狙いだという。

ロシアの大統領報道官は、ウクライナ東部の親ロシア派がプーチン大統領の提案を拒否したことについて、さらなる情報と分析が必要だと述べた。

プーチン大統領の住民投票延期要請を受けて前日上昇していたロシア市場は、8日は下落した。

北大西洋条約機構(NATO)や米国によると、ロシア軍はウクライナ国境付近から撤退する兆候はない。

8日にはウクライナのロシア国境検問所を武装集団が襲撃、ウクライナ軍はこれを排撃した。

ウクライナのヤツェニュク首相は、プーチン大統領の融和的姿勢について、9日のウクライナの対独戦勝記念日にあわせてロシア側は各地で小競り合いを起こそうとしているのではないかと懐疑的見方を示した。

欧州安保協力機構(OSCE)は8日、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けた「行程表」を作成し、ウクライナ政権に提示した。ウクライナ当局者によると、行程表は東部の親ロシア派勢力に対する「対テロ作戦」の停止は求めていない。

ロイターが入手した行程表の素案は、25日のウクライナ大統領選挙が同国の安定化に向けたかカギになるとし、すべての関係者が「暴力、脅し、挑発行為」を控える必要があるとしている。

素案はOSCE議長国のスイスが作成。4月17日にジュネーブで開催されたロシア、ウクライナ、米国、欧州連合(EU)の外相級4者協議での合意事項の履行を促す内容となっている。

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