イラン「ワールドカップ応援ビデオ」に出演した若者3人を逮捕

大統領自らがサッカーを通じて国のイメージアップを図っているイランだが、その一方でイラン警察は、ワールドカップ・イラン代表チームを応援する動画で歌い踊った若者3人を逮捕した。

大統領自らがサッカーを通じて国のイメージアップを図っているイランだが、その一方でイラン警察は、ワールドカップ・イラン代表チームを応援する動画で歌い踊った若者3人を逮捕した。

AFPの記事によれば、問題になったのは、ロンドンを拠点に、イランの楽器とラップ音楽を組み合わせた演奏を行うバンド「Ajam」が制作した動画だ。

イランの都市エマームルード(旧称シャールード)を含む内外さまざまな風景が映し出されている動画だが、登場した23歳の若者2名と、撮影を行なった26歳の1名が拘束された。この若者たちは起訴に至る可能性もあるという。

動画では、現在開催中のワールドカップに出場しているイラン代表チームを応援するために、若者たちが歌ったり踊ったりしている。その中には、着用が義務づけられているヒジャブ(頭部を覆うスカーフ)を身につけていない女性も含まれていた。

前述の記事は、国営イラン通信(IRNA)を引用するかたちで、エマームルードの警察署長も務めるラハマトラー・タヘリ大佐の談話を伝えている。同署長はこの動画を「下品」であるとし、こういった行動に参加しないよう若者に強く呼びかけた。

イラン警察は今年5月、全世界的なブームとなっているファレル・ウィリアムスの「Happy」に合わせて歌う動画に出演したとして、イラン人の若い男女6名を逮捕したが、彼らはまもなく釈放されたと報道された(日本語版記事)。

イラン国内の強硬派は、こうした行動は西欧の「退廃」を広め、イスラム共和国イランの弱体化を招くと見ている。イランでは、女性が公共の場で踊ったり、頭部をヒジャブで隠さずに外出したりすることが禁じられているほか、政府が閲覧を禁止しているウェブサイトもある。

一方、同国のハサン・ロウハニ大統領は6月16日、イラン代表チームのユニフォームを身につけて、サッカー・ワールドカップ第1戦のイラン対ナイジェリアを観戦する姿をTwitterに投稿した(この試合は、イランは0-0で引き分け、22日のアルゼンチン戦は0-1で負けている)。

ロウハニ大統領は比較的穏健派であり、社会的ならびに文化的に開かれた政策を打ち出しているほか、争点となっている同国の核開発に関して、西欧諸国と歩み寄る姿勢を見せている。

[(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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