千葉市はなぜ、小中学校へのエアコン設置を却下したのか 「耐える能力必要」という議員発言に批判相次ぐ

千葉市議会が小中学校へのエアコン設置の請願を不採択としたことに対し、ネットからは批判が相次いだ。自民議員が「耐える能力必要」としたためだ。しかし、不採択となった大きな理由は、財源の不足だという。
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千葉市議会が小中学校へのエアコン設置の請願を不採択としたことに対し、ネットからは批判が相次いだ。自民議員から「耐える能力必要」との発言があったとされためだ。しかし、不採択となった大きな理由は、財源不足によるものだというブログも公開され、建設的な意見も出始めている。

■エアコン設置、「耐える能力も必要」との議員発言が報じられる

千葉市議会が6月25日、市立小中学校と特別支援学校の教室へのエアコン設置を求める請願を不採択としたニュースは、朝日新聞デジタルが報じていた。

請願書は「扇風機では限界を超えた暑さに太刀打ちできない。学習環境を整え、学習に集中できるように」などと、熱中症予防策としてエアコン設置を求めていた。

千葉市教委の試算では、対象となる計175校の教室に必要なクーラーは2800台分で約76億円。本会議に先立って請願を審査した12日の教育未来委員会では、自民党議員が「環境への適応能力をつけるにはある程度、耐える能力を鍛えることも必要だ」と発言。共産党を除く全会派が「老朽化したトイレの改修を優先すべきだ」などを理由に反対に回っていた。

(朝日新聞デジタル『千葉市、小中学校エアコン却下 議会「耐える能力必要」』より 2014/06/26 11:37)

この報道について、インターネットでは「議会では冷房が効いているのに」「子供いる人が千葉に住みたがらなくなる」などの批判が相次いだ。

■千葉市長らが議会の見解を紹介

一方、千葉市長の熊谷俊人氏は、23日には「エアコンがあれば良いのは同意ですが、限られた日数稼働のものよりは学校施設そのものや教員の充実等を優先」とする自身の考えをツイートしたほか、25日にも「議会多数の見解が分かる」として、千葉市議の福谷章子氏のブログを紹介した。

福谷氏はブログで、エアコン設置は進めたいとしながらも、反対せざるを得なかった理由を記している。千葉市議会は国に対して、公立学校へのエアコン設置のために補助を求める意見書を出しているが、国庫の補助が大変少なく、財源が足りないのが現状で、優先順位の関係で今回の請願には反対したという。

請願が求めるところの全ての教室は2800教室。工事費は76億円になります。

それに対して、現時点での国庫補助は6分の1にも満たないのです。

財源には限りがあります。

千葉市は、昭和40年代に急激に人口が流入し、小中学校の7割以上は築30年以上の老朽化した校舎です。

子どもたちの安全のためには、まずその老朽校舎の改築に取り組まなければなりません。

和式トイレの改修(子どもの半数近くは和式が使えない)も、毎日使うものだけに、子どもたちの要望が強いのです。

そしてきめ細やかな教員配置も重要な教育環境です。

限られた財源を、子どもたちにとって真に必要なものへと慎重に優先順位をつけて、粛々と進めています。

したがって、全ての教室にエアコン設置を迫ることは今は出来ない、という判断です。

(福谷章子氏ブログ「エアコン設置に反対の理由」より 2014/06/24)

■福谷氏のブログ記事への反響、アイデアも投稿される

インターネットには、このブログに対する意見も多数投稿されている。中には、課題を解決するアイデアと共に、投稿されるツイートもみられた。

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