通信教育大手ベネッセコーポレーションの顧客情報が大量に漏洩(ろうえい)した問題で、情報を漏らした疑いがあるのは、ベネッセのグループ企業で顧客データベース(DB)の管理を委託されていた保守管理会社の関係者であることがわかった。毎日新聞が関係者へ取材した内容として報じている。
関係者によると、ベネッセはデータベースの運用や保守管理を岡山市に本社があるグループ企業「シンフォーム」に委託。同社はこうした業務を、さらに複数の外部業者に分散して再委託していたという。再委託先の担当者にもデータベースにアクセスする権限が与えられているとされ、警視庁はアクセス履歴や手口の分析を進めている。
(毎日新聞「ベネッセ情報漏えい:顧客DB再委託先から不正持ち出しか」』より 2014/07/11 07:35)
漏れたとされる個人情報約780万件(最大約2070万件の可能性)のうちの約230万件分については、IT企業で通信教育事業を手がけるジャストシステムが、名簿業者「文献社」から情報を購入してダイレクトメール(DM)発送などに使っていたとされる。ベネッセの顧客らで作る掲示板には、「ベネッセにしか登録していない住所の表記と同じ表記でダイレクトメールが届いた」「ベネッセに登録していた名前の字体と同じ字体でダイレクトメール」という書き込みが相次いでいた。
ジャストシステムが送付していた通信教育「スマイルゼミ」の勧誘ダイレクトメール
ジャストシステムは「ベネッセコーポレーションから流出した情報と認識したうえでこれを利用したという事実は一切ない」としており、DM発送にも「適切な手順や方法をとっている」と反論している。名簿情報の売買の流れについて、MSN産経ニュースは次のように報じている。
東京都福生市の名簿業者「文献社」によると、1月ごろ、武蔵野市の名簿業者「パン・ワールド」から「子供の名簿が大量に入った」と連絡があった。同時期にジャスト社から「小中学生の名簿が欲しい」と注文が入り、2~3月に自社の名簿約160万件分を販売。さらに、5月にパン社から約200万件分の名簿を購入し、ジャスト社に転売したという。
ベネッセはパン社の名簿に流出情報が含まれる疑いがあるとして、販売中止を要請。文献社とパン社はともにベネッセの顧客情報との認識がなかったといい、パン社は「他の業者から買った」と説明している。
(MSN産経ニュース「【ベネッセ情報流出】1月には流出か ジャスト社は約200万件購入 大量の名簿、業者を転々」より 2014/07/11 08:09)
名簿業者のなかには、今回流出した情報について「数千万円の価値がある」という人もいるという。少子化が進んで塾などの業界で顧客のパイを奪い合っているいる状況や、2005年の個人情報保護法の全面施行以降、本人の同意なしに名簿の作成や販売が厳しく制限されていることもあり、子供に関する名簿は「宝の山」の状態になっているのだという。
都内のある名簿業者では1人当たり10~30円の料金を設定しているが、「受験が本格化する中学生、高校生に比べ、その予備軍に当たる8歳以下の子供の名簿は品薄。幼い子供のデータを集めておけば、高校、大学入試、さらには成人式と長期にわたって使い続けられるし、もし存在するなら価格は高騰するはず」と明かす。
(MSN産経ニュース『【ベネッセ情報流出】「少なくても数千万円」 受検予備軍、名簿は宝の山 少子化で獲得競争激化』より 2014/07/11 09:51)
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