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2014年07月14日 19時22分 JST | 更新 2014年07月14日 19時42分 JST

ワールドカップ決勝をデータ分析 ドイツの「カメレオン」サッカーがアルゼンチンの交代策を上回る

アルゼンチンを1−0で下してワールドカップ優勝を決めたドイツ。その強さの秘密、「カメレオン」的サッカーをデータで探る。

Laurence Griffiths via Getty Images
RIO DE JANEIRO, BRAZIL - JULY 13: Bastian Schweinsteiger of Germany kisses the World Cup trophy after defeating Argentina 1-0 in extra time during the 2014 FIFA World Cup Brazil Final match between Germany and Argentina at Maracana on July 13, 2014 in Rio de Janeiro, Brazil. (Photo by Laurence Griffiths/Getty Images)

7月14日、FIFAワールドカップブラジル大会も最終日を迎え、決勝戦でドイツがブラジルを延長の末、1−0で下して4回目の優勝を果たした。120分間にも渡る熱戦は、どのようなストーリーだったのか。データ・ダッシュボードからひもといた。

こうして振り返るとひとつ、ゲームの大きな転機になったのはハーフタイムでの戦術変更だろう。4人で守っていた中盤を一人削って、トップにアグエロを入れて攻撃の威力を増そうとしたが、得点につながらなかった。

3トップにした意図は、守りを1枚削ってでも先に点を取って優位に進めるため。もうひとつはメッシに下がってボールを受けさせ、前に2人いる状態を作って厚く攻めるため。しかし後半始まって、最初の2分こそ、次々とラインの裏に飛び出して撹乱させる3トップの良さが生きたが、その後、替わって入ったアグエロが、一対一の仕掛け、4回すべてで敗れ、メッシからの決定的なスルーパスに足を滑らすなど、実力を発揮しきれず、チームとしてもパス数は前半よりも増えたが、作り出したチャンスの数は前半と同じ2つ。枠内シュートも試合を通してゼロで、得点が遠かった。

一方、後半以降は3トップにしたデメリット、守りの穴を突かれるプレーが目立った。中盤を3人にしたことによってサイドの守りが甘くなり、ドイツがサイドを支配。前半、わずか1つだったドイツのチャンスは、後半になって4つに増えた。しかもそのうち、3つが右サイドから生まれている。延長に入ってからの決勝点も、ドイツの左右の揺さぶるパスからのサイド攻撃からだった。

ただし、「システムを替えずにそのままやっていれば……」と簡単に言うのは難しい。たしかに前半は相手にチャンスを作らせなかったが、攻撃面はというと、アルゼンチンが敵陣で成功したパスはわずかに9本(後半は39本。ドイツはなんと前半だけで76本)。鋭いカウンターを見せてはいたものの、ほとんど自陣に釘付けの状態で、そのまま90分持ちこたえる保証はない。リスクを冒してでも攻めのテコ入れを、と考えても不思議ではない。

そうした点から考えると、メッシのほかにも一人で仕掛けてチャンスを作れる、ディマリアを欠いたのはやはり痛かったといっていいだろう。アルゼンチンからすれば、カウンターでのチャンス、ひとつでも決まっていれば……という試合だった。

一方、ドイツの強みは常に動きながらパス回しで崩せる、という自らの特徴に加え、相手に応じて様々な戦い方ができる、選択肢の多さだろう。たとえば決勝戦でも、中央を使ったショートパスでの崩しを試みたかと思えば、相手が布陣を変えるとサイドを突き、簡単にサイドだけではダメだとわかるとサイドチェンジを交えてドリブルを使う。

それは選手一人一人に徹底されており、相手が前から守ろうとすれば裏を狙う動きをし、引いて守るならば、位置を次々と他の選手と交換して相手の陣形を乱そうとする。「自分たちのサッカー」がたった1枚のカードに頼っているのではなく、何枚ものカードからなる、その多彩さが素晴らしかった。

決勝点も、普段重心をおいている右のパスからでなく、左サイドのドリブルから交代選手のシュールレがクロスを挙げ、同じく交代選手のゲッツェが決める、まさに「選択肢の多さ」から生まれたものだ。

こうしたドイツの「カメレオン」な戦い方はデータにも現れている。たとえば、接戦だった決勝戦は60%を超えるボール保持だったが、ブラジルに大勝した準決勝では半分以下。ボール保持を志向するサッカーを基本としていながら、それにこだわらず、引いて守ることも含め、様々なプレーができる証拠だ。

もうひとつ、ドイツの強さがデータで現れているのが走行距離。「守っているチームは走らされるから疲れている」――よくテレビ中継の解説で聞かれる言葉だが、ドイツには当てはまらない。決勝戦のようにボールを支配していようが、ブラジル戦のように逆襲を狙う展開だろうが、走る距離は常に勝っている。ボールの局面で顔を出す、細かい走りが圧倒的に多いからだ。今大会では、グループリーグ最終戦のアメリカ戦を除いて、すべての試合で相手よりも多く走っている。

ボールを保持でき、手放すこともできる。そしてゲーム展開がどうであれ、走っている。それが2014年ブラジル大会の覇者であった。

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