男性はスマホや携帯を前ポケットに入れないほうがいい。なぜなら...

男性たちは、スマートフォンや携帯を前ポケットに入れるべきか、考えてみたほうがいいかもしれない。
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男性たちは、スマートフォンや携帯を前ポケットに入れるべきか、考えてみたほうがいいかもしれない。

イギリスのエクセター大学の研究者たちが中心となって、これまでに実施された既存研究10件のメタ分析を行なったところ、携帯電話が出す電磁波にさらされると、精液サンプルの精子の「質」が、わずかながらも着実に低下するらしいことが明らかになったのだ。

携帯電話が発する電磁波と、現実に起きている出生率低下の間の相関は明らかになっていないものの、世界的に原因不明の精子数減少が報告されており、今回の発見はその解明の糸口となるかもしれない。

精子の質を評価する際には通常、次の3つの基準が組み合わされる。「運動率」は正常に泳ぐことができる精子の割合を、「生存率」は採取サンプル内で生き残っている精子の割合を、「濃度」は精液の濃さを示す。

フィオナ・マシューズ博士がメタ分析を行なった複数の研究は、総サンプル数が1492個にのぼり、その種類は、精子サンプルを用いた実験研究と、人間の観察研究の両方だった。

博士は、両タイプの研究において、携帯電話が発する高周波の電磁波への曝露が、精子の運動率では平均8.1%、精子の生存率では平均9.1%の減少と相関していることを発見した。精子濃度との関係はそれよりも不明瞭で、研究者が結果をどう分析するかによって差が出た。単純な分析では、精子濃度は減少することが示唆されるが、より詳細な分析では、有意差が見られないことが示されるという。

健康的な精子の基準についてはいろいろな説があるが、世界保健機関(WHO)が2010年に世界各地の男性を対象に行なった調査結果を基にした分析によると、生殖能力を持つカップル(妊娠を目的とした性行為を始めてから12カ月以内に受精できるカップルとして定義される)では一般的に、精液1ミリリットルあたりの標準精子数は1500万個以上とされている。

また、生殖能力を持つ男性は、精子の生存率が58%以上、運動率が40%以上で、かつ精子細胞の4%以上が正常な形態だとされる。

とはいえ、精子数が少ないからといって、その男性とパートナーが自然妊娠を望めないかというと、必ずしもそうでもない。また、今回のメタ分析は、携帯電話への曝露と精子の質の低下に相関関係があることを示してはいるものの、それが、男性の生殖能力の低下に結びつくとは言い切れない。確実なのは、こういった相関関係のもつ意味を解明するための、さらなる研究が必要であることだろう。

なお、精子に悪影響を与える可能性をもつものは、携帯電話だけではない。最近では、睡眠不足やストレスと精子濃度低下が相関していると指摘する研究(日本語版記事)がある。また、一般的な日用品の多くに含まれる化学物質が、精子に対して悪影響をもつ可能性があるとする研究もある(日本語版記事)。また、生殖器を長い間過熱状態に置くことも望ましくないとされている。

マシューズ博士は、ハフポストUS版に寄せたメールで次のように述べている。

「精子に影響を与える要因はさまざまなものが存在し、それらすべてが複合的に影響することが、これまでの研究からわかっています。今回の結果結果は、すでにそうした要因に数多くさらされている男性グループにとっては大きな意味があると言えるでしょう。また、生殖能力がすでにぎりぎりまで低下している男性たちにとっても意味があるでしょう」

「けれども忘れてはならないことは、精子の質はもともと変化しやすいものである点です。また、精子の運動率や生存率の数値に大きな幅があるのは正常だとされており、受精も可能だということです」

マシューズ博士はさらにこう述べる。「モバイル機器が一般に広く普及していることと、先進国全体で、ここ10年~20年ほどの間に精子の質が全般的に低下している現象が見られる点を考慮すれば、早急な研究が必要だということは言えるでしょう」

[Anna Almendrala(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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