中年が大酒を飲むと認知障害になりやすい(研究結果)

中年期に飲酒の問題を抱えていた人が高齢になって重い認知障害や記憶障害を起こす割合は、そうした問題のなかった人と比べて2倍以上にのぼるという研究結果を、イギリスのエクセター大学医学部がまとめた。
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中年期に飲酒の問題を抱えていた人が高齢になって重い認知障害や記憶障害を起こす割合は、そうした問題のなかった人と比べて2倍以上にのぼるという研究結果を、イギリスのエクセター大学医学部がまとめた。

The American Journal of Gariatic Psychiatry(アメリカ老年精神医学ジャーナル)」に掲載されたこの研究は、20年間にわたる長期研究だ。1992年の調査開始時点で50歳代から60歳代だったアメリカ人約6500人を対象とし、その人々を2010年まで追跡した。

研究を率いたイアン・ラング博士は、大学のプレスリリースで次のように述べている。「認知症リスクと現在のアルコール摂取量の間に相関があることは、すでにわかっています。この知識は、高齢者に飲酒量を尋ね、その後、その人たちが認知症を発症するかどうか観察するという手法で得られたものです。しかし、これはパズルの一部分にすぎません。過去のアルコール摂取が及ぼす影響については、ほとんど何もわからないからです。今回私たちが行ったのは、これまであまり知られていなかった、過去の問題飲酒と後年の記憶障害との関係の調査です」

この研究では中年期が対象になったが、もっと若い頃の問題飲酒が高齢になってから認知障害を引き起こすか等は、今後の研究の課題となる。

なお、2014年1月に発表されたロンドン大学の研究は、飲酒を軽度にとどめるか、あるいはまったく酒を飲まない男性と比べて、大量にアルコールを飲む男性は、最大で6年も早く認知障害の徴候を示すことを明らかにしている。

アメリカ保健福祉省所管の疾病管理予防センター(CDC)は、男性で週に15杯以上、女性では週に8杯以上の飲酒を「大量飲酒」と定義している。

CDCによる「標準的な1杯」とは、酒の種類を問わず14グラムの純アルコールに相当するもので、アルコール5%のビールなら350ミリリットル、12%のワインなら150ミリリットル、40%の蒸留酒(ウイスキー、ウォッカ、ジン、ラムなど)であれば45ミリリットルだ(つまり、CDCの定義では、男性で週に210グラム以上、女性では週に112グラム以上が大量飲酒となる)。

なお、日本の厚生省は、「生活習慣病のリスクを高める」アルコール量を、男性は1日40グラム、女性は1日20グラム以上としている。アルコール飲料に含まれるアルコール量(グラム) は、「アルコール飲料の量(mL) × アルコール濃度×

アルコール比重(0.8)」で計算される。たとえば、日本酒2合のアルコール量は45グラム。

[Yagana Shah(English) 日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]

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