アメリカのスポーツ界で不祥事相次ぐ 人種差別発言から児童虐待まで

スポーツは時に、世界の混乱から目をそらすための気晴らしになることもある。しかし、今週はそうではなかった。世界はスポーツ界の不祥事を書き立てる見出しであふれ、混乱からまぬがれなかった。
CINCINNATI, OH - DECEMBER 29: Ray Rice #27 of the Baltimore Ravens takes the field for the game against the Cincinnati Bengals at Paul Brown Stadium on December 29, 2013 in Cincinnati, Ohio. (Photo by John Grieshop/Getty Images)
CINCINNATI, OH - DECEMBER 29: Ray Rice #27 of the Baltimore Ravens takes the field for the game against the Cincinnati Bengals at Paul Brown Stadium on December 29, 2013 in Cincinnati, Ohio. (Photo by John Grieshop/Getty Images)
John Grieshop via Getty Images

スポーツは気晴らしになると考えられている。しかし今週は最悪だった。

スポーツは時に、世界の混乱から目をそらすための気晴らしになることもある。しかし、今週はそうではなかった。世界はスポーツ界の不祥事を書き立てる見出しであふれ、混乱からまぬがれなかった。

ドメスティック・バイオレンスの現場がはっきりと明らかになった防犯カメラの映像、レイシストの発言、恋人の殺人が問われた裁判、子供の虐待疑惑……世界のスポーツ界で起きたことを見ていると、怒りが湧いてくる。アスリートたち、チームの幹部はファンたちに反省を示さなくてはならない。彼らがやったことをまとめてみると、アスリートは人間の最高のパフォーマンスを見せる見本にはなるとは限らないし、最悪な社会の鏡となりうることだってしょっちゅうあるのだということがわかる。

■ NFLプレーヤー、レイ・レイスのドメスティック・バイオレンス

9月8日、プロアメリカンフットボールリーグのNFLに所属するボルチモア・レーベンズのレイ・ライス選手が2月に当時のフィアンセで現在の妻をカジノ内のエレベーターで殴りつけた防犯カメラ映像が公開された。アメリカのエンタメ情報サイト「TMZ」が報じた。

インタビューに答えるレイ・ライス選手と妻

この報道の後、レーベンズはライス選手との契約を解除し、NFLもライス選手に2試合の出場停止処分から無期限出場停止処分へと引き上げた。7月に下された当初の処分が2試合出場停止のみで軽すぎるという非難が広がっていたことに対し、NFLコミッショナーのロジャー・グッデル氏は9日、CBSテレビのノラ・オドネル記者とのインタビューに答え、「NFLはTMZが報じるまでエレベーター内の防犯カメラ映像を見たことがなかった」とのべ、それまでライス選手の責任は「はっきりとしていなかった」と釈明した。その後、TMZが報じる5カ月前にあたる4月の段階で捜査当局がNFL幹部に防犯カメラ映像を送っていたことをAP通信が伝えた。グッデル氏のコミッショナー辞任解任を求める声が強まる中、NFLはこの事件の調査委員会を立ち上げることを声明で発表した。

■ NBAアトランタ・ホークスの人種問題

プロバスケットボールリーグのNBAのアトランタ・ホークスが今週引き起こした大騒動で露呈したのは、ロサンゼルス・クリッパーズのオーナーNBAが4月に人種差別発言をしたときと同様に、自力で人種問題の排除ができなかったということだ。ホークスのゼネラル・マネジャー(GM)のダニー・フェリー氏は、7月に行われたNBAのチームオーナーたちによる電話会議でフリーエージェントになっていた南スーダン出身のルオル・デン選手について「アフリカ(の血)が混ざっている。悪い意味ではないが、例えるなら、店構えは立派でも裏口からまがい物を売るような人」と発言した。http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPKBN0H509J2014091012日にフェリー氏は無期限の休暇に入ると発表した。ホークスの共同オーナー、ブルース・レベンソン氏が7日、2012年にチーム幹部に向けて人種主義的な内容のメールを送信したことから、チームを売却する意向を表明して1週間もたたないうちの不祥事発覚だった。

アトランタ・ホークスのダニー・フェリーGM

ルオル・デン選手

■ NFLエイドリアン・ピーターソン選手の子供虐待疑惑

NFLミネソタ・バイキングスのランニングバック、エイドリアン・ピーターソン選手が12日、子供を虐待したとして告訴された逮捕状も出されているという。ピーターソン選手の代理人は声明を発表し、息子への虐待と疑われている行為はしつけの一環だったと主張している。CBSニュースのニック・ライト記者の報告によると、警察の調書では、虐待と疑われる行為によって子供の背中や尻、足首、両足、陰嚢などいたるところに切り傷と打撲の痕があるという。

ミネソタ・バイキングスのエイドリアン・ピーターソン選手

■ 義足ランナー、オスカー・ピストリウス被告の有罪判決

不祥事はアメリカだけにとどまらない。恋人を射殺したとして殺人罪などに問われた南アフリカのパラリンピック陸上スター選手、オスカー・ピストリウス被告の判決公判が12日、南アフリカの首都プレトリアの高等裁判所で行われた。27歳のピストリウス被告は2013年2月14日のバレンタインデーに恋人だった30歳のモデル、リーバ・スティーンカンプさんを銃殺した計画殺人の罪で起訴されていたが、高等裁判所のソコジール・マシパ判事は計画殺人罪と殺人罪の両方の適用を見送り、ピストリウス被告に過失致死罪を言い渡した。

判決公判を受けるオスカー・ピストリウス被告

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