ミャンマーが外国銀行に門戸 制約が多く「果実」はまだ先

ミャンマーが外国銀行に対して門戸を開いたが、金融の安全網はぜい弱で貸し付けは厳しい規制を受けており、今のところ温かい歓迎を受けたとは言い難い。
Reuters

[ヤンゴン/シンガポール 8日 ロイター] - ミャンマーが外国銀行に対して門戸を開いた。しかし金融の安全網はぜい弱で、貸し付けは厳しい規制を受けており、まだ今のところ温かい歓迎を受けたとは言い難い。

日本の3メガバンクを含む9行に先週初めて免許が交付されたが、破産法の制定や金融セクターの法的枠組み強化などの改革はこれからだ。外銀は、進出しておけば将来、制度的な安全網が整備されて融資規制が緩和された時点で果実が得られると期待しているに違いない。

数十年にわたり軍事政権が続いたミャンマーは徐々に外国投資家に市場を開放しているが、政治面や経済面の改革ペースは新政府が発足して民政に移行した2011年当時の期待よりも遅い。

それでも国際通貨基金(IMF)の予測によると今後数年間の成長率は年8.5%に達する見通しだ。国内総生産(GDP)に占める銀行融資の比率はわずか19%とカンボジアの36%やベトナムの108%を大幅に下回り、国内外の銀行にとっては巨大な機会を提供している。

免許を受けたシンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行

このほかに免許を受けたのはオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)

ミャンマーは世界で最も銀行業が発達していない国の1つで、国連が5月に発表した報告によると自分名義の銀行口座を持っている国民は全体の4%にすぎない。国際金融公社(IFC)の昨年の報告によると、5100万人の国民のうち金融サービスにアクセス可能なのは20%以下にとどまる。

ミャワディ・バンクのアドバイザーであるエコノミストのKyaw Myint氏は「銀行業を国際的な水準に合わせる必要がある」と話す。

<低い融資回収率>

世界銀行の今年の報告によると、ミャンマーでは破産処理に要する期間は最大5年。これに対し、経済協力開発機構(OECD)に加盟する東アジア・太平洋諸国は2.8年だ。

融資の回収率もミャンマーは1ドル当たり0.14ドルと、OECD加盟の東アジア・太平洋諸国の0.37ドルに見劣りする。

さらに経営破綻や、外国企業が提携先のミャンマー企業に償還請求をした前例がない。具体的な破産法が存在しない。

米国の法律事務所モリソン・アンド・フォースターのパートナー、ジェーク・ロブソン氏は「安全確保の認識とその実行に関する法整備が非常に遅れている。未開の市場に参入するときには銀行が常に直面する昔ながらのリスクだ」と述べた。

関係筋によると、外国銀行は今のところ主にミャンマー進出の実績をてこに、現地の銀行や頭角を現し始めた企業との関係を構築する一方で、金融改革の進展を待っている。

融資に飢えている国内企業は外貨融資を海外に求めざるを得ず、そのためには国際的な信用を得る必要がある。

ヤンゴンに拠点を置き、ミャンマーで通信塔を建設しているパンアジア・マジェスティック・イーグルは先週、海外のコンソーシアムから初めてクロス・ボーダー・ローンを獲得したと発表した。融資額は8500万ドル。同社のスポンサー企業はインドネシアにもネットワークを持ち、銀行との関係を確立していた。

このコンソーシアムに参加したINGの幹部は、ミャンマーでの営業を認められた銀行はそのプレゼンスを生かして顧客との関係を深めそうで、このことがいずれ東南アジア地域一帯でのビジネスにつながるとの見方を示した。

(Jared Ferrie、Saeed Azhar記者)

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