世界最大のオンラインショッピングが行われる記念日「独身者の日」って何だ?

中国のEコマース最大手アリババが、11月11日「独身者の日」をオンラインモールの大幅値引きの日として利用し始めた。いまや世界各国のホリデー商戦のピーク日をもしのぐ、一大ショッピングイベントになっている。
NANTONG, CHINA - NOVEMBER 12: (CHINA OUT) Workers distribute packs at an express company on November 12, 2012 in Nantong, China. Tmall.com and Taobao.com, the China's biggest online shopping sites of Chinese e-commerce giant Alibaba Group Holding, had 19.1 billion yuan (3.04 billion U.S. dollars) in total transactions during its 'Singles' Day' shopping promotion on Sunday. And 'Singles' Day', which has become a shopping festival of e-business groups, caused enormous pressure on express service. (Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images)
NANTONG, CHINA - NOVEMBER 12: (CHINA OUT) Workers distribute packs at an express company on November 12, 2012 in Nantong, China. Tmall.com and Taobao.com, the China's biggest online shopping sites of Chinese e-commerce giant Alibaba Group Holding, had 19.1 billion yuan (3.04 billion U.S. dollars) in total transactions during its 'Singles' Day' shopping promotion on Sunday. And 'Singles' Day', which has become a shopping festival of e-business groups, caused enormous pressure on express service. (Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images)
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北京発:中国は11月11日、「独身者の日(シングルズ・デー)」を迎えた。最近発明されたばかりの記念日であるにもかかわらず、いまや地球上で最大規模のオンラインショッピングが行われる日だ。

数字で書くと11/11になる、ということで選定されたらしい、この「独身者のための記念日」は、中国では「光棍節(グァングンジェ)」と呼ばれており、元々は独身という「社会的不名誉」を背負った中国の若者たちに、お祭り騒ぎの機会を与えることを目的としていた。

しかし、中国のEコマース最大手アリババが、数年前から、これをオンラインモールの大幅値引きの日として利用し始めた。いまや「独身者の日」は、世界各国のホリデー商戦のピーク日をもしのぐ、一大ショッピングイベントになっている。以下、この日についてもっと知るための6つの事実をまとめてみた。

1.この世界最大のオンラインショッピングデーは、アリババが仕掛けた

「独身者の日」を祝う行事は、1990年代から存在していた。だが、オンラインショッピングのビッグイベントになったのは、2009年にアリババがこの日に大幅値引きを行なうと決めてからのことだ。

それからわずか5年で、「独身者の日」は世界でも最大規模のオンラインショッピング特売日となった。アリババは「Tech in Asia」の取材に対し、独身者の悲哀を買い物で紛らわそうとする若者たちに付け込んだわけではなく、この覚えやすく、人の心をつかみやすい日付が、たまたま中国の主要な祝日の谷間の閑散期にあっただけだと答えている

アリババのオンラインモールに出店する、ある小売業者の「独身者の日」の取引件数は数百万件に上った。 (Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images.)

2.中国の人々がこの日の買い物に使う金額は、想像をはるかに超えている

アリババによると、同社のオンラインモールの顧客が、今年の「独身者の日」の「最初の1時間」で使った金額は20億ドルに上ったという。これはアメリカ人がサイバーマンデー(感謝祭=11月の第4木曜日の次の月曜日のことで、オンライン・ショッピングでのホリデーシーズンの開始日とされている)にオンラインショッピングで1日に使う金額とほぼ同じ額だ。

最終的な総売上額はまだ判明していないが、これまでの記録である57億ドル(350億元)は、11日午後2時までに既に突破した。アナリストの予想では、この日のアリババの総売上は、今年も、アメリカにおけるブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日のことで、伝統的なホリデーシーズンの開始日)とサイバーマンデーのオンラインでの買い物額の「合計」を優に上回りそうだという(最終売り上げは571億元(約93億ドル、約1兆700億円)に上ったと報道されている)。

3.アリババのオンラインモールのPR担当者は、下着の売れ行きを自慢したがる

アリババの消費者向け小売りサイト「Tモール」(天猫)のPRチームには、「独身者の日」にどれほど多くの下着が売れたかを自慢したがる奇妙な習慣がある。

2013年のPRチームの報告によれば、最初の1時間に売れた200万点の下着を一列に並べると、その長さは約3000kmにも及び、160万点のブラジャーは、重ねるとエベレスト山の3倍の高さに達するという。

Adam Dean/Bloomberg via Getty Images.

4.今年は、中国のブランドが売上ランキングの上位を占めた

この日途中の段階でのアリババのレポートによると、総取引高でトップ5のブランドのうち4つは中国のブランドだった。

1位は中国で大人気のスマートフォンメーカー、シャオミ(小米科技)だ。同社では、グーグルでAndoroid製品を担当していたヒューゴ・バラ氏が副社長を務めているが、バラ氏は自身のツイッターアカウントを通じて、この日の中間時点までに72万台のスマートフォンが売れ、売上金額は1億6300万ドルを突破したと報告した

中国ブランド以外で唯一トップ5に入ったのは、日本の服飾メーカー、ユニクロだった。

5.このイベントの準備に、アリババと小売業者は巨額の費用を投じている

2013年の第3四半期と第4四半期の間(「独身者の日」がある時期)における、アリババの販売・マーケティング関連の支出は、それまでの3倍に増えた。これは、ウェブでの広告宣伝、顧客向けの無料モバイルデータの提供、そして次の動画のような大掛かりなプロモーションビデオの制作に費やされた金額だ。

小売業者のほうも、このイベントに参加するため、すべての商品の極限的な値下げ競争だけでなく、マーケティングや商品在庫、従業員の残業で生じる多額のコストを負担している。この激しい競争で疲弊してしまう小売業者も少なくないが、大きな宣伝効果と新規顧客が獲得できるという魅力もあって、参加する業者は年々増えつつある。

6.アマゾンも「独身者の日」に便乗しようとしている

アマゾンはかねてから中国市場へ食い込もうと試みており、今年は同社の国際的なショッピングプラットフォームを利用して、「独身者の日」の買い物客をおびき寄せようとした。これまでAmazon.cnの限られた品揃えで我慢させられてきた中国の人々は、今年の「独身者の日」以降、アマゾンのアメリカ、ドイツ、スペイン、フランス、イタリアの各国のサイトでショッピングができるようになった。しかも商品は、通常わずか3日というスピードで中国へ直接出荷される。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:水書健司/ガリレオ]

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