イ・スンチョルさん入国拒否で外交問題に?韓国は年10万人以上拒否

韓国人歌手のイ・スンチョル氏が日本への入国を拒まれ「竹島で歌を歌ったことが理由だ」と主張している問題。ところで入国拒否はそれぞれの国家が法律で定めている項目でもある。
EPA時事

韓国人歌手のイ・スンチョルさんが日本への入国を拒まれ「竹島で歌を歌ったことが理由だ」と主張している問題は、韓国外交部が日本大使館の参事官に「事実であれば遺憾」と伝えるなど外交問題に発展している。ところで入国拒否はそれぞれの国家が法律で定めている項目でもある。両国の「入国拒否」事情をまとめた。

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■日本は2859人

菅義偉官房長官は11月12日午前の記者会見で「法務省において法令に則して適切に対応したと考えています。個別の入国事案でありますので、個人情報にあたることから詳細については差し控えたいと思いますが、入国できなかった理由は入管法上の上陸拒否自由に該当していたことであって、竹島で歌を歌ったとか、そういうこととは関係ない」と述べた。「ほかの理由があるということか」という記者の質問には「そういうことです」と答えた。

日本の「出入国管理及び難民認定法」(入管法)では、第5条で感染症や貧困、1年以上の懲役・禁錮刑など「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある」場合、上陸拒否ができると定めている

2013年、法務省入国管理局が上陸を拒否した数は2859人。「入国目的に疑義のある事実」(不法就労の疑いなど)が全体の半数以上を占め、「上陸拒否自由該当事案」「有効な査証等を所持していない事案」が続く。イ・スンチョルさんは1989年と1990年に大麻吸引の容疑で逮捕されたことがあり、日本の上陸拒否事由に該当するが、所属事務所は「それ以降15回以上も入国を許可されているのに理解できない」と反発している

ところで韓国の場合、上陸拒否者はもっと多い。ハンギョレは2013年に10万人を超える人が入国拒否されたと伝えている

報道されたうち、主な人を拾ってみると、反原発運動団体「原子力資料情報室」の伴英幸・共同代表は2013年4月19日、「ジュゴン保護キャンペーンセンター」代表でミュージシャンの海勢頭(うみせど)豊さんも2012年9月に入国できなかった。済州島の海軍基地建設反対運動に関わった台湾の環境運動家、国際環境保護NGO「グリーンピース」のメンバーら、反原発や環境保護運動の関係者が多い。日本の平和運動団体「フォーラム平和・人権・環境」の福山真劫代表も2013年5月に入国を拒まれているが、北朝鮮を訪問して元慰安婦の支援を約束したことが理由ではないかと記事は推測している。

■韓国では反発広がる

一方でイ・スンチョルさんは日本の措置に抗議するとして、8月14日に竹島(独島)で歌った曲を自身のホームページから無料ダウンロードできるようにした。

竹島の領有権主張を巡って韓国でよく歌われる「独島は我々の領土」を歌った歌手、チョン・グァンテさんも1996年に日本への入国が拒まれたことがある。11月14日、テレビ局YTNの番組に出演し「芸能人の活動の幅を狭める。他の芸能人も独島で同様のことができなくなると脅しているのだ」と批判した

【※】UPDATE 2014/11/14 19:10

当初、入国を拒まれた歌手を「チャン・グァンテさん」としていましたが、正しくはチョン・グァンテさんでした。

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竹島(韓国名・独島)写真集

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